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【英語で名言】『タイタニック』の台詞から、Secretの使い方を学ぶ

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語 更新日: 公開日:
安河内哲也撮影

■今週の名言

A woman’s heart is a deep ocean of secrets.

(女性の心は秘密の深い海なのよ)

■名言を味わう

日本でも大ヒットした「タイタニック」。私も公開されてほどなく、劇場に観に行きました。船の先端で後ろからジャックに抱きかかえられたローズが腕を広げるシーンで、I’m flying, Jack!(私、飛んでるわ、ジャック!)と言うセリフが有名ですが、私に刺さったのは、おばあちゃんになったローズが言った今回のセリフ「女心は秘密の深い海」でした。

一途な秘めた想いはロマンチックだし、美しい。けれども、その秘密の想いは深海のように深い……。「もしやうちの妻にも、あんなロマンスが過去にあったのでは?」ブルブルっと震え上がりつつ、そんな疑問が一瞬頭をよぎった世の“善良なお父さん”も多かったかもしれません(笑)。

秘密の写真、絵、そしてブルーダイヤモンド「碧洋のハート(Heart of the Ocean)」など、ジャックゆかりの品はローズにとってかけがえのないものとして登場します。映画を見終わってすぐ、「妻が大事にしているあの見知らぬアイテムは、いったい何なのだ?」などと詮索しそうになる自分に、Ignorance is bliss.(知らぬが仏)と言い聞かせたのは、きっと私だけでないはず(笑)。

未見の方は、このセリフにも注目してPlease check it out!

■名言の単語ピックアップ

secret

秘密の、内緒の、(場所が)隠れた(形容詞)

秘密、不思議、秘訣(名詞)

「秘密」という意味の名詞として、みなさん知っている単語だと思います。形容詞で「秘密の」という意味もあります。日本語でも「極秘」のことを「トップシークレット」と言ったりしますが、これは英語でも同じ意味のtop secretにならったもの。

ビジネスにはsecretがつきものですが、「秘密(の)」以外の意味での使い方もあるので、この機会にぜひマスターしましょう。

まずは、「秘密」「秘密の」という意味でのsecretを例文で挙げてみます。

Can you keep a secret?

(秘密を守れる?)

*keep a secretで「秘密を守る」。This is only (/ just) between you and me.(これはここだけの話だから)といった言い方もある。

Your secret is safe with me.

(私はあなたの秘密をもらしたりしません)

*秘密は口外しないと伝える一言。

It’s an open secret around the office that they’re dating.

(彼らが付き合っているのは、オフィスでは公然の秘密だ)

*open secretで「公然の秘密」。

I had to keep my promotion secret from my colleagues until it was officially announced.

(正式に発表されるまで、同僚に自分の昇進を内緒にしなければならかった)

*keep〜secret from...で「〜を…に秘密にする、〜について…に黙っている」。

We’d appreciate it if you kept this secret.

(このことは、ご内密にしていただければ幸いです)

*ここでの’dはwouldの短縮形。仮定の話をしているので、現在のことながらkeptと過去形が用いられている。

secretと似た単語にsecrecyがあります。こちらは、「秘密を守ること、保持すること、秘密厳守」を意味する名詞です。ロングマン現代英英辞典でsecrecyを調べてみると、「the process of keeping something secret, or when something is kept a secret.(あることを秘密にしておく行為、またはあることが秘密にされているとき)」と説明があります。

Secrecy is very important in business.

(ビジネスにおいて秘密保持はとても大切だ)

secretは「秘密」で、secrecyは「秘密を守ること」と覚えておいてください。

「秘密の」という形容詞のsecretと似た単語には、confidentialがあります。「秘密の、極秘の、部外秘の」といった意味です。スパイものの映画などでは、「国家機密の」といった、かなりスケールの大きな秘密にも使われます。

封筒やファイルに「CONFIDENTIAL」といったスタンプが押されていたら、取り扱いに注意です。「厳重に、厳しく」という意味の副詞strictlyと一緒に「STRICTLY CONFIDENTIAL」とあれば「極秘」となり、取り扱い注意度がより一段とアップします。

