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コリア国際学園にK―POPコース 入学者は全員日本人

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朝日新聞デジタル掲載
K―POP・エンターテイメントコースの新入生らによるパフォーマンスが披露された=2021年4月10日午前11時12分、大阪府茨木市、田辺拓也撮影

 大阪のインターナショナルスクールにこの春、K―POPのスターを目指す中高生たちのコースができた。在校生は在日コリアンや韓国からの留学生が多いが、新コースの入学者は全員が日本人だ。

 大阪府茨木市の「コリア国際学園」(KIS)の入学式が10日、市内であった。司会の先生が韓国語と日本語で開式を宣言すると、13~17歳の新入生・編入生約30人が入場。在校生は立ち上がって拍手し、歓声も上がった。

 式の後、新設の「K―POP・エンターテイメントコース」の入学生13人が登壇し、韓国の人気グループBTSなどの楽曲を披露した。大阪府出身の高校1年兼村隼人さん(16)は中1からダンスを学ぶ。「K―POPアイドルとしてデビューし、いずれ日本の舞台に立ちたい」と意気込む。

■半数が在日コリアンの学園 「若者の交流広がって」

 高知県出身の今井りるさん(17)は韓国の大学の芸能コースを志望する。本来は高3だが、韓国語をしっかり学ぶため、高2に編入した。前の高校では吹奏楽部。「歌とダンスを人より遅く始める分、がんばりたいです」

 新コースではプロのアーティストやダンス講師が指導し、ビジネス面の知識も学べる。他コースと同じく韓国語、日本語、英語の授業や学科もあり、韓国の大学や芸能プロとも連携し、進路を支援するという。国籍に関係なく入れるのも他コースと同じだが、担当者は「全員が日本人になったのには驚いた」と話す。

 KISは2008年、在日コリアン2世の実業家らが資金を出し、中高一貫の私立校として開校した。朝鮮学校と韓国系の私立校がある中、国家や民族、思想の境を越える人材の育成を建学の精神とする。

 生徒数は70人。金正泰(キムジョンテ)校長によると「おおむね約5割が在日コリアン、約2割が日本人、約2割が韓国人留学生、約1割が中国人留学生」だが、ミックスルーツの生徒や他の国籍の生徒もいる。大半が日本、韓国、英語圏の大学に進む。

 金校長は「K―POPは韓国から始まり、日本やアジア、世界に広がっている文化。多様性を重んじる本校の教育理念とつながる」。学校の存在をより広める狙いもあり、設立が決まった。

 金淳次(キムスンチャ)理事長も「日韓の間には政治的経済的な摩擦があるが、文化の面で、若者世代の交流、民衆レベルの交流が広がってほしい」と話す。

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