1. HOME
  2. LifeStyle
  3. 北欧ノルウェーの最新ファッション 白黒からカラフルな強い女へ

北欧ノルウェーの最新ファッション 白黒からカラフルな強い女へ

ノルウェー通信

8月1416日、オスロ・ファッションショー「オスロ・ランウェイ」(Oslo Runway)が開催され、最新のコレクションがお披露目された。

ノルウェーファッションのこれまで

北欧各国の中でも、ノルウェーのファッションブランドやファッションショーというのは、世界的にはあまり知られていないかもしれない。ファッション業界に限らず、ノルウェーでは多くの分野で、デンマークやスウェーデンなどに後れをとってきた背景がある。

鐙麻樹_02
「Moire」のコレクション

北欧の中で唯一、石油・天然ガスを国外に輸出してきたノルウェーは、資金に困ることがなく、資源以外の分野において、「のんびり」しすぎていたためだ。しかし、オイルマネーにいつまでも頼っているわけにはいかないと、「第二のオイル」となるビジネスを活性化させようと気づく。今、国からの支援をエネルギーに、各業界が重い腰をあげつつある。

一方で、ノルウェーでは、ファッション・美容というジャンルは、既存メディアからは批判的に報道されやすい。男女平等先進国であるため、外見を重視するファッション業界は必ずしも好かれない。ノルウェーの人々も、個人主義が強く、流行にはあまり大きな影響を受けない傾向がある。

鐙麻樹_03
by TiMoのコレクション

機能的なスポーツやアウトドアファッションにお金を使うことは大好きだが、普段着となると、H&Mなどの格安ファッションや古着が好まれやすい。

加えて、ノルウェー独特の傾向が、「インフルエンサー」に対する厳しさ。

鐙麻樹_04

SNSインフルエンサーに厳しい国

SNSやブログでたくさんのフォロワーを持つノルウェー人インフルエンサーたちは、業界からお金をもらって商品を宣伝し、若者のメンタルヘルスに悪影響を与える、として叩かれやすい。

叩かれすぎていて、たまに可哀そうだなとも感じる。彼女たちは、日本だったらもっと優しく受け入れられていただろう。

鐙麻樹_05
たまたま写真に入り込んできたハト。スマホ撮影で夢中になっているファッションピーポーを見つめるその姿は、冷めた目で観察するノルウェー記者のようだ。

ノルウェーでの「普通」が日本に持ち込まれると、たくさんのメディアや読者モデルなどが、批判を受けることになるだろう。

ファッションショーの紆余曲折

オスロ・ファッションショーにも影の時代があった。以前やっていたものは、あまりに不評で2012年に打ち切られ、新しく立ち上がったのが今のオスロ・ランウェイ。

鐙麻樹_06
ショーの最前列に並ぶインフルエンサーたちは、重要な宣伝マシンとして、業界で重宝される。外見重視ともなる彼女たちは、ノルウェーの「ありのままで」価値観にフィットしていないこともある。

ノルウェーでは各業界が政府や自治体から補助金をもらうのが当たり前だが、ファッション業界が(国民の税金を)もらおうとすると叩かれる。そのような報道が、今年はやっとなくなっていた。

ノルウェーという国は、ファッション業界を盛り上げたいと思う人には、可能性がある市場にも、可能性がない市場にもうつるだろう。

鐙麻樹_07
白黒という落ち着いた安全カラーが人気のノルウェーで、インフルエンサーたちは、カラフルな色の楽しみ方を広める

私は個人的にはファッションは好きなので、「がんばれ~」と密かに思う。

ミニマリズムの北欧ファッションに進化の兆し?

鐙麻樹_08
ノルウェーのファッションショーに欠かせない存在、byTiMoのショーが始まった

さて、今回のオスロ・ランウェイからのレポートをお届けする。

「北欧ファッション」といえば、ここ数年の全体の傾向として、「ミニマリズム・機能的・シンプル」があった。

カラフルだったり、奇抜なデザインは珍しい存在。写真映えすることよりも、北欧現地で「売れるか」という目線が重視された。

ノルウェーの消費者に好かれることを気にしてしまうと、陥ってしまうのが、「安全路線」と「白黒の世界」。

ノルウェーの人は、アウトドアウェアは驚くほど派手な色を組み合わせて着るのに、普段着となるとモノトーンカラーを好む。

特に、黒信仰がすさまじい。

鐙麻樹_09
Ibenのコレクション。シンプルだが、じっくりとみると服のラインが個性的。日本には未進出だが、オーナーたちは今年日本へ市場調査にでかける予定とのこと

