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「お金に頼らない」を教えるアグネス・チャンの金銭教育 息子たちは物欲ゼロに育った

アグネスの子育てレシピ

子供の金銭教育をどうするかということに、最近、注目が集まっているようです。

「小さい時から経済に敏感で、投資能力を持つ子供を育てるのがトレンドですよ」と友達が言っていました。
また別の友達からは、「アグネス家のお子さんはどうやって、金銭感覚を養ったのですか?」と聞かれました。

私の金銭教育はちょっと変わっているかもしれません。
金銭教育の一番重要なポイントは「一番大切なものはお金で買えない」と教えることだと私は思っています。
「お金が全て」という考えは不幸せな人生を招きます。
お金に頼らないで幸せを求めていける人間を育てたいと思いました。
でも、現実的に、生活するのにはお金が必要ですから、そこはバランスをとるようにしました。

まずお金とは何なのかを話し合いました。
元々、人々は物々交換で必要なものを手に入れました。
でも、それはちょっと大変な作業です。
例えば、ミルクはどのくらいの量が、鶏一羽と同じ価値なのでしょうか?
ミルクは日持ちしないけど、鶏は殺さなければ、日持ちがします。
でも、子供はミルクを飲みたいというので、今、必要なのです。
毎回毎回、交渉をしないといけませんし、人によっても要望が違ったり、不公平な時もあります。
そこで、先祖たちは誰でもが欲しがる物を交換の媒介として使い始めました。
文化によって、使ったものは違いますが、金や銀、貝や毛皮まで、いろいろなものがありました。
そのうちに紙幣が生まれ、私たちはお金を使って、物と交換するようになったのです。

農業や漁業のような物を手に入れる仕事だけでなく、人間はいろんな仕事をするようになりました。
そこでは、仕事によって物を得るのではなくて、物と交換できるお金をもらうようになりました。
人間の働きの価値がお金で測られるようになったのです。

そのせいで、多くの人はお金をたくさん持っている人の価値は高く、お金を持ってない人の価値は低いと勘違いするのです。
実際は全ての人間の価値は同じで、お金では人の価値をはかってはいけないのです。
そのことを息子たちにまず教えました。
しかもいろんな国が自分のお金を作っています。
お金の価値は国力によって、毎日変わるのです。
戦争が起きたり、その国がお金を大量に作りすぎたりすると、価値が下がり、紙屑になる時もあります。

■お金で買えないものは失わない

3人の息子たちと一緒に(2005年ごろ)

しかし、社会の仕組みはお金を物と交換するようになっているので、
ある程度のお金がないと、生活は困難です。
だから、自立できるように、不便のない生活をするために、人のためになる事をして、お金をいただけるようにならなければいけないと、息子たちに話しました。

お金で色んなものが買えるのですが、一番大事なものはお金では買えないのです。
愛情、友情、信頼、誠実さ。いくらお金があっても、こういうものは手に入らないのです。
お金で買えるものは、他の人がもっとたくさんお金を出せば、その人に奪われることになります。
でも、お金で買えないものは、簡単に失うことはないのです。

小さい時から、こういったことを彼らのわかる言葉で繰り返し説明をしました。
最初は目を丸くして聞いていて、理解したのか、わからないのか、判別できない感じでした。
でも歳を重ねて、段々理解してくれたと思います。
少なくとも考える種を撒くことは出来ました。
「お金はすべてではない、貴重なものはお金では買えない」と覚えてくれたと思います。

■高校までお小遣いなし

2019年の年末は、カリフォルニアを訪れ3人の息子たちと旅行した

私の息子たちは高校までお小遣いがありませんでした。
お金のかからない遊びをして、お金なしで楽しい毎日を求める習慣をつけて欲しかったのです。
友達と出かける時、お誕生会でプレゼントを買うときは、その都度計算して、予算を立てて、必要なお金を渡していました。
お金がかからない遊びを毎日親子で考えて、遊んでいました。
手遊び、童歌、かけっこ、隠れん坊、しりとり、知恵比べ、とにかく、あの手、この手で遊びました。
そのおかげで、おもちゃも欲しがらない子供たちでした。
お金にも興味があまりなかったです。
毎年のお年玉を貰っても、「ママ、貯金してくれる?」と私に渡すのです。
プレゼントをもらえるのは、年2回、誕生日とクリスマスです。
息子たちは、誕生日のプレゼントを本当によく考えて、リクエストしてきます。
クリスマスはサンタさんがプレゼントを持ってくることになっていたので、私たち夫婦が子供たちの様子をよく見て、丁寧に選んで渡すのです。
年に2回しかないプレゼントを息子たちはとても大事にします。
そのプレゼントは実用的なものが多かったです。
最近、「小さい時に、お小遣いがなかったことは不便だったかな」と聞いてみました。
「全く問題なかったよ」と3人とも言います。

