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『もういい。さよなら』 カリフォルニアの市民を動揺させる、地元の電力会社

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米カリフォルニア州シルマーで、山火事が送電線塔の近くに広がった=2019年10月、ロイター

“‘I’m Out’: PG&E Blackouts Stagger Californian”

10月13日付 ウォール・ストリート・ジャーナル紙

北部・中部カリフォルニア州に電力を供給している電力会社のパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック社(PG&E)は以前から私を含め、市民からreviled(酷評されている)。長い間、エグゼクティブには巨額のボーナスを払いながら、設備投資やメンテナンスにはケチだった。そうした結果、サンブルで2010年、十分にチェックされていなかった古いガスのパイプラインが爆発し、8人が死亡、58人がけがをする惨事を招き、周囲は完全に破壊されたのだった。さらに去年、パラダイスという都市を完全に燃やし、85人の死者を出した山火事も同社の電気系統からの出火が原因で起きたものだった。

住民の不信感をさらに強める出来事があった。この10月に、強風で切れてしまった送電線などの電力設備が大火災に繋がる危険性があるとして、同社は予防策に75万もの家庭とビジネスに影響する大規模な計画停電を実施すると発表。さらに今後も必要に応じて行うと言ったのだった。つまり、世界の最先端技術を誇る州で、発展途上国に見られるような電力の不安定さが頻繁に起こる可能性が高くなるというのである。

背景には、同社は同業他社と比べて、風向を正確に把握して、設備破損による火災発生の危険性が最も高い場所を特定する技術の導入が遅れていることがある。そうした事情からlarge swaths(広範囲にわたる地域)で停電を行う必要があるというのは、驚くことではないが、市民の怒りはpalpable(明白)である。

停電にstagger(動揺させられている)人は少なくない。住宅費の高さといったカリフォルニア州特有の諸問題への疲れに加え、大規模な山火事の連続発生に恐怖感を抱いている市民にとって、この停電はlast straw(我慢の限界を超えさせるもの)になっているそうだ。記事に出てくるスーパーやレストラン経営者は、冷蔵庫にある何千ドルもの在庫が使い物にならなくなってしまい、こんな環境で仕事を続けられるのか不安に感じているそうだ。

この記事が出た後にもう一度、大きな計画停電があった。さらにもう一つ発生した山火事も同社の設備が原因になったようだ。堪忍袋の緒が切れたカリフォルニア州知事は10月末、同社にこう強く述べた。「PG&Eがget their act together(しっかりする)ために、10年もかかってはならない。彼らの何年間にもわたる金銭欲と誤った管理をもう終わらせなければならない。こんな大規模停電は許されないことである」

「公営化した方がいい」という声がある一方、「もっと厳しく規制を設けるべきだ」と言う声もある。太陽光パネルやmicrogrid(小規模発電網)といったカリフォルニアらしい技術中心の対策を推す声もある。明らかなのは、なんとかしないと多くの人がこの記事で語っているように、I’m out(もういい。さよなら)と言って他州に引っ越してしまう、ということであろう。