2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、第2次世界大戦後の国際秩序を根本から揺るがすもので、私たち日本人は改めて世界の動きに関心をもたざるを得なかったのではないでしょうか。
ビジネスに直接的な影響が出ている企業も少なくないでしょう。また、この長引くコロナの影響で海外との往来が制限されて「鎖国国家、日本」というレッテルを諸外国から貼られる一方で、私たちは世界への関心を逆に持たざるをえない状況になっています。そして世界の動きにアンテナを張るには、やはり外国語の学習が避けて通れません。
今回のロシアによるウクライナ侵攻のケースであれば、ロシア語ができる方は大変貴重な戦力でしょうし、そうでなくても、現下の米中対立で、英語だけでなく中国語にチャレンジしている方も多いのではないでしょうか。
もう一つの地政学リスクをはらみ、今回のウクライナ侵攻でエネルギー安全保障上の重要性が高まっているのが中東です。日本は約9割の原油輸入を依存しており、私が専攻してきたアラビア語が役に立つことは言うまでもありません。このコラムのタイトルも「外国語習得術」であって、実際のレッスンはその一例として英語を使用してきましたが、改めて、あなたはビジネスで何語が必要なのか考えてほしいと思います。
今回のテーマはウクライナ情勢。首都キーフ(キエフ)近郊の町ブチャで、民間人の大量虐殺があったとされるニュースについてです。外国の人と話す際に、自分の考えをコメントできるようにしておきましょう。
まず日本語を読んで、自分ならどの単語やどの表現を使って自分の意見を言おうか、考えてみてください。
英語はまだ見ないで、日本語であなたなりの意見を考えるのです。
その際、この記事に出てくる岸田総理や松野官房長官と同じ意見であれば、そのまま、自分の意見として自己発信文を作り、私が提唱している「自己発信ノート」(第2回参照)に書いてみてください。とにかく、一人称で考えることが重要です。
次に、日本語の記事の英語の原文を見ます。
ここで、日本語の記事からあなたが想像したのが原文の英語そのままなら、あなたの英語はネイティブレベルであり、もうこのコラムを読む必要はないでしょう。
多くの方は原文を見て「ずいぶん違うな」と難しく感じるのではないでしょうか。
でもまずは、原文をそのまま引用して、自己発信文を英語にしてみましょう。
このように、選んだ題材の文章を少し加工するだけで、自分の意見を表す立派な文章が外国語(英語)で完成します。「日本語」を起点に自分が外国語で言いたいこと探し、それに見合うテキストの英文を日本語と比較してみることが大切です。
言いたい日本語をすぐに英語で言うことができないこともあるでしょう。そういう時は、私が提唱する「英文テキストはアウトプットの材料箱」を実践してみてください。
まずはテキストの英語をそのまま自己発信文に入れてみましょう。テキストの英文をフル活用して文章を作ってみるのです。
いったんこの作業までできれば、今日のレッスンで、あなたの勉強スタイルは、すでに受け身から発信へと変革の一歩を踏み出したはずです。
私がアラビア語を勉強し始めた25年前は、日本語・アラビア語の辞書がなく、日本語から英語、英語からアラビア語に訳しながら勉強するしかありませんでした。それを思うと日本人の英語学習者はとても恵まれています。ほとんどのテキストに日本語訳がついていますから、それを利用しない手はないでしょう。
しかし、日本語からこのネイティブのように原文の英語がすぐ出てくるには訓練が必要です。そこをこのコラムでも鍛えていければと思います。
自己発信文に戻りましょう。①から⑪について、英語の原文の単語どおりでは、あなたにとって難しすぎる場合も、そうでない場合も、いくつかのバリエーションを持っていくことが語学力を高めるコツになりますので、それをオリジナル単語帳に落としていきます(「オリジナル単語帳」の考え方と作り方は第5回参照)。
これらを踏まえた「オリジナル単語帳」のイメージは下記の通りです。参考になれば幸いです。