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【英語で名言】映画監督クリス・ワイツが海に向かう、その理由

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語
安河内哲也撮影

■今週の名言

I love being by the ocean. It stills the voices in my head.

(私は海辺が大好きだ。頭の中で響く声を海は静めてくれる)

■名言を味わう

直訳すると「私は海辺にいるのが大好きだ。それは頭の中の声たちを静める」となります。「頭の中の声たち」は、「雑念」「邪念」のように考えてみるとわかりやすいかもしれません。

平たく言えば、頭から片時も離れず、つい考えてしまうような仕事やプライベートのゴタゴタが、海辺に到達した瞬間きれいさっぱり消えてしまう。そんな“効能”が海にはあるということでしょう。

この名言を初めて目にしたとき、「海が大好きな自分の気持ちを代弁してくれている!」とうれしい気持ちになりました。ちょっとした自己紹介の場で、そのまま使わせてもらいたいくらいです。

■名言の単語ピックアップ

still

まだ、いまだに(副詞)

静かな、じっとした(形容詞)

〜を静める(動詞)

中学で習う単語stillは、最初は「まだ」「いぜんとして」という副詞の意味で習ったことと思います。例えば、I’m still learning English.(私はまだ英語を勉強しています)、We still haven’t decided where to go.(我々はどこに行くかまだ決めていない)、It’s still rainy season in Tokyo.(東京はまだ梅雨の季節です)といった使い方ですね。

この副詞用法のstillの意味をスっと私に理解せてくれたのが、「幸福の条件」(1993)というハリウッド映画でした。「みだらな申し出」といったような意味となる「Indecent Proposal」が原題です。

ラスベガスのカジノで一文無しになってしまった若い夫婦(ウディ・ハレルソン&デミ・ムーア)が億万長者(ロバート・レッドフォード)から、「美しい奥さんと一晩を一緒に過ごさせてくれたら大金を払うよ」というproposalを受けるお話です。

映画のラストシーンで夫婦の交わす会話に、そのstillが登場します。

妻:Have I ever told you I love you?

(愛しているって言ったこと、これまでにあるっけ?)

夫:No.

(ない)

妻:I do.

(愛している)

夫:Still?

(今でも?)

妻:Always.

(ずっと)

韓流ドラマも顔負けの甘〜い結末ですが、一語だけで登場するstillに「いまだに」という意味の副詞用法が如実に現れていたので、I still remember(まだ覚えています)。

さて、stillは形容詞としてもよく使います。形容詞のstillは「動かない、じっとした、静かな」といった意味です。

例を挙げてみましょう。

The audience at yesterday’s forum was very still.

(昨日のフォーラムの聴衆はとても静かだった)

*反応が薄く、盛り上がらなかったという意味。quietに置き換え可能。

Everything stood still after he said that word.

(彼がその言葉を発したあとは、何もかもが静止した)

* stand stillで「じっと立っている、静止する」。

I was very worried about him so I couldn’t keep still.

(彼のことがとても心配だったので、じっとしていられなかった)

*keep stillで「(動かずに)じっとしている」「(話さずに)黙っている」。

また、日本語でスチール写真と言いますが、これは英語のstillから来た言葉です。「静止した、じっとした」という意味が転じて「(静止画の)スチール写真の」という意味になりstill photo、still pictureのように使われます。

さらに名詞として、映画の宣伝用などに撮る「スチール写真」という意味でもstillは使われますよ。

そしてstillは名言での用法のように、「静める」という動詞の意味もあります。

Her words stilled my fear.

(彼女の言葉が私の不安を静めた)

He spoke softly to still his traumatized subordinates.

(トラウマを抱えた部下たちを静めるため、彼は静かに話した)

stillが動詞として使われることはそれほど多くはありません。ただし、stillは副詞でも形容詞でも「静」のイメージがあるので、例え初めて動詞の用法を目にしても、「静める」の意味を推測しやすいと言えるでしょう。

こんなふうに複数の品詞で使われる単語は、元の(または知っている)品詞の意味から、別の品詞の意味も類推しやすいものです。

例えばcabはタクシーのことですが、We are late so let’s cab it.(遅刻だからタクシーで行こう)のように動詞で使うこともごくまれにあります。cabを初めて動詞で見聞きした場合であっても、タクシーとまったく関係がない意味になるとは考えにくい。類推のテクニックを使えば意味はまず取れるはずです。

初見であっても「え? こんな使い方知らないんだけど?」とびっくりせず、類推テクをぜひ活用してみてください。

■名言を解剖する

I love being by the ocean. It stills the voices in my head.

