Are Genetic Testing Sites the New Social Networks?
6月16日付 ニューヨーク・タイムズ紙
筆者は数年前、健康管理のためにgenetic test(遺伝子検査)を受けた。先月、その会社経由で1通のメールが届いた。そこには「私(メールの差出人)は子どもの時に養子縁組され、biological parents(生みの親)を捜しています」とあった。遺伝子検査の結果によると、筆者は差出人の第3のいとこ(祖父母のいとこの孫、親のまたいとこの子)にあたるらしい。差出人からの主な質問は、筆者の親族にニューヨーク周辺で1960年に、非婚パートナーが妊娠し、その赤ちゃんをput up for adoption(養子に出した)可能性のある男性を知らないか、というものだった。写真も送付され、親戚で似ている人はいないか、とあった。
答えはいずれも、ノー。筆者も差出人の父親も、Ashkenazi Jewish(アシュケナージ系ユダヤ人、東欧・ドイツのユダヤ人)で、その民族は昔、『屋根の上のバイオリン弾き』に描かれたような東欧などの小さな村に住んでいた。祖先の間ではintermarriage(親族間の近親結婚)が多かったため、遺伝子検査で血縁関係をたどるのはなかなか難しいそうだ。メッセージの差出人が結局、生みの親を見つけられたかどうかは分からない。
今回取り上げた記事によると、こうした経験をした人は多いようだ。遺伝子検査が最近、gained traction(勢いを増し)、検査を受ける人が増加しているからだ。結果が出ると、親戚リストをもらう。ソーシャル・ネットワーク同様にメッセージ機能があり、それを利用して新たに分かった親戚に連絡を取ることができるので、そうするユーザーが増加しているのだ。long-lost relatives(ずっと行方不明だった親戚)と再会したり、ベストフレンドになったり、一緒に旅行したり。また、精子提供を受けて生まれた子どもが精子を提供した父親を発見したり、養子に出された子どもが生みの親を見つけたりと、今まで想像できなかったような繫がりが現実に生まれているという。
記事で紹介されている、ある女性は1200人の親戚リストを入手し、連絡することに膨大な時間を費やしgiddy(めまいを起こさせるような、クラクラするような気分)になって、went down a rabbit hole(ウサギの穴に落ちた、夢中になって永遠に続く作業に陥ってしまった)そうだ。複数のいとこと待ち合わせして会ったり、新たに分かった親戚に会うためにイタリアに出掛けたりもした。もう1人の女性は、異父姉と生みの母親の姉と非常に親しくなり頻繁に電話で話しているという。
他方、リストの親戚に連絡したところ、alienating(よそよそしい)対応をされた人もいた。ある女性は検査結果で報告された生みの親に連絡すると、「あなたが私の娘だなんてあり得ない」と言われたという。遺伝子検査を受けるアジアやヒスパニックの人口はまだ少ないので、そのグループに属する人が検査しても親戚リストはほとんどあがってこないという問題もあるという。しかし、遺伝子検査の人気はこれからますます上がると予測されているので、この問題は自然に解決されるだろう。
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