舞台は、米南部サンディエゴとメキシコ北部ティフアナの国境にある「フレンドシップパーク」。
移民支援NGOボーダーエンジェルズの働きかけで2013年から、米国境警備隊が年1~2回、鉄の非常扉を開放し、家族の再会を認めている。
ロイター通信の動画によると、「希望の扉」と呼ばれるようになったこの扉が11月18日に開くと、壁の両側で待ちわびた人たちから拍手と歓声が上がった。
サンディエゴ側から歩み寄ったスーツ姿の新郎ブライアン・ヒューストン(26)の先に、ティフアナ側で真っ白いウェディングドレスを着た新婦イベリア・ライエス(27)と前夫との子ども2人が待っていた。
ヒューストンは駆け寄ってきた新しい娘を抱き上げ、ライエスを抱きしめた。国境警備隊員や移民支援団体らが見守る中、2人は結婚届に署名し、誓いのキスをした。
「戻ってください」。支援者が声をかけた。わずか3分間のできごとだった。この日、他に11組の家族が再会を待っていた。
ヒューストンは米側でメディアに「お互いに行き来できないので、ここでしか会うことができません。一刻も早く妻にビザが出て一緒になれることを願っています」。
ライエスはメキシコ側AFP通信に「壁なんて本当はありません。物理的にはあるけれど、それだけのことです」と話した。
ワシントン・ポスト紙によると、国境での物品のやり取りは禁じられているため、結婚指輪はお互いに自分のものを持参したという。
ヒューストンは米国人で、レイエスはメキシコ人。2人はティフアナで3年前に出会った。
その後、ヒューストンは米国を出国できない事情を抱えるようになり、レイエスは米国に行くビザがとれない。週末の一日4時間だけフェンス越しに会話ができるフレンドシップパークでデートを重ねてきた。
2人は式の後も、いつものように、午後2時の面会終了時刻までフェンス越しに語り合っていたという。
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