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「あなたに似合う色が、最高の色」 ココ・シャネルが残した名言

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語 更新日: 公開日:
安河内哲也撮影

■今週の名言

The best color in the whole world is the one that looks good on you.

(世界で最高の色とは、あなたに似合う色のことだ)

■名言を味わう

「世界一の色とは、自分に似合う色のことである」。著名なファッションデザイナーのこの言葉には、いろいろ考えさせられます。

今年の流行色を追い求めて右往左往するより、自分に似合う色を熟知しておいて服選びをしたほうが効率もいいだろうし、間違いがないであろうことは、ファッションには疎い私でも容易に理解できます。

人間にはみな違った個性があるように、各自に似合った色があるんですよね。これはただ洋服の色だけではなくて、ビジネスのやり方や、ライフスタイルなど生き方全般にも当てはまるのでは?

もしかしたらシャネルも、「自分の色、自分らしさが何なのかをしっかり把握し、うまく活用しながら生きていこう!」と、幅広い意味を込めてこう言ったのかもしれません。

己を知るには、まず客観的に自分を見つめることが大切。毎朝ちゃんと鏡の前に立って、身だしなみをチェックするところから始めてみたいと思います! 「そこから?」というツッコミの声が聞こえてきそうですが(笑)。

■名言の単語ピックアップ

look

見る、(〜に)目を向ける

中学1年生で習う基本動詞ですから、「look=見る」と誰もが知っていることと思います。

ですがこのlook、意味も使い方もいろいろあって、一筋縄ではいきません。今回、全部を網羅することはできませんが、ぜひ覚えてほしい基本を中心に解説していきます。

まずlookの「見る」のイメージをつかみましょう。それには私たちが、英語で「見る」と覚えている、もう1つの単語seeとの違いを見ていくのが一番です。

「単語の細かい違いは気にしすぎなくていいよ」と普段私はよく言っていますが、lookとseeの違いは大事。大いに気にしてくだいね!

lookの大きなイメージは、「目でしっかりとらえる」です。ですから「視線を向けて見る」といった感じ。見ることに意識が向いています。つまり自発的に見るのがlookなのです。

いっぽうのseeは、あえて日本語にするなら「ぼんやり見(え)る」でしょうか。まあ何となく目に入ってくる感じ。意識的に視線を向けるものではありません。

意識してしっかり見るのがlook、ぼんやりと眺めるのがseeというイメージを、頭に入れておいてください。

ちなみに、このイメージの違いは「聞く」にも応用できます。「聞く」でlook に相当するのはlistenです。つまり自分の意思で「じっくり聞く」のがlisten。いっぽう「聞く」でseeに相当するのはhear。自分の意思とは関係なく「(何となく)聞こえてくる」のがhearです。

look は、atと結びつくことが非常に多くなります。look at...で「〜を見る」という意味でしたね。ここでのatは「〜を」と、方向を表す前置詞なので、一点に集中して能動的に見るlookとの相性がバッチリなのです。

チームで仕事をする場合は、周囲の注目を自分に向けることが大切です。そんなときには、このlook atを大活用しましょう。

例えばプレゼン中、資料 の8ページ目に載っている円グラフを見てほしいときには、こう言って注意を喚起します。

Look at the pie chart on page 8.

(8ページの円グラフを見てください)

*棒グラフは「bar chart」、図表は「diagram」。

ほかにもこんなlook atもよく使います。

Look at the time! We need to get back to the office.

(もうこんな時間だ! オフィスに戻らないと)

*直訳すると「その時間を見ろ!」だが、実際には腕時計やスマホ、ラップトップなどで現在時刻を見て、「うわ、やばい、もうこんな時間だ!」というニュアンスのつぶやきとして使う。

実際に何かをじっと見る以外にも、look atを使うことがあります。

Don’t be so sad. Why don’t you look at your recent breakup as a new start?

(そんなに悲しまないで。この直近の別れを新たな始まりって考えたら?)

*look atが「〜を…と見なす、考える」のような意味となる。

look単独で注意喚起をすることもあります。この場合は、文の冒頭にlookを持ってきます。

Look, here comes our new intern.

(ほら、新しいインターンが来たよ)

Look, I didn’t mean to criticize you at the meeting. I just wanted to understand the situation.

(ねえ、会議で君を批判するつもりじゃなかったんだ。ただ、状況を理解したかっただけさ)

上の2つの例のように、「Look,」部分は「ほら、」「ねえ、」のように訳せます。Lookと言ったあと、直後のカンマでほんの一瞬だけ間を置いてからあとを続けるのが、上手に注意喚起するコツですよ。

またlookには、意識して見るとは別に「〜に見える」という意味もあります。この意味では、look+形容詞とセットになったパターンが多くなります。

Our manager looks very happy today.

