ウクライナのゼレンスキー大統領「日本はロシアに制裁継続を」国会オンライン演説

ウクライナのゼレンスキー大統領が3月23日、日本の国会でオンライン演説した。約1カ月前に始まったロシアからの侵攻への憤りを表現するとともに、日本に対してさらなる支援を訴えた。
ゼレンスキー大統領はアメリカやイギリス、ドイツなど欧米の議会でもオンラインで演説をしている。
演説はこの日午後6時に始まった。衆参両院の国会議員が集まる会場で、ゼレンスキー大統領の姿が巨大スクリーンに映し出された。
ゼレンスキー氏はまず、ロシア軍の侵攻の非道ぶりを訴えた。特に1986年に大量の放射性物質が漏れ出す大事故を起こし、今なお解体に向けた作業が進行中のチェルノブイリ原発に言及。「ロシアはチェルノブイリ原発を戦場に変えた」とその危険性を指摘した。
欧州最大の原発とされるザポリージャ原発が攻撃されたことにも触れ、危機感をあらわにした。また、人的被害も増え続け、「犠牲者を埋葬することもできず、そのままになっている」と悲惨さを訴えた。
ロシア軍による侵攻に対する日本の対応については、「アジアで初めてロシアに圧力をかけたのが日本。支援に感謝している」と評価した。その上で、ロシアに対する経済制裁の継続や貿易の禁止措置などを求めた。
また、ウクライナ人にとって日本は親近感がある国だと述べ、目が見えない子どもたちを支援するプロジェクトに妻が参加した際、日本の昔話をウクライナ語に翻訳し、オーディオブックの作品にしたと明かした。
一方、国連についてゼレンスキー氏は「国連も安全保障理事会も機能しなかった」と指摘。その上で、「侵攻を止めることができる新しい仕組みが必要」として、日本の役割に期待した。
ゼレンスキー氏は演説の最後、「両国は遠いが、価値観は共通していると思う。もはや距離はない」と連帯を訴え、日本語で「ありがとう」と締めくくった。
ロシア軍によるウクライナ侵攻は2月24日に始まった。北と東、南から地上部隊が攻め込み、空爆を継続。ロシア側は空爆の対象は軍事関連施設と主張しているが、民間人や民間施設が攻撃されていることを示す写真や動画、証言が次々とソーシャルメディアで拡散している。