1. HOME
  2. LifeStyle
  3. ウェディングドレスは清らかな白、は時代遅れ 「自分らしい色」を選ぶ女性たち

ウェディングドレスは清らかな白、は時代遅れ 「自分らしい色」を選ぶ女性たち

ニューヨークタイムズ 世界の話題 更新日: 公開日:
FILE ム Wedding dresses in green and yellow tulle by Andrew Kwon in New York, Sept. 21, 2021. As couples seek to plan nuptials that feel more personal, many are eschewing tradition ム but saying goodbye to the plain white wedding gown may be the most visible break yet. (Dina Litovsky/The New York Times)
ニューヨークの(ファッションデザイナー)アンドリュー・クォンによる緑色と黄色のチュール(薄く網状に織った生地)でつくったウェディングドレス。カップルがより個性的な感じの結婚式を計画する時は、多くが伝統的なことを避けるが、その場合、白いウェディングドレスに別れを告げるのがこれまでのところ、最も一般的なやり方だ=2021年9月21日、Dina Litovsky/©2022 The New York Times

エリザベス・アラセビは、どんなウェディングドレスを選ぶかに際し、慣習に従う気はなかった。

「花嫁なら誰でも結婚式の日は、自分が最高に美しいと感じたいものだし、伝統に合わせて甘ったるい白のドレスを着る選択肢は私にはなかった」とアラセビは言う。米ミネソタ州ブルーミントンに住む36歳の会計監査人だ。

アラセビは自分を「純真で、繊細で、慎み深い」といった人間にみせたくはなかったとも言い、ウィスコンシン州ペピンの鍼灸(しんきゅう)師マイケル・アラセビ(32)との2021年6月に挙げた結婚式には、黒いレースがついた特注の赤いガウンを着た。

彼女は、ドレスと結婚式全体がとても「私らしくて、すごくきれいだった」とゲストたちが言ってくれたとし、その時のドレスの評判のよさにびっくりしたいう。

英国のビクトリア女王が1840年にアルバート公との挙式で白いサテンのガウンをまとった直後から、その色調はウェディングドレスの代名詞となったが、それ以前はもっと鮮やかな色合いだった。しかし、あれから182年の歳月を経て、エリザベス・アラセビはより色彩豊かなガウンを再び取り入れている現代の花嫁やブライダルファッションデザイナーの一人である。

ウェブサイトBrides and Investopediaは2021年11月、今後2年間に結婚を計画している1千人を対象にした調査結果を発表した。それによると、28%が型にはまらない服装をするために従来の白いガウンや古典的スーツは避けたいと思っていることがわかった。

21年12月に発表されたEtsy(訳注=宝石類や衣料品など多様な商品を扱う米国の電子商取引サイト)の調査は21年9月から11月と前年同期の3カ月間のデータを調べたもので、ドレスやスーツ、ベール、センターピース(重要な品々)などのカラフルな結婚式関連用品の検索件数は前年同期比で223%も増えたことが判明した。

「この世代の花嫁は、結婚式のオンラインでの見栄えに関心を寄せている」とアナスタシア・スティーブンソンは言う。ロサンゼルスとジョージア州サバンナを行き来しているァッションデザイナーで、リゾート地挙式のプランナーでもあるスティーブンソンは、TikTokやInstagramには花嫁たちの「投稿が何十万件もあるから、その中で目立つには何か違うことをする必要があるのだ」と指摘する。

加えて、結婚より同棲の方が一般的な今日では、(訳注=米調査機関の)ピュー・リサーチ・センターによると、清らかさを象徴する白いドレスの考え方は時代遅れになっているとリンジー・ケントは言う。

トロントのウェディングプランナーで、The Pop-Up Chapel Co.の創業者だ。

それでもなお、大半の花嫁は白い色から黄や赤のような大胆な色に飛びつくのは躊躇(ちゅうちょ)していると、ヘザー・マクレイノルズは言う。David's Bridalの副社長で、婚礼や服飾部門の営業本部長である彼女の話だと、4人に1人はシャンパン色や、ピンクや赤みがかった色、カシミヤなどの白くない中間的な色合いのドレスを選んでいる。

彼女によると、David's Bridalでは、ピンクはドレスで最も人気がある非伝統的な色だが、ここ18カ月で同社のチェーンではウェディングドレスの色に黒や赤、青も含めるようになった。カラフルなドレスは同社コレクションの約10%を占めるようになっており、昨年からざっと30%増えた。

「とりわけ黒は、粋でドラマチックな見栄えの挙式を希望する花嫁の共感を呼んだ」とマクレイノルズは言っている。

25歳のサラ・ホルウェイは、コーヒーショップで働く27歳のブレイドン・バジャーと2021年9月に挙げた結婚式で着るドレスを買う時、着想を得るためおとぎ話やファンタジーに目を向けた。だが、訪ねたブティックはどこも彼女の思いにかなうドレスを置いていなかった。彼女は、白をまったく考えなかったわけではないが、何かユニークなのを探していたと振り返る。

「何か違うドレスがほしかった」と現在専業主婦のホルウェイは言う。

カナダのアルバータ州エドモントンで行った結婚式でホルウェイが着たドレスは、ほんのり赤みがかった色合いで、ピンクの花の装飾が施されており、カップルの挙式の基調色だった濃いセージグリーン(灰色がかった黄緑色)に合わせて彼女の母親が特注したものだった。ゲストの中には花嫁のドレスが白くなかったことに驚いた人もいたが、多くはホルウェイに、ドレスが「印象的」で「とても私らしかった」と言ってくれたと彼女は言っていた。

ウェディングドレス(あるいは生涯の伴侶)を見つけることと同じように、適切な色調にたどり着くには、その前に何度もダメ出しが必要になる場合があるのだ。

シェルビー・ヘンリー(25)は、背中に立体的な花と真珠の飾りがついたヌードカラーのベルタ・バリルティのドレスに魅せられた。インディアナ州ホワイツタウンのイベント会場The SixpenceのCOO(最高執行責任者)であるヘンリーは、当初、その色があまりにも伝統からかけ離れているのを心配したが、他に50着近いドレスを試した末に最初に気に入った色に戻った。

「結局、そのドレスはまさしく私が望んでいたものだと思ったので、選ぶことにした。つまり、とても独特ということ」とヘンリーは電子メールで返答を寄せ、「すぐにはそれがウェディングドレスとは気づかせない」もの(が欲しかった)と書いてきた。(抄訳)

(Danielle Braff)©2022 The New York Times

ニューヨーク・タイムズ紙が編集する週末版英字新聞の購読はこちらから