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マスクを着けない男性の面目をつぶすのは効果的ではない 着用率を上げる、よい方法は

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米テキサス州で6月28日、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、マスク着用の義務化に抗議する人々=ロイター

Mask shaming men won’t work. Here’s what will

6月22日付 ロサンゼルス・タイムズ紙

日本では、新型コロナウイルスのようなパンデミックの場合、マスクを着けるのは当たり前とされ、抵抗する人はほとんどない。一方、アメリカではマスクを着けるという考えに対して強い抵抗感を持っている人がかなりいるので、同国でコロナウイルスの感染が続く一つの原因になっている。

そんな中、興味深い現象が起きている。男性は女性よりマスクを着けたがらないというのだ。トランプ米大統領やペンス副大統領をはじめ、マスクをあまり着けない男性は目立つが、これがより広範に見られる現象であることが最近の調査によって検証された。調査のきっかけは、研究者の一人が、職場があるカリフォルニア州バークリー市で見かけたある光景だったそうだ。自転車で街に出かけていた家族のお母さんと子どもたちがdutifully(律義に)マスクを着けていた一方で、(事情はわからないが)お父さんはマスクを着けていなかった。これは一般的な現象なのか調べたいと思い、調査した結果、やはりそうだったようだ。

男女それぞれにアンケートした結果、「顔を覆うものを着けることは弱さの証」という項目や「顔を覆うものを着けることでつきまとうstigma(汚名)のせいで、適切な頻度で着けられない」という項目で、男性は女性より多く賛同した。

こうした情報をもとに、この記事の筆者は様々な専門家のアドバイスを参照しながら、どうすれば男性にマスクを着けることを効果的に奨励できるかを考えた。結論として、マスクを着けない男性をshaming(恥じ入らせる)のではなく、より心理学的な方法が有効だとした。例えば、男性のpaternalistic(家父長的な)意識やchivalrous(騎士道的な)価値観に訴えて、マスクを着けることによってコミュニティーを守る英雄になれると強調したり、マスクを着けることが愛国心の証であるとアピールしたりすることが挙げられている。マスクとemasculation(男性ならではの萎える心理)をテーマにした論文を書いた学者は、迷彩模様などの「男らしさ」と結びつくデザインのマスクが役立つかも知れないと言う。スポーツチームのロゴが入っているマスクも有効である可能性が指摘されている。

しかしながら、男性にも女性にもマスクを着けてもらうために最も効果的な方法は、結局はそれを義務化することである。義務化すれば確実に良い効果が得られる。別の報道によると、6月下旬に、2週間マスクを義務付けた州では新型コロナウイルスの感染者数が25%減った一方で、義務付けなかった州では、その数が84%増加したそうだ。より多くの州が早急にマスクの着用を義務化することが望ましい。