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ロヒンギャはなぜ迫害されるのか 日本も無関係ではないその背景

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バングラデシュ・テクナフ近くのロヒンギャキャンプ=堀内京子撮影

なぜロヒンギャは迫害されるのか。ヤンゴンで聞いても、多くのミャンマー人がロヒンギャを「バングラデシュから流入した不法移民で、ミャンマー国民ではない」と見ているようだった。タクシーの運転手は「子だくさんだから人口が増える」と「脅威」を語り、あるロヒンギャは「商売上手だから反感を持たれるのかもしれない」と分析した。

25年前からミャンマー(ビルマ)の人々の姿を記録してきたフォトジャーナリスト宇田有三は、ロヒンギャ問題は長く続いた軍事政権の「負の遺産」と指摘する。

軍が50年余り政治を支配したなかで、ロヒンギャだけでなく、あらゆる少数民族を差別した。政治参加や言論も統制された。「軍事政権が権力を掌握した恐怖や閉塞感から国民の不満をそらすため、ロヒンギャの問題は意図的に放置されてきた。政府に表立った批判が起きないのは、多くの人が今の経済発展にある程度満足しているからだろう」

反軍事政権で知られるミャンマーの英字誌記者も「少数民族や民主化運動への対応を長年見ている私たちの社会には、軍や治安部隊とはひどいものだ、というあきらめが広がっている」と話した。民主化運動の象徴アウンサンスーチーが国家顧問になったとはいえ、軍は防衛や治安を担い、議席も持っている。「スーチーがロヒンギャの肩を持てば支持者は離反し、国をまとめるという大目標が危うくなる。積極的には解決に動けない」

日本もまた、この問題に無縁ではない。ビルマ現代史を研究する上智大学教授の根本敬は「彼らが住むラカイン州北西部でイスラムと仏教の感情的対立を増幅させたのは、太平洋戦争中の日本と英国の代理戦争だった」と指摘する。

英国のビルマ進出に伴いバングラデシュから多くのイスラム教徒が流入。一方で、日本は陸軍の組織「南機関」が、スーチーの父アウンサンら仏教徒主体のビルマ人を支援して英国からの独立を促した。ラカイン州では日本が仏教徒を防衛に使い、イギリスはムスリムを組織して奪還作戦を展開。モスクと僧院を破壊しあうことになった。「その感情の対立が、戦後になって固定化されていった」というのだ。

独立後や軍事政権下でも、軍部を中心にした日本との人的交流は続いた。日本との経済的なかかわりも強く、日本は中国と並び、ミャンマーへのODAの最大供出国の一つだ。

国連が昨年12月、ロヒンギャ迫害を非難する決議を賛成多数で採択した時にも、「ミャンマーが受け入れられる形でないと効果的ではない」と棄権に回った少数の国の一つが日本だった。「恥ずべきこと」(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗)と批判も強い。(文中敬称略)

(堀内京子)