うちは共働きで、決してお金には困りませんでした。
でも、子供たちには贅沢な生活をさせたくなかったのです。
お金を使うことが上手で、お金を稼ぐのが下手な人の人生は大変だと思ったからです。
お金がいくらあっても足りないような人生は一番不幸せです。
物が欲しがらない子供に育てたかったのです。
お菓子は家の手作りのものが多く、素朴な生活を送ることに心がけました。
服も靴もお下がりを着せました。
物を大事に使う習慣を覚えて欲しかったのです。

そのお陰で、今でも、息子たちは物欲がなく、買い物に興味がありません。
お誕生日のプレセントも、Xmasプレゼントも欲しくないと言います。
服もボロボロまで着ます。
会社でCEOを務める長男は未だに高校のTシャツを着てます。
穴が開いているので、「もう着るのを、やめてください」といっても、「もうちょっと着られるよ、ママ」と捨ててくれないのです。
三男もジーンズにお尻のところに穴が開いていても、平気で履いていました。「捨てないなら、直させてよ」と頼んで、当て布で直してあげました。
三男はすごく喜んでくれて、「これであと2年は持つね」と嬉しそうに履いて出かけました。
次男も全く物を買いません。実家に帰ってくると、パパのお古をもらっていくのです。
そこまで節約しなくてもいいほどに、彼らは給料を貰っているのに、そんな具合です。
そして、「物を大事にするのはママ似です」と言い切るのです。
全く、困った子たちです(笑い)。

■思い出にはお金を惜しまない

アグネス・チャンさんの家族写真

お金の代わりに、わが家で贅沢に使うのは一緒にいる時間です。
お金を犠牲にして仕事を減らしても、私は子供と一緒にいる時間を大事にしました。
思い出作りには時間もお金も惜しまないのがわが家のやり方です。
何ものにも替えがたい、心に残る思い出こそ、最高な宝です。
今でも、長い休暇を取って、アメリカにいる息子たちを訪ねて行きます。
息子たちも給料を貯めて、私を旅に連れていってくれます。
今まで、長男とヨーロッパ、次男とクロアチア、三男とポルトガルに行きました。
どんなに辛い時があっても、息子たちと一緒に作った思い出があると、それを思い出して元気になることができます。
「ママ、わが家はいいお金の使い方をしていると思う」と息子たちは言ってくれます。
結婚した長男は、よく奥さんをキャンプに連れて行きます。
一つの食べ物を求めて、遠くの街に二人で行ったりもします。
思い出作りに励んでいるようです。

「欲がないと、一生懸命働かなくなるんじゃないの?」と心配する友達がいます。
私は息子たちに「働く時や物事を取り組む時は、報酬の多少ではなく、有意義かどうか、自分にとって価値があるのかどうかだけを考えましょう。一生懸命やれば、必ずいい結果がでます。いい結果になれば、お金もいつの間にかついて来ます」と教えてきました。
目の前の報酬ではなく、好きな事、有意義と思った活動に惜しまず取り組み、最高な仕事をすれば、人生は豊かになります。
そして、金銭的の必ず豊かになるのです。

小さい時から投資を教え、経済に強い子にする教育が話題になっています。
投資の仕組みを覚えるのは難しくないのです。
実際に投資するときの勘を教えるのが難しいのです。
投資家にとって、一番大事なのは世の中の動きをよく知ることです。
経済に強い子を育てるためには、物を知りたがる好奇心の強い子供を育てることです。
だから、幼い時から一緒にニュースを見たり、新聞を読んだりするのが大事なのです。
息子たちは今みんなそれぞれに投資をしています。
実は、0歳から貰ったお年玉をずっと貯金して、彼らが大学卒業するときに、それぞれの手元に届くようにしました。
「みんながくれたラッキーマネーを賢く投資して、世の中の動きに関心を持ってね」と助言して渡すのです。
それを頭金にして、社会人になると同時に息子たちは投資を始めました。この前、投資の成果を聞いてみたら、一番上手く投資しているのは長男で、次は次男、始めたばかりの三男は勉強中のようです。

お金に縛られない生き方は本当に大事です。
実力を備え、自信を持って、苦しい仕事も恐れない生き方であれば、
お金が少なくても、多くっても、幸せな人生を送ることが出来ます。
人を羨む、欲しいものが多いと、たくさんお金を持っていても、不満で辛い人生になります。
どの位お金が必要なのかは、人の欲望によって違います。
欲しいものが多い人はお金がたくさん必要です。
欲しいものが少ない人は、たくさんのお金はいらないのです。
子供たちを幸せな人生に導く金銭教育を始めましょう。