さらにclassifiedという単語にも「極秘(機密)扱いの」という意味があります。形容詞だけでなく名詞で「機密、極秘文書」という意味もあります。

「分類する」という意味の動詞classifyが元になった単語ですが、情報や文書、問題を分類して「機密扱いにする、秘密にする」と、派生の意味が生まれました。

classified informationと言えば「機密情報」のこと。戦争映画などでもclassified informationという言葉がよく登場しますが、この場合は「軍事機密」と訳してもいいでしょう。

次にsecretの別の意味を見ていきましょう。

まず形容詞では「(場所などが)隠れた、人目につかない、奥まった」という意味があります。secret doorと言えば「隠し戸」、secret drawerと言えば「隠し引き出し」、secret admirerと言えば、「隠れファン、ひそかな崇拝者」のことです。

名詞では「不思議、なぞ」といった意味もあるsecret。自然界の説明できないような神秘という感じで使われます。

Science unlocks the secrets of nature.

(科学は自然の神秘を解き明かす)

さらに、「秘訣、極意、秘伝」という意味もあります。この意味ではtheを伴ってthe secretの形で登場します。

Would you share the secret of your success with us?

(あなたの成功の秘訣を、私たちにシェアしてもらえますか?)

The curry rice at the restaurant we went to for lunch yesterday was superb. I wonder what the secret is.

(昨日私たちがランチで行ったレストランのカレーライスは絶品だった。おいしさの秘訣は一体何なのかな)

■名言を解剖する

A woman’s heart is a deep ocean of secrets.

(女性の心は秘密の深い海なのよ)

既にこの連載でたびたび出てきていますが、今回の名言はmetaphor(隠喩、暗喩)です。ちなみに直喩は英語ではsimileと言います。

like...(〜のような)やas if...(あたかも〜かのように) といった例えの表現がある場合は直喩、そういったものが一切なく、いきなりA is Bという場合は、隠喩となります(詳しくはこちらのバックナンバーをご覧ください)。

名言ではAがa woman’s heartでBがa deep ocean of secretsです。隠喩の場合は、Bのもともとの特性が何を意味しているか考えることが大切です。

deep oceanは深海のこと。deep sea、deep waterとも言います。ちなみに「深い、深さのある」という形容詞deepの対になる単語はshallow(浅い)ですが、shallow sea(浅い海)、shallow water(浅瀬)とは言ってもshallow oceanとはあまり言わないようです。これは「大洋、海洋」と、広々とした深い海というイメージのあるoceanと相性が悪いからでしょう。

さて、a deep ocean of secrets(秘密の深い海)ですから、秘密は海底近くにあるので、おいそれと人目に触れることはない。しかも訳出はしませんでしたが、secretsと複数になっている点も見逃せません。1つの秘密ではなく、いろいろな秘密が女性の心の奥底には潜んでいる、ということなのでしょう。

さらにdeepとshallowには、物理的に深い、浅いという意味とは別に、言動や考えが「深遠な」「浅はかな」という意味もあります。実はdeepな女性に対して、男性はshallowである、といったdouble meaning(二重の意味が)がsecret code(暗号)のようにあったりして!? 

まあ、さすがに勘ぐりすぎでしょうが、こんなふうに想像の翼を広げてみるのも英語の名言学習の楽しみの1つ。みなさんも、あれこれお想いをめぐらせてみてくださいね。

では、最後に今回の名言のロングバージョンを紹介しておきます。

And I've never spoken of him until now, not to anyone. ... A woman's heart is a deep ocean of secrets. But now you know there was a man named Jack Dawson and that he saved me... in every way that a person can be saved. I don’t even have a picture of him. He exists now only in my memory.

(彼のことは、今このときまで誰にも、一度たりとも話したことがなかった。女心は秘密の深い海なのよ。でも今あなたたちは、ジャック・ドーソンという男性がいて、私を救ってくれたことを知っている。人が救われるという意味においてはすべての面でね。彼の写真さえ持っていないの。彼は今、私の記憶の中にだけ存在するの)

■今週の1枚

私の育った、福岡県遠賀郡岡垣町の観光名所の一つ、成田山不動寺にある展望台から、三里松原と海を見下ろして撮った風景です。子供のころはよく遊んでいた、懐かしのエリアです。

さて次週(7月20日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、アメリカの映画監督、クリス・ワイツの言葉をフィーチャー。海好きの私がどうして海に魅了されるのかを、まるで代弁してくれているような一言です。

どうぞお楽しみに。See you next week!

(構成・山本航)

■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。