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王室、皇室の「お財布」事情

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エリザベス女王の住むバッキンガム宮殿。この時は女王は不在で、英国旗のユニオン・ジャックがたなびいていた=ロンドン

立憲君主制の王室・皇室の「お財布」はどうなっているのでしょうか。

英王室は税金ではなく、独自の収入源を持っています。広大な所領です。グレートブリテン島の海岸線の多くや西部ランカスター、南西部コーンワルなどに加え、ロンドン中心部のリージェント・ストリートにも土地や不動産をもち、そこから地代などが入ってくるのです。

一部がギャラリーとして公開されているケンジントン宮殿。ビクトリア女王の彫像が立つ=ロンドン

王室の活動費は、2年前の収入の25%として計算されます。2017年度は、15年度に訳3億440万ポンド(約430億円)の収入があったため、その25%にあたる約7610万ポンド(約107億円)を計上しました。ここには職員の人件費も含まれています。

かつては収入を国庫にいれ、その一部を王室費として国家予算から支出していましたが、国民の税金が使われているとの「誤解」を生む要因にもなっていました。そのため12年4月、収入の15%を年間活動費として国家予算に含めない形で支出する制度に変わりました。バッキンガム宮殿の修繕費を捻出するため、17年度に収入の25%に引き上げられました。残りは王室財産として蓄えられ、首相や財務相、女王手許金会計長官が管財人を務めています。

バッキンガム宮殿前で繰り広げられた衛兵交代式の様子。この後、バンド演奏が始まった=ロンドン

オランダの場合、公費が支出されているのは国王と王妃、前女王の3人。公開されている15年の予算額は、人件費なども含め約4000ユーロ(約52億円)でした。

地下に宝物館があるローゼンボー離宮=デンマーク・コペンハーゲン

日本の皇室費は、18年度で約98億6000万円。内訳は、国賓・公賓の接遇や外国訪問といった公的活動に使う「宮廷費」が約91億7000万円、天皇家の日常生活や通常の宮中祭祀にあてる「内廷費」が約3億2000万円、皇族としての品位を保つために各宮家に支払われる「皇族費」が約3億6000万円。このほか宮内庁の人件費などが約114億7000万円。皇居や赤坂御用地、正倉院などは「皇室用財産」とされ、国に帰属しています。