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認知症、家族の負担どう減らす 英国で進む研究

World Now
研究に参加したロンドン大経済政治学院のマーティン・ナップ教授

認知症のケアにかかるコストは、世界で年間8180億ドル(約90兆円)と試算されている。英国では、家族の負担を減らす研究が進んでおり、学術的に裏付けされた効果もでている。

ロンドン大教授のジル・リビングストンらは、介護者をサポートする「START」という方法を開発した。心理学の訓練を受けた人がマニュアルに基づき、介護者と1対1で8回のセッションを実施する。心理的にサポートしてくれる場所を紹介するほか、なぜ認知症の人が攻撃的になることがあるのか、その理解を促す。攻撃的になった場合の対処法や、「どうにもならない」と思いつめずに受け入れて、コミュニケーションを改善しながらリラックスする方法なども教える。

STARTのケアを2年間受けた介護者と、通常のケアを受けた介護者を比べると、前者がうつ病になる確率は、後者の7分の1にとどまった。

共同研究者のロンドン大経済政治学院教授のマーティン・ナップは「英国や日本といった多くの国で少子化が進んでいる。ケアを担う家族は急速に減っていきます。女性たちが無報酬の介護者でい続ける時代でもない。今後20年は、大きな社会的チャレンジになります」と話す。(文・写真 下司佳代子)