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新時代の公共交通「のるーと」に乗ってみた!

PR by 三菱商事
AI活用型オンデマンドバス「のるーと」に乗り込むGLOBE+編集長の堀内隆

タクシーとバスの長所を併せ持つ「のるーと」

オンデマンドバス「のるーと」には、決められた時刻表も運行ルートもない。その実証運行が行われている福岡県宗像市は、福岡市と北九州市まで約30kmとほぼ中間に位置。市内の「日の里」地区には高度経済成長期に開発され、九州最大級といわれた広さ217ヘクタールもの大規模団地「日の里団地」がある。

「のるーと」を利用するには、まず、スマートフォンの専用アプリ(電話も可)で乗車予約をする。ユーザー登録を済ませておけば、予約は「乗車・降車場所」「乗りたい時間」「乗車人数」を選ぶだけ。「のるーとのアプリはUI(ユーザー側から見た表示の仕方)がシンプルで分かりやすく、初めてでもとてもスムーズに使えました」と堀内。

「のるーと」は専用アプリで乗車予約をし、「ミーティングポイント」で待つ

乗車・降車の場所は「ミーティングポイント」と呼ばれ、現在はエリア内に65カ所設置されている。この日は、イベントホールや図書館が入る市内の複合施設から、約1km離れた「日の里団地」までのルートを予約。出発予定時刻の午後0時40分になると、白とスカイブルーを基調とした8人乗り車両「のるーと」がやってきた。

乗車の際は、登録した携帯番号の下4桁を運転士に伝えて運賃を支払う。日の里地区内は片道200円、交通系ICカードやアプリを介したクレジットカード決済のほか、現金でも支払いができる。

試乗した堀内は、「予約時間ほぼぴったりに車が到着し、スムーズに目的地まで行くことができた。タクシーの便利さと、路線バスの安さ。両者の良さを兼ね備えた乗り物だと感じた」とのこと。現在、日の里地区で常時稼働しているのは2台だが、「周辺を歩いていると『のるーと』の車両を見かける頻度が高く、地域の方にとてもよく利用されている印象を持ちました」。

ちなみに名称は、福岡の方言で「乗る?」を意味する「乗ると」と、AIがルートを導き出す「know route」の意味を掛け合わせたもの。笑顔があしらわれたロゴマークは可愛らしく、車両の視認性も高い。

なぜ「モビリティーサービス」に注力するのか

この「のるーと」事業を展開しているのが、三菱商事と西日本鉄道(以下、西鉄)が共同出資して設立した、ネクスト・モビリティだ。

長年にわたって国内外で自動車ビジネスを展開してきた三菱商事が、なぜこのようなモビリティーサービスを開始したのか。三菱商事でこの事業を構想した初期メンバーの一人であり、現在はネクスト・モビリティの代表取締役副社長兼CSOを務める藤岡健裕(たけひろ)氏は、その背景に「自動車業界の変革」があると明かす。

ネクスト・モビリティ代表取締役副社長兼CSOの藤岡健裕氏

「いま自動車業界では、CASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)といわれる世界的な流れが加速しています。車のEV化は拡大し、『所有』から『利用』へと車のあり方が変わっていく中、車の販売ビジネスの形態も変化していくはず。三菱商事もいままさに事業構造の転換を始めなければ、という危機感があったのです」

そこで2017年春から、新たな事業機会を求め、より消費者に近い領域のモビリティーサービスの検討を開始。藤岡氏をはじめプロジェクトメンバーが全国の主要バス事業者を回って話を聞くと、共通の課題が浮かび上がってきた。

「一つは『赤字路線の拡大』です。特に地方では、利用者の減少で不採算路線の継続が難しくなり、地域の足がどんどんなくなっている。運転免許証を自主返納した高齢者が、地域で移動の手段を失うという問題も生じてくる」

「もう一つは『乗務員の不足』。特に大型二種の運転士は高齢化が進み、今後5〜10年で2〜3割が退職時期を迎えるとされています。こうした深刻な状況を解決できたら、社会課題の解決に貢献できるうえ、三菱商事の新たな事業機会になると考えました」

