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韓国の「食べる放送」国際化 有名ユーチューバーも続々合流

東亜日報より 更新日: 公開日:
「トンケ」と「ケトン」兄弟の「トンケトン」のモッパン「ハルデッキ」の一場面。テレビのバラエティー番組のように農村で語り合いながら放送する

「自分が食べているみたいな満足感」vs「他人が食べているのをなぜ見るの」

2008年、食べる放送、いわゆるモッパンが登場した。特段のイベントもなく、食べる様子を見せる異色の放送に、歓迎と非難の声が上がった。一時の流行で終わるだろうという予測に反し、モッパンはこの10年、人気の勢いが止まらない。国内ではジャンルの変化を繰り返しながらテレビ放送とユーチューブを制覇し、海外ではモッパンをそのまま「mukbang」と英語で使われている。韓国のモッパンを視聴するだけでなく、自ら料理に挑戦する人も増えている。モッパンの韓流、モッパンの世界化の風が吹いている。

ユーチューブで「mukbang」を検索すると外国人たちが韓国料理に挑戦する映像が続々出てくる。米国のモッパンは対話に主力を置き、タイのモッパンは早く食べる「フードファイター」型が多い。(ユーチューブキャプチャー)

「モッパン」元祖コリア

タイで活動しているユーチューブクリエイターのジャニー・ウェイクルさんのロールモデルは、韓国のスタークリエイター、ヤン・スビンさんだ。フェイスブックのフォロワーが330万人、インスタグラムのフォロワーが34万人というモッパンクリエイターとして、最近タイに進出し、スターになった。韓国のMCN(多重チャンネル)業者、トレジャーハンター所属のウェイクルさんは「タイでヤン・スビンさんは特級のスターだ。彼女のモッパンを参考に、かっこいいモッパンクリエイターとして成長するのが夢」と話す。

モッパンクリエイターのヤン・スビンさん(ユーチューブのチャンネル登録者121万人)がたくさんの料理を前にモッパンを撮影している

ユーチューブの本拠地は米国だが、モッパンの元祖は韓国だ。業界によると、「mukbang」のグーグル検索は2015年以降、急増している。2016年10月、米国のCNNが紹介し、広く知られるようになった。CNNは「mukbang」を「一緒に食事をするソーシャルイーティング(social eating)」と定義した。オンラインを通じて多数がつながって食事をする効果があるということだ。

以後、モッパンは、海外で脚光を浴びる韓流の代表的商品として認識されるようになった。モッパンのスタークリエイター「ベンツ」(チャンネル登録者約289万人)の放送は20%以上が海外の視聴という。「イプチャルブンヘンニム(小食のお日様)」「トンケトン」「エムブロ」「プラン」「シュギ」などの人気クリエイターのチャットには、海外のファンたちが自国の料理を紹介してほしいという要望が寄せられることもある。モッパンではないが、韓国の伝統市場の料理の様子を見せる「フーディーボーイチャンネル」は海外の視聴が90%を占める。

MCN業者サンドバックスネットワークのパートナーシップマネージャー、ファン・スヨンさんは「一部のクリエイターたちは海外の視聴者が60%に及ぶ。地域は東南アジア、日本や中国などの東アジア、米国、南米など様々だ。食に対する関心は万国共通なので、モッパンに国境は関係ない」と話した。

モッパン世界化シーズン2

初代モッパンのクリエイターとして「モッパン界の皇太子」と呼ばれる「ベンツ」(ユーチューブのチャンネル登録者289万人)の放送の様子

「マクドナルドの新製品試食、韓国のプルダックポックンミョン(注:韓国のインスタント麺の商品名)を辛くなく作る方法、4歳の少女のモッパン……」

ユーチューブで「mukbang」と検索すれば、モッパンの動画がたくさん出てくる。様々な人種のクリエイターたちが、寿司、タコス、ハンバーガー、羊肉など各国の料理を食べる場面を見せる。

最近は韓国のモッパンを参考に創作する海外クリエイターも増えている。先月、米国のデジタル文化専門媒体のワイアードは「ここ1年で、モッパンがユーチューブの主流文化に浮上した。モッパンは国境のない文化。700万人のチャンネル登録者を持つオークリーをはじめ、トリーシャ・ペイタス、ジェームス・チャールズ、マニー・ムアらスターユーチューバーたちがモッパンを撮っている」と報じた。