「北欧は冬が寒くて暗いから、インテリアなどには明るい色を好む」という決め台詞を日本のメディアではよく見るが、その定義はファッションにおいては全く通用していない。

ノルウェーの冬ファッションは、黒色で溢れる。電車の中には黒色の服を着た人でいっぱい。その反動で、「みんな」とかぶることが好きではない私は、黒色の冬コートをこの国では着たくない。

その黒シンプルな法則が、今回のショーでは全体的に破られつつあるので、なんだかほっとした。

鐙麻樹_10
Moireのコレクションには、時にはっとするほど気になる個性的なデザインがある。オーバーサイズで、動きやすそうな服も多い

フランスなどの他国に比べると、まだまだ落ち着いた型でおとなしい色使いだが、ノルウェーブランドが、「実験」をやっと始めたと感じる。

鐙麻樹_11
Michael Olestadはノルウェー人男性によるブランドで、今後注目のデザイナーとして注目を集めている
鐙麻樹_12
Ibenは動きやすさを重視したデザインが多い
鐙麻樹_13
今回初めて名前を知ることとなったMerilin Kolk。ショーでは若手デザイナーの後押しもする

そういう意味で、ノルウェーの「by TiMo」は、色と花柄・フェミニンさ満載! 見ていて楽しくなるコレクションを毎回発表する。

鐙麻樹_14
オレンジのキモノガウンはbyTiMo

日本の着物や羽織から影響を受けた洋風キモノガウンがトレンド

鐙麻樹_15
byTiMoの世界観は変わることなく、ファッションウィークを盛り上げている
鐙麻樹_16
byTiMoのコレクション
鐙麻樹_17
byTiMoのコレクション
鐙麻樹_18
byTiMoのコレクション

by TiMoは、ノルウェーのファッションブランドを代表し、「あなたは美しい」(You are beauriful)と謳い、女性たちを応援する。ノルウェーで働くビジネスウーマンたちが、パーティーなど「ここぞ」という場で、好んで着ている。

鐙麻樹_19
byTiMoのコレクション

インスタ映えもするのがさらに人気の秘密。

これからの活躍が楽しみなHAiKW/

ファッションウィーク中には、複数の候補者ブランドの中から最も優秀な者に、ビクボク賞が贈られれる。今回の受賞ブランドは、HAiKW/。

鐙麻樹_20

個性的でカラフルな服をまとい、コツコツと大きな音を立てる不思議な木製の靴で歩くモデルたち。

鐙麻樹_21

HAiKW/の素晴らしさは秀逸で、アワードを受賞したことを意外だと思った人は、ほとんどなかったのではないだろうか。

鐙麻樹_22

ノルウェーファッションのイメージを覆すかのような独特な世界観。今後の若いデザイナーにも良い影響を与えるだろう。

「私たちは強い」、女性への応援メッセージ

鐙麻樹_23
Pia Tjeltaのコレクション

今回は「女性の強さ」と、「互いを応援しあうこと」をメッセージとして発信するブランドが多かった印象を受ける。

鐙麻樹_24

「Pia Tjelta」は、地元では人気の女優ピア・シェルタ氏による新ブランド。オスロのファッション通りと呼ばれ始めているプロメナーデンで、「女性の行進」を演出した。

鐙麻樹_25

「強い女」「彼女は自分が求めていたヒーロー像に自分でなった」「フェミニズムはみんなのために」などの言葉が書かれたプラカートで行進する女性たち。

鐙麻樹_26

音楽や行進の印象が強すぎて、服の印象があまり残らなかったのだが、特定の消費者に強いメッセージを送ることには成功したのかもしれない。

鐙麻樹_27

「覚えておいて。私は世界で一番強い女性」と書かれたIbenのTシャツ

鐙麻樹_28
互いを支えあう強い女性たちを訴えるLine of Oslo

#MeTooは、ノルウェーでも大きな影響を及ぼした。有名な政治家などが辞任、各業界でも続々とセクハラ告発が起こる。米国のトランプ大統領のニュースも、自分事として受け止める人が多めのノルウェーで、女性たち同志で互いをサポートしあうことの重要性を強調する人は多い。

働く女が多い国では、歩きやすい靴で!

最後に、ノルウェーのファッショントレンドで、私が一番好きなのは、「靴」かもしれない。

鐙麻樹_29
鐙麻樹_30

働く女性が多く、外見美なんてどうでもいいと思っている人が多いこの国では、細いヒールよりも、スニーカーが大人気。

ノルウェーに来て、私はヒールを一切履かなくなった。会場にもファッショニスタたちは、太いヒールか、平たい靴で登場!最近のトレンドとしては、スリッパのような靴も目立つ。

ヒールをはかないところはノルウェーのいいところだ。

鐙麻樹_31
鐙麻樹_32
鐙麻樹_33

 

Photo&Text: Asaki Abumi