組織を超えて共鳴した、地域交通への思い

「赤字路線の拡大」と「乗務員の不足」。バス事業において、創立110年以上の歴史と日本有数の規模を誇る西鉄もまた、この2大課題に直面していた。西鉄からネクスト・モビリティに出向中の松村啓史(ひろふみ)氏は、苦しい胸の内を語る。

「地域の方々にとってバスは生活に欠かせない足であり、我々にはそれを守る社会的責任があります。ただここ数年、人口減少や少子高齢化も相まって、西鉄グループも非常に苦しい時期に差しかかっていました。私自身、路線バスの減便や路線の縮小といった業務にもあたってきました」

ネクスト・モビリティで運行担当マネージャーを務める松村啓史氏

既存事業に何か手を打たなければと考え始めていた矢先に出会ったのが、三菱商事だった。「新しいモビリティーを一緒に作ってみないかと、お声がけいただいたんです。これまで日本にないモビリティーを自分たちで作り、地域の課題を一緒に解決していこう──。そんなビジョンが一致し、西鉄としてこの事業に参画することになりました」と松村氏。

三菱商事と西鉄はその後、二つの課題解決に向け、自動運転化やドライバーの確保などを含めた様々な方向性を検討。「路線維持と乗務員不足の問題を同時に解決しうる、かつ、技術的にほぼ実証されている」(藤岡氏)ことを理由に、2018年春から、オンデマンドバスに絞ってプロジェクトを進めることにした。

圧倒的な利便性を支える、優秀なアルゴリズム

その後の展開は、驚くほど速かった。2018年4月、三菱商事と西鉄による検討チームを結成。地域の交通状況の把握、オペレーションの設計、事業計画の立案、車両やシステムの調達などを一気に進め、翌年春には合弁でネクスト・モビリティを設立した。

検討チーム結成からわずか1年後の2019年4月には、福岡市アイランドシティ地区で「のるーと」の実証運行を開始。「西鉄さん、自治体、そして三菱商事が、それぞれの持ち場で最大限の力を発揮したからこそ成し遂げられた」と藤岡氏。

「のるーと」の利便性のカギを握るのが、AIによる配車システムだ。使い勝手の良さを実現する仕組みの一端を、三菱商事から出向し、現在はネクスト・モビリティで実務にあたる秋元健一氏が説明してくれた。

「複数拠点から随時入ってくるお客様の予約に対し、どのルートで運行すれば最も効率的か、AIが自動算出します。従前の配車システムでは、電話を受けたオペレーターさんがどんな順番でお客様を乗せて、どんな順番で降ろすか考えて配車を組んでいましたが、AIなら自動かつ瞬時に行えます。一定の送客数を確保するためには、このシステムが非常に重要でした」

ネクスト・モビリティで営業・経営計画担当マネージャーを務める秋元健一氏

国内外の十数社のシステムベンダーを比較検討した結果、導入を決めたのは、カナダのスタートアップ「スペアラボ」の配車システムだ。

「効率的な運行を実現できるアルゴリズムの優秀さに加え、地域の特性に柔軟に対応できる点も魅力でした。例えば、夕方に混み合うエリアがあれば、AIの学習により当該時間帯は通行を避けるようなルート指示も行っていきます。レベルの高いシステムを目の当たりにし、彼らとならば長期的にパートナーとしてやっていけると判断しました」

2年間の実証運行の「その先」を見据えて

福岡県宗像市を走るAI活用型オンデマンドバス「のるーと」は、2023年3月まで、約2年間の実証運行だ。有料サービスにしたのには理由がある。「お客様がこのサービスを本当に使い続けたいかどうか。真のニーズは、無償や短期間の実証運行では検証できません。“本気”の実証運行を通して社会受容性を見極めるとともに、さらに質の高いサービスのあり方を模索していきます」と藤岡氏。

ネクスト・モビリティの3氏

折り返しとなる1年が過ぎ、地域に着実に定着しつつある「のるーと」。利用者からの評価も高いが、一方で「実際の運行を通して見えてきた課題もあり、このサービスはまだまだ進化すると確信している」(秋元氏)という。持続可能で利便性の高いモビリティーサービスの実現を目指して、三菱商事の挑戦は続く。

[Vol.2]では、福岡・宗像市の担当者とネクスト・モビリティ社員との座談会をお送りします。

*この取材は、感染症対策に十分留意し実施しました。マスクは撮影時のみ外しています。