MCN業者トレジャーハンターのソン・ジェリョン代表は「約2年前から海外のチャンネル登録者が10万人以上のクリエイターが1500チーム以上に増えた。『いいね!』やシェアを通して広がり、模倣や創作を通してクリエイターに成長する海外ファンたちが多い」と話す。モッパン視聴ブームが起きた3年前の「シーズン1」に続く「シーズン2」に入ったようだ。

特に注目したいのは、韓国料理がよく登場するということ。代表メニューは、プルダックポックンミョン、トッポッキ、韓国ラーメン、キムチなど辛い食べ物だ。韓国の辛い食べ物に挑戦するといい、バケツに麺をいっぱい入れて食べきって見せたりもする。プルコギ、チャプチェ、カルビ、キンパプなど韓国の代表的な料理もよく出てくる。

モッパンの流行に乗って、韓国料理に対する関心も高まっている。三養食品は、モッパンを通してプルダックポックンミョンの人気が高まり、最近3年間で輸出額が6倍に伸びた。国内よりも海外でよく売れた。ヨーロッパ、北米、南米、東南アジアなどで韓国料理についての認知度が高まっていると海外で報じられている。

高い人気の中、規制の問題も

ユーチューブのチャンネル登録者41万5千人を抱えるモッパンクリエイターのクォン・フェフンさんが放送で食べている様子。クォンさんは話術と「スカモッキ(混ぜて食べる)」などの流行語で人気を集める

「食事の時間のたびに放送を見ていたら、一緒にご飯を食べている家族みたい。クリエイターも、放送を一緒に見ている視聴者も親しみを感じます」

ソウルで会社に勤めるソン・ミヘさん(38)は、自炊生活を始めて18年目だ。一人でご飯を食べる時はいつもテレビと向き合っていたが、モッパンを知ってからは、ノートパソコンを開いて食べる。食べている最中は、しゃべりながらの放送を、食後は食べる音だけを聴かせる「モッパンASMR(自律感覚快楽反応)」をつける。「モッパンを見始めて5年目。時々モッパンの視聴者たちで集まってモッパンツアーもする。モッパンは実質的な空腹だけでなく、精神的な面でも満たしてくれる」と話した。

モッパンは、テレビ放送とユーチューブなどを通して全盛期を謳歌している。特に食べている様子を集中的に見せて、親近感を与えるユーチューブに最適な放送と評価されている。ソン代表は「食べる行為についての関心の高まり、一人世帯の増加、ダイエットブームなどが相まってモッパンの人気につながっている」と言う。文化評論家のハ・ジェグン氏は「食べるということは最も本能的な行為だ。社会が複雑化して世知辛くなってきて、何も考えずに楽しめるモッパンの需要が伸びている」と分析する。

モッパンが周辺文化から主流文化になったのは、ジャンルの変化による部分もある。初期のモッパンの多くは変わった食べ物に挑戦したり、大食いに挑戦したりという内容が主流だった。最近は、食を素材としていても、内容も形式も様々だ。ダイアTVの関係者によると、最近は料理方法を教えてくれる「レシピモッパン」、一人世帯のための「ひとりご飯モッパン」など様々な変化が見られる。大食いを自慢する「ベンツ」、話術で見せる「クォン・フェフン」、田舎の家族の食事を見せてくれる「トンケトン」、料理しながら食べる「イプチャルブンヘンニム」、釜山の料理に特化した「ナルム」、80代の高齢の「ヨンウォンさん」などが代表的だ。

モッパンが広がり、視聴者の層も拡大した。業界によると、20、30代の女性の視聴が中心だったモッパンは、最近は10代から50代まで性別に関係なく人気だ。

モッパンは国内外で人気だが、解決すべき課題もある。肥満人口が増える中、政府は8月、モッパンの規制の必要性を提起した。世論の強い反発で政府は一歩下がったが、肥満とモッパンは関係があるという学会の研究結果も報告されている。

モッパンのグローバル戦略は慎重に進めるべきだという指摘もある。ソン代表は「それぞれの文化圏に合わせて長く関心を引くようなモッパンのコンテンツを開発しなければならない。クリエイターたちが芸能人化する傾向があるが、収益を分かち合うなど親近感という長所を維持する努力が大切」と話した。

(2018年10月13日付東亜日報 イ・ソル記者)

(翻訳・成川彩)