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東京オリンピック、韓国での関心は「だれが兵役免除になるか」

現地発 韓国エンタメ事情
東京五輪の柔道男子73キロ級で銅メダルを獲得した安昌林(アン・チャンリム)選手(右から2人目)=ロイター

特に目立ったのは、柔道の安昌林(アン・チャンリム)選手だ。「在日コリアンの安昌林、柔道銅メダル」というニュースと共に、兵役免除になることが伝えられた。柔道73キロ級で銅メダルを獲得した安選手は日本生まれの在日3世だが、日本国籍を取得せず、韓国籍でオリンピックメダリストとなり、ひときわ注目を浴びた。

アジア大会は優勝選手だけが兵役免除となる。安選手は2018年のジャカルタ・アジア大会決勝戦で負け、惜しくも2位となって免除を逃した経緯があり、特に関心が集中したようだ。

私はニュースを見ながら「日本生まれの在日コリアンでも兵役の対象?」と疑問に思ったが、安選手は2014年から韓国で活動しており、兵役の対象になっていたようだ。ずっと日本で暮らしている在日コリアンは兵役の対象にはならないという。

東京五輪の柔道男子73キロ級準決勝でジョージアのラシャ・シャフダトゥアシビリ選手と対戦する安昌林(アン・チャンリム)選手(左)=ロイター

開幕前、兵役免除に関して注目されていたのは、サッカーのイ・ガンイン選手だった。20歳の若い選手だが、幼い頃から「サッカー界の神童」と呼ばれ、2019年のU-20ワールドカップでは2ゴール4アシストで韓国代表の準優勝に貢献し、MVP賞にあたるゴールデンボールを受賞した。現在はスペインのバレンシア(リーガ・エスパニョーラ)に所属し、兵役免除に期待する国内外のサッカーファンが多かった。結局、韓国代表は準々決勝でメキシコ代表に6-3で敗れ、3位以内には届かなかった。

安昌林選手のほか、アーチェリーで金メダルに輝いたキム・ジェドク選手、テコンドー58キロ級で銅メダルを獲得したチャン・ジュン選手らが兵役免除になると報じられている。キム・ジェドク選手は17歳の高校生で、アン・サン選手との混合団体に続き、男子団体でも優勝し、2つの金メダルを手にした。

東京五輪男子アーチェリーに出場した韓国のキム・ジェドク選手=ロイター

韓国の兵役免除は「兵役法」で定められている。「芸術・体育分野の特技を持つ者として文化体育観光部長官が推薦する者」が対象で、その推薦の基準として体育分野では「オリンピック3位以上入賞者」「アジア大会1位入賞者」と明示されている。

日本を含む海外で関心が高いのが、BTS(防弾少年団)メンバーの兵役免除をめぐる話題だろう。芸術分野の推薦の基準は、「国際芸術競演大会2位以上入賞者」「国内芸術競演大会(国楽や韓国舞踊など)1位入賞者」「重要無形文化財伝授教育履修者」などとなっており、BTSのように世界トップアーティストとして活躍していても、該当するとは言い難い。

新アルバムのプロモーションで記念撮影に応じるBTSのメンバー=ロイター

BTSの兵役に関しては、兵役法改正によって満30歳まで入隊を延期できるようになったのが現状で、免除にはなっていない。最も若いジョングクを除くメンバー6人は大学院在学中で、一般的には大学院在学中の場合、満28歳までに入隊しなければならない。今年6月に施行された改正法によってBTSは「大衆文化芸術分野優秀者」として入隊を2年延期できるようになった。

韓国の兵役期間は以前よりも短くなり、現在は陸軍18カ月、海軍20カ月、空軍21カ月。陸軍に入隊する人が最も多い。BTSに関して「国益への貢献度を考慮すれば、兵役を免除すべきだ」という意見もある一方、「今後のイメージを考えたら、1年半くらい兵役を経験するのも悪くない」という意見も少なからず聞こえてくる。BTSメンバー本人たちも兵役を務める意向を示している。

韓国では特に芸能人の兵役問題に関して厳しい視線がある。最も有名なケースは、歌手のユ・スンジュンだ。1997年にデビューした人気歌手だったが、軍入隊を公言しながら2002年に米国へ渡り、韓国籍を放棄して米国の市民権を取得した。これを韓国政府は「兵役忌避」と判断し、韓国への入国を禁じた。長い年月が経過したが、現在も韓国政府はユ・スンジュンへのビザ発給を拒んでおり、韓国に入国できないままだ。世論もユ・スンジュン入国に反対する声がいまだに根強い。

BTSの兵役免除が簡単には認められないのは、このような世論への配慮のためもある。韓国では来年大統領選挙を控えており、BTSの兵役をめぐっては大統領選で再び議論される可能性がある、とも言われている。