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旅館業から転身、何もかも手探り @サンタローザ(フィリピン)

私の海外サバイバル 更新日: 公開日:
毎朝の操業前には、日本のラジオ体操を全員で行う photo: Nezu Masahiko

根津政彦 豊ファインパック・フィリピン事務所マネジャー

私のON

首都マニラの南約40キロにあるベッドタウンで人口約27万。近年は日本企業の進出が目立つ。大型遊園地「エンチャンテッド キングダム」でも知られる。

私の会社は福井県越前市に本社があり、電子部品など工業製品の保護包装材を製造・販売しています。中小企業の海外進出では、大手企業の支援を受けるケースも多いようですが、うちは単独でフィリピン進出を決めました。

とはいえ、私自身は古株の社員ではありません。入社したのは、海外法人が始動するわずか数カ月前、2013年初頭でした。北海道で実家の旅館を継いだのですが、観光客の減少で廃業しました。「これからどうしようか」と思っていたところ、大学の先輩だった社長が「海外進出に力を貸して」と声をかけてくれたんです。

「渡りに船」と即決したのですが、英語がそれほど得意ではないし、製造業の経験もない。会社自体も海外にコネはない。何もかもが手探りでしたが、思い切って飛び込みました。

現在は5人の現地社員と仕事をしています。役所の許認可手続きの煩雑さや、原材料を安定して確保することの難しさには泣かされましたが、現地社員の一人が日本の工場で働いた経験があり、日本の製造業のカルチャーを伝える橋渡しをしてくれたので、とても助かりました。

2年たって、ようやく製品の質を安定させる自信がつきました。今後は現地の販路開拓に力を入れ、早期の黒字化を目指します。

私のOFF

こちらの外食は「米などの炭水化物+肉」というハイカロリーなものが多く、野菜をあまり食べられません。

そこで、日曜日にだけ開かれるオーガニックマーケットで買い物をし、その週の分の夕食を作って冷凍する。後は音楽や落語を聞きつつ掃除をしていると、いつのまにか休日が終わっています。

友人と食事をすることもありますが、一人でいるのが苦にならない。当分、独身生活が続きそうです。

(構成 GLOBE記者 太田啓之)

ねづ・まさひこ

1975年、北海道生まれ。大学時代にバックパッカーとして東南アジアを何度も旅し、魅せられる。卒業後は鉄道会社や出向先の旅行会社での勤務、旅館業を経て現職。