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心のサポート動物をどこにでも連れて行く人びと。州政府が断固たる措置

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ミレン・マルティネス(49)とペットのアティラ。アティラは精神障害や学習障害のある患者向けの治療訓練を受けたグレイハウンド。2017年2月、北スペイン、エリゾンドの保健施設で=ロイター

People Are Taking Emotional Support Animals Everywhere.States Are Cracking Down.

6月18日付 ニューヨーク・タイムズ紙

 

私の顧客の1人(中年のアメリカ人女性)は白い小型犬のコッカプーを溺愛し、レストランや出張によく連れて行くらしい。一般的な愛犬家だと思っていたが、彼女がちらっとその犬のことを「私のemotional support animal(エモーショナル・サポート・アニマル、E.S.A.)」と話したので驚いた。盲導犬や介助犬といった目や身体の障害を補助するための動物ではなく、心理的サポートをする動物という意味だからだ。「彼女はそうした犬を必要とするほど精神的な問題を抱えているのだろうか。私のようなビジネス関係者にそのようなことを言って平気なのだろうか」と当惑した。しかし、私には彼女の病気についてその場で聞くだけの勇気はなかった。

記事によると、彼女のようにE.S.A.を飼っている人がアメリカでは近年、急増しているそうだ。2011年に2400匹だったが、現在は20万匹近くにまで増えているという。うつ病や不安神経症を患う人の中には、そばに動物がいるだけでwork wonders(驚くほどよい効果を生じる)とみられる人がいる。薬の代わりに動物を処方する医者もいるらしい。そうした人は常に動物がそばにいてほしいと思い、自分が行く所はどこにでも動物を連れていくというのだ。

ただ、legitimate need(正当なニーズ)のある人がいる一方、単なるペットを通常は動物が断られるような場所にまで連れて行くためにE.S.A.だという偽の認定書を入手し、abusing the system(システムを悪用している)人もいると記事は指摘する。 E.S.A.が増えると、事故や問題が発生するリスクも上がる。飛行機の乗客の1人がE.S.A.のリスを機内に連れてきたため、乗客全員がいったん飛行機から降りなければならなかったこともあったという。

E.S.A.の多くは犬だが、中には豚やカモ、ワニ、昆虫をE.S.A.とする人もいて、特にアパートの家主やレストラン、航空会社が対応に苦慮しているという。 E.S.A.が増えすぎると、盲導犬や介助犬との見分けが難しくなったり、空港やレストランでトレーニングを受けていない E.S.A.犬が盲導犬や介助犬を攻撃したりすることもあるという。

そうしたことに対応するため、複数の州がE.S.A.について新たな規定を導入している。ユタ州では、飼っている動物がE.S.A.だと虚偽の申告をした場合、軽犯罪に当たると規定。バージニア州は、申請相手を治療するなどの医療行為をせずに認定書を発行しているウェブサイトにcrack down(断固たる処置をとる)ことにした。

難しいのはやはり、E.S.A.と単なるペットの線引きである。ある専門家は「to a large extent(大体において)、誰でもペットを飼えば利点を得られる」と述べている。治療目的のペットとそうでないペットを見極めるのは容易なことではないと記事でも指摘されているが、その通りだと思う。