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開発コンサルから人道支援NGOへ 弱い人を直接支える仕事がしたい

私の海外サバイバル
ウガンダで、学校を中退した難民女性への聞き取り調査

■私のON

2013年末から内戦が続く南スーダンから大勢の難民が流入したのは、16年7月。私が赴任したのはその2年後ですが、教育環境はまだ不十分で、「難民を助ける会」が運営を請け負った小・中学校で、鉛筆、ペン、ノートを配布したり、教員を増やしたりすることから始めました。19年からは、教育の機会を奪われ、取り残されがちな女子児童・生徒や障害児を学校に通わせるための啓発活動にも力を入れています。

女子の児童や生徒は、親から家事を命じられるなどして学校に来なくなることが男子に比べて多く、生理の期間中は自宅から出してもらえなくこともしばしばあります。障害のある子どもも、障害を恥じる親が自宅に隠してしまうことがあります。そうした意識を変えようと、難民や地域のリーダーへの講習会を開いたほか、教員への研修や保護者への啓発活動なども始めました。

女子教育を推進するワークショップに参加した難民のリーダーらと

新型コロナの流行で20年3月に学校が休校になり、私も11月上旬まで帰国を余儀なくされましたが、その間も現地のウガンダ人職員が難民のリーダーらと協力しながら、家庭訪問をして教育や生活の様子を見守りました。

国際支援に関心を持ったのは、中学生のころからです。大学で開発経済学を専攻し、国際協力機構(JICA)が途上国で実施するプロジェクトを請け負う開発コンサルティング会社に就職しました。そこで主に技術移転に関わる研修や人材育成事業を担当したのですが、アパレル産業の振興プロジェクトに取り組んだパキスタンで、女性や障害者の雇用促進に関わったのがきっかけになり、社会的に弱い立場の人を直接支えるソーシャルワークの仕事をしたい、と人道支援活動をするNGOに転職しました。

「難民を助ける会」の藤田綾さん

コロナ禍は難民の生活にとっても逆風です。ウガンダでは3月末から8月にかけて移動制限がかかり、障害者らを支援する機会が減りました。難民の間でも、コロナ禍での不安や不満から、弱者である女性・子どもへの暴力・虐待、若年妊娠の件数が増えたという報告があります。また難民と、その居住地がある地域の住民との摩擦も起きやすくなり、難民が暴力で追い出されたり、高値で燃料の薪を売りつけられたりすることがあったとも聞きました。

ウガンダでは、難民と、難民を受け入れている地域住民との共存が不可欠です。「難民を助ける会」はスポーツ大会などで、子どものうちから国籍や民族の違いを超えて交流する原体験をつくることを重視してきましたが、改めてそうした相互理解の重要性を感じています。

駐在するユンベの街並み。人道支援団体の車が行き交う

また支援する者として忘れてはいけないのは、私たちはいつまでも外部の人間だということです。地域作りでも、福祉でも、教育でも、主役は難民です。支援に頼らなくてもよくなるように、潜在能力を引き出すことが役目だと意識しながら活動しています。

私たちがウガンダ北部ユンベに構える事務所では、私を含む日本人職員2人と、ウガンダ人職員5人が働いています。ウガンダ人職員はほかの団体で難民支援に関わった人が多く、みな自分の専門性を高めることに貪欲です。ただ日本人とは働くことについての文化が異なり、人事面談では気を遣います。最初の面談の際に、改善してほしいところだけを伝えると、できていないところだけで評価された、と不満を漏らされたことがありました。普段からほめることはしていたので言わなくてもよいと思ったのですが、受け取られ方が違うのだと反省しました。

新設した校舎の側壁に、難民と地域の子どもたちが将来の夢や好きなことを描いた

■私のOFF

2年前から社会福祉士の資格取得のため、日本の大学の通信教育を受けています。社会福祉とソーシャルワークの専門家になることが目標で、障害者について学ぶため、発達障害、精神障害、リハビリテーション医学などの科目を取っています。週末はその勉強にあてる時間が長くなりました。

社会福祉士の資格取得を目指す通信課程の教材

日常的なストレス解消法になっているのが、仕事終わりに30分ほど、事務所の庭でほかの職員と一緒に踊るZUMBA(ズンバ)です。みなダンスは好きなので、「難しい」と言いながらも、楽しそうに体を動かしてくれます。仕事でのコミュニケーションの改善にもつながっていると思います。

ズンバは米国留学中に大学の授業で初めて踊ったのですが、就職後も仕事で訪れる先々にズンバができる場所があり、途上国でのリフレッシュ方法として重宝しています。19年に日本に一時帰国した際には、インストラクターの国際資格を取りました。コロナ禍の前にはユンベに一つだけあるジムで週1回、ほかの人道支援NGOの職員らを対象にしたレッスンもしていました。

終業後に現地職員と踊るZUMBA(ズンバ)でストレス解消

ウガンダは世界で最も貧しい国の一つ。日常生活を送るにも厳しい環境なので、リフレッシュのために2カ月に1度、約1週間の休暇を取ることができます。この休暇を使った旅行も楽しみの一つです。アフリカは日本から気軽に行けないところです。これまでにルワンダ、タンザニア、エジプト、モロッコなどを訪れました。

人道支援活動の仲間(左)と休暇で訪れたエジプト