(私は海辺が大好きだ。頭の中で響く声を海は静めてくれる)

動詞のloveを見ると「〜を愛する」という訳が真っ先に浮かんでくるかもしれませんが、ここでのように「〜が大好きである」という意味でも非常によく使います。

「好き」という動詞で最初に思い浮かぶのはlikeでしょう。けれどlikeは「〜が好きだ、〜を好む」という意味で、loveほど強い愛の感情はありません。ですから「すごく好き」「大好き」という気持ちを伝えたいのであれば、loveを使ってみましょう。

例えばI love my job.と言えば「自分の仕事が大好きです」、We love our new boss.と言えば「我々は新しいボスが大好きだ」という意味になります。こんなふうに恋愛感情なしでもloveは使えるわけです。

名言では動詞loveの直後にbeingという動名詞が来ています。amやare、isのようなbe動詞は動名詞になると、すべてbeingになりますよ。

be動詞は「〜である」と「=」の意味で使うことが多くなります。例えばI’m a teacher.と言ったら「私は先生です」となりますね。

そして、もう1つのbe動詞の意味としては、「〜にいる」「〜にある」という存在を表すものがあります。名言中のbeingのbeはこちらの意味になります。

I love +ingで「私は〜するのが大好きだ」という意味ですから、I love being...で「〜にいる(ある)のが大好きだ」となります。

どこにいる(ある)のが好きかは後続を見ていけばわかります。byは前置詞で「そばに」という意味。the seaのtheは、ある特定の海を指しているわけではなく、海全般を指し総称のように使っています。

ということで、by the seaは「海の近く→海辺」となり、「海辺にいることが大好き」という意味になります。

ただし和訳はすっきり短くするため、なくても意味が通る「にいること」は訳出していません。

このI love +〜ing(動名詞)は、大好きなアクティビティーを説明するのに持ってこい。例えば、こんなふうに使えます。

I love being outdoors. I go to the beaches and mountains all the time.

(野外が大好きなんです。しょっちゅう海や山に行っています)

I love reading. I usually read two books per week.

(読書が大好きで、たいてい週に2冊読むんです)

I love taking photos. It makes me relax and forget all my worries.

(写真を撮るのが大好きなんです。リラックスして心配事もみんな忘れちゃうんです)

二文目の冒頭のitは、the oceanのこと。ここでのstillは既に説明したように動詞の「静める」でしたね。

voiceはHe voiced his personal opinion.(彼は個人的な見解を述べた<表明した>)のように動詞で使うこともありますが、ここでは名詞の「声」です。theが付いてしかもvoicesと複数になっていますから、in my head(私の頭の中で<に>)にうずまく声といった感じになります。

和訳の「頭の中で響く声を〜」の「で響く」に該当する英文はありませんが、voicesの複数の「s」を意訳したつもりで付け加えてみました。

■今週の1枚

時間が少し空くと、バイクでふらっとよく出かけるのですが、今回の1枚のように、気付くと近所の港に行き着くパターンが多い私。目前に広がる海の風景を撮っていると、いろんな雑念がすっと消えていきます。

そんな行動パターンのせいで、この連載で披露させてもらう写真も海辺のカットがやたらと多くなってしまっていますが……。わかっていつつも、これからもきっと頻繁に足が向いてしまいそうです。多彩な海の表情が切り取れるようがんばりますので、どうかお付き合いのほどお願いします!

さて次週(7月27日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、南アフリカの人権活動家で、ノーベル平和賞を受賞しているデズモンド・ツツの言葉をフィーチャー。hope(希望)を定義した彼の言葉からは、勇気がたくさんもらえると思います

どうぞお楽しみに。See you next week!

(構成・山本航)

■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。