(課長、今日はむちゃくちゃ機嫌よさそう)

訳としては「形容詞の意味+そう」とできるケースが多くなります。ほかにもlook sad(悲しそう)、look angry(怒ったよう)、look depressed(憂鬱そう)、look upset(動揺しているよう)、look terrible(ひどく見える)、look amazing(ステキに見える)など、たくさんあります。

名言のlookもlooks good on youですから「look+形容詞」です。look goodはルックスや服装などの「見た目がいい」ということ。転じてYou look good.のように言えば、「元気そうだね」といった意味になります。

look good on...は、服やファッッション、デザインが「(〜に)似合う、格好良く見える」という意味。onの直後には人が入ります。ですからlook good on+人は、褒め言葉に最適です。

I like your tie. It looks good on you.

(そのネクタイいいですね。よく似合ってます)

I love your earrings. They look good on you.

(そのイアリングすごくいいですね。よく似合ってます)

またlook like...も頻出ペアです。「〜のように見える、〜に似ている、〜になりそうだ」といった意味になります。

You look like your father.と言えば「あなたはお父さんに似ている」、(It)looks like rain.と言えば「雨になりそうだ」となります。

ビジネスでは、現状や見通しがどんな感じなのか尋ねたり、報告したりする際に重宝します。

What does your fall schedule look like?

(この秋の予定はどんな感じですか?)

*相手が忙しいのか、そうでないのかをやんわり尋ねている。

Our presentation for tomorrow is not finished yet. Looks like we need to work late tonight.

(明日のプレゼンの準備はまだ終わってない。今夜は残業になりそうだな)

*2文目の冒頭にはItが省略されている。

以上、ここまでに紹介したlookの意味と使い方はほんの一部。lookを含んだイディオムや慣用表現もたくさんあるので、少しずつ守備範囲を広げていきましょう!

■名言を解剖する

The best color in the whole world is the one that looks good on you.

(世界で最高の色とは、あなたに似合う色のことだ)

「最高の、最もよい、最大の」という意味の形容詞bestは、「一番」というイメージがぴったり。通常No.1は1つですから直前にtheを伴い、the bestという形で使われることが多くなります。

口語でもよく使うthe best。You’re the best!(君ってば最高!)は、大量の仕事を抱えテンパっているときに、手助けを買って出てくれた同僚に感謝と賛辞を込めて言うような一言です。How was your vacation?(休みはどうだった?)と尋ねられたら、It was the best.(最高だったよ)のように返すことができます。

またthe bestは今回の名言にあるように、the best+名詞+in the world(世界で一番の名詞)という形でもよく目にします。

in the worldは「世界中で、この世(の中)で」という意味ですが、ここではin the whole worldとwholeが挿入されています。「すべての、全体の」という意味を持つwholeですが、ここでは強調の意味で使われています。「全世界で」と訳してもいいでしょう。

「色」という単語ですが、アメリカ英語ではつづりがcolorですが、イギリス英語ではcolourになります。

ここでのoneは「1」という数ではなく、colorのことです。既に出てきている名詞の繰り返しを避けて使われる代名詞です。一文にcolorが何度も出てくるとくどいので、通常2回目以降はoneとします(詳しくは、こちらのバックナンバーをご覧ください)。

代名詞として忠実に訳すのであれば、「世界最強の色とは、あなたに似合うもののことだ」のように「もの」とすべきですが、日本語としてわかりにくくなってしまうので、対訳では「色」と繰り返しています。

ここでのthatは関係代名詞で、that以下のlooks good on youがthe oneを後ろから修飾しています。「この色というのはね、あなたに似合うやつだよ」と、あとから説明を加える形です。

look good on youは「あなたに似合う」でしたね。「とてもよく似合う」と度合いを強めた表現をしたければ、look great on youと言えばOKです。また「○色が似合う」と言いたいときは、You look good in blue.(あなたには、青が似合うね)のようにin+色とします。

■今週の1枚

出張帰りの飛行機の窓から撮った1枚です。夕刻の空がきれいだったので夢中で撮影していたら、逆方向に進む飛行機が“友情出演”してくれました!

さて次週(7月6日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、イギリスの歴史学者、ノーマン・デイヴィスの言葉をフィーチャーします。専門家の歴史観がぐっと凝縮された一言には、濃厚な味わいがあります。

どうぞお楽しみに。See you next week!

(構成・山本航)

■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。