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コロナの今、優秀な人材獲得のチャンス 日本が「選ばれる国」であるために必要なこと

World Now
宮崎市のネットセキュリティー企業で働く、バングラデシュ人のインターン=2018年4月、宮崎市(本文とは関係ありません)

コロナ禍で大きく変わった人の移動。今年上半期、入国した外国人は前年同期に比べ、75%減の409万人となり、在留外国人の数も8年ぶりに減った。

「今が外国の優秀な人材を呼び込むチャンス」とベンチャー企業に投資するコーラルキャピタルのCEOジェームズ・ライニー(31)は呼びかける。世界的に仕事のオンライン化が進む中、家賃の高い米シリコンバレーからの人材流出が見込まれるからだ。著名な投資家も「日本が次の有力候補地になる」とツイートしたという。「米IT業界の人たちは日本文化が大好き。食事もおいしいし、安全な暮らしも魅力だ」

コーラル・キャピタルのCEOジェームズ・ライニー

いまはブレーキがかかったとは言え、近