中国共産党が夫婦一組に3人までの出産を認める方針を示したことを受けて、「一人っ子政策」時代に3児をもうけて巨額の罰金を払った映画監督の張芸謀(チャンイーモウ)氏の妻が5月31日、SNSに「事前に任務完了」と投稿したことへの反響が広がっている。SNS上では国家が出生を統制することへの不満が噴出しており、投稿は「制限緩和への皮肉」と受け止められたようだ。
共産党は31日、2016年以降「2人まで」としていた産児制限について、「3人まで」と改める方針を示した。張氏の妻陳
張芸謀氏は1987年の監督デビュー作「紅いコーリャン」で、ベルリン国際映画祭の最高賞の金熊賞を受賞。高倉健さんが主演した「単騎、千里を走る。」でも知られている。08年の北京五輪の開会式と閉会式では総監督を務めるなど、中国映画界の重鎮だ。
一方で、私生活では産児制限策である「一人っ子政策」時代の2013年、3人の子がいることが報じられ、翌年、妻の戸籍があった江蘇省無錫市の決定を受けて罰金約750万元(約1億3千万円)を支払っている。罰金額は夫妻の収入などをもとに算出されたという。
こうした経緯から、投稿のコメント欄には「ブラックユーモアの映画より素晴らしい」「私の家も罰金になった」「私も罰金を払って生まれた子だ」などと共感する反応が相次いだ。
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