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見えないものを見る。歴史に残る演説の名手に学ぶビジネス英語

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語 更新日: 公開日:
安河内哲也撮影

「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」#18 Hi, everyone! Happy New Year! 2020年も名言で楽しく英語の勉強をしていきましょう!
さて今回ご紹介するのは、19世紀のアメリカを牧師として生きたヘンリー・ウォード・ビーチャーの言葉です。彼は演説がすこぶる上手な人物だったようで、ユーモアも交えた語り口が当時人気を博したとか。教会でのお説教など、人前で話すことで話術が磨かれたのでしょうか?
人前で話すのは日本語でも緊張します。外国語となればなおさらです。ですが、これに関してはPractice makes perfect.(習うより慣れろ)に勝るものはありません!
段階を踏みながら実践を続けていけば、大勢の前で話すpublic speakingもいつかきっとできるようになるはずです。オリンピックもやってくる今年は、「自分史上最大に英語を発話する」なんていうNew Year’s resolution(新年の抱負)を立ててみるのもいいのでは?
では、今週も張り切って名言を見ていきましょう!(安河内哲也)

■今週の名言

The soul without imagination is what an observatory would be without a telescope.

(想像力がない魂は、望遠鏡のない展望台のようなものだ)

【動画】ヘンリー・ウォード・ビーチャーの名言を安河内先生が解説

■名言を味わう

imagination(想像力)が欠如した人間を、telescope(望遠鏡)がないobservatory(展望台)になぞらえた言葉です。

想像力とは、世界や将来といったさまざまな事柄を、はるか遠くから見通すための心の目のような存在なのではないでしょうか。

展望台では望遠鏡を使って遠くを眺めるわけですから、telescopeがなければ見晴らしのいいobservatoryに行っても遠くを見通すことができません。

同じように人間も想像力なしでは、肉眼では確認できない事象を見ることはできない……。うーん、絶妙な例えだと思いませんか?

想像力はビジネスや人生の将来設計においても望遠鏡のような役割を果たすんですね。また、そんな先の話でなくても、日々の仕事や、英語のスピーキングの最中などで、相手が何を考え求めているのか想像力を働かせることは、とっても大切なことだったりします。

ビーチャーの名言は私たちに、No imagination, no life.(想像力なくして人生なし)だと語りかけているのかもしれません。 

■名言の単語ピックアップ

without

〜がなくて、〜がないならば(前置詞)

よく使う前置詞ですが、まずは簡単なクイズです。withoutと対、つまり反語となる前置詞は何でしょう?

正解は、そうwithです。withは「何かと一緒にある状態」ですが、その外に(out)→つまり「〜なしで、〜を持たないで」というのがざっくりとしたwithoutのイメージです。

withoutの直後には名詞や動詞のing形がよく来ます。例を見てみましょう。

Don’t leave home without your key.

(鍵なしで家を出ないように)

He tends to speak without thinking.

(彼は考えずに話す傾向がある)

またdo without...(〜なしでやっていく、済ませる)という言い方もよくします。

He can’t do without an assistant.

(彼はアシスタントなしにはやっていけない)

doworkliveに置き換えることも可能。

Sorry, I don’t have any sugar, so you have to do without.

(ごめん、砂糖がないのでなしで飲んで)

*ここでのdoは、havedrinkといった意味。

今回の名言では仮定法の助動詞wouldと一緒にwithoutが使われていますね。このように「〜がもしもなければ〜だろう」と仮定の話をする場面でもwithoutはよく登場します。

I wouldn’t be here without her.

(彼女なしでは今の自分はないだろう)

*「彼女が大きな支え、助けになってくれた」という意味。I (We) wouldn’t be here without+人は、スピーチでの謝辞でもよく使われる表現。

I couldn’t have done it without his tremendous support.

(彼の多大な協力なくしてはできなかったでしょう)

*過去にさかのぼって「あのとき誰々の協力がなかったら実現できなかっただろう」と仮定の話をしている。could+現在完了形で過去の仮定を表すパターン。

カタカナだと「ウィズアウト」となるwithout。英語の発音では、thoが連結して「ズア」ではなく「ザァ」のようになります。

また、冒頭のwiは口を丸くすぼめます。さらに、最後のtは「ト」ではなく、舌先を上の歯の裏につけながら「トゥ」と息をかけるように言う感じになります。

このようにカタカナとはかなり発音が違ってきます。実際の発音は、この記事にある動画をクリックして確認してみてくださいね 

■名言を解剖する

The soul without imagination is what an observatory would be without a telescope.

(想像力がない魂は、望遠鏡のない展望台のようなものだ)

soulは「魂」のことでしたね。ここでは、「心」「人間」などと訳してもいいかもしれません。

他にも文脈によって「精神」「感情」「本質」などいろんな言葉が当てはまるほど、soulは意味の幅が広い単語。辞書で用例をチェックしてみるのも楽しいですよ。

どれを当てはめるかは、ある意味その人のセンス次第だったりします。こんなふうに英語の名言を自分でうまく和訳しようと単語の意味をあれこれ調べるのは、「1つの単語につき1個の意味しか知らない」という状態を脱却するのに最適な学習法でもあるのです。

私が紹介する名言も、時間があるときにはぜひオリジナルの和訳をあててみてください。「安河内のよりも断然イケてる!」なんて思いながら、あれこれ考えてみるのもオススメです(笑)。

おっと、話が脱線してしまいました。文法説明に戻りましょう。

ここで登場するwhatは、「何」ではなく「もの」「こと」という意味を持つ関係代名詞です。望遠鏡がない展望台のような「もの」だと言っています。

wouldは仮定法で使う助動詞でしたね。「仮に〇〇だとしたら△△だろう」というように、実際とは違う状況、場面を仮定・想像しているのです。

望遠鏡がない展望台は、ほぼ100%あり得ませんよね? だから「もしなかったら……」と仮定しながら話している。その気持ちがwouldに現れています。

■今週の1枚

成田空港に隣接する航空科学博物館の展望台から撮影しました。風向きにもよるのですが、ここからは、飛行機が離陸している姿を間近でたくさん見ることが可能。飛行機好きにはたまらないスポットです。

「あの飛行機はどこに向かってtakeoffしたのかな?」「どんなpassengersが何をし、誰に会いに、そしてどんな思いを胸に乗っているのだろう?」などなど、離陸する飛行機を見上げていると、想像力がかき立てられる気がします。

2020年という新しい年もimaginationの翼を広げて、仕事、そして英語学習に励んでいきましょう!

さて次週(1月13日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、フランスの著名な哲学者にして小説家のジャン=ポール・サルトルの言葉をフィーチャー。意図を考えながら音読するだけで哲学できちゃうような、深〜い名言が登場します!

どうぞお楽しみに。See you next week!

(構成・山本航)

■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。