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温暖化対策で世界のリーダー目指す中国、しかし必要な再エネは世界3つ分

World Now
太陽光パネルの「技術トップランナー基地」とされている宜君県に設置されている太陽光パネル=2021年2月、陝西省銅川市宜君県、平井良和撮影

戦略の柱は化石燃料から自然エネルギーへの転換だが、14億の人口を抱える世界最大の化石燃料消費国の削減の道は容易でない。中国の19年末の風力の設備容量は約2億1000万キロワット、太陽光は約2億キロワット。2位の米国のそれぞれ2倍、3倍で世界一を独走する。20年の1年間で計1億キロワット以上を上乗せしたが、エネルギー消費全体に占める割合は5%ほど。6割の石炭、2割の石油に遠く及ばない。

そんな中、今年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では「60年ゼロ」への道標となる「30年までに排出量を減少に転じさせる」行動計画を年内に作る方針が決まった。昨年12月に国有会社「国家電網」傘下のシンクタンクが発表した報告書では、「ゼロ目標」を目指した場合の60年のエネルギー構成の予想モデルで、風力と太陽光が全体の半分を占めている。その設備容量は約35億キロワット。19年末の世界全体の3倍ほどだ。そして、蓄電池の設備容量は19年現在の170万キロワットから約250倍の約4億2000万キロワットに引き上げる構想となっている。

中国企業は太陽光パネルや太陽電池、陸上風力発電機の出荷量で世界トップ10に多く名を連ね、風力や太陽光による電力は化石燃料による電力と比べても遜色のない市場競争力をつけた。政府も風力や太陽光の電気を国有電力会社などが割高な価格で買い取る「固定価格買い取り制度」から手を引き始めている。風力は21年末までに制度を打ち切り、太陽光も適用枠を絞り込んでいる。

課題は電力の安定供給だ。風力、太陽光を基幹電源にするには、風がやめば風車が止まり、曇りになれば発電量が減るといった「自然任せ」を克服する必要がある。今年の全人代では量の拡大より、電力の安定供給が議題の中心となった。

昨年12月、多くの家庭が暖房を使い始めた浙江省や湖南省など長江流域で深刻な電力不足が起き、一部の地域で工場の操業が止まる事態になった。国家発展改革委員会は全人代期間中の記者会見で、風力、太陽光の電力網がうまく機能しなかったことを原因に挙げた。「風がない日の夜、全国5億3000万キロワットの風力・太陽光のうち5億キロワットが出力できなかった」という。設備が増えても使えなければ意味がない。

こうした状況の中、中国政府は生み出した電気を無駄なく消費するための技術やインフラへの投資を進めている。投資先は蓄電設備や、複数の住宅の太陽光パネルで生み出された電気を融通し合う「スマートグリッド」などだ。同委員会は全人代の開幕直前、蓄電池やスマートグリッドの設置を全土で推し進めるよう通知。各省で新たな電力網の整備計画が次々と発表されている。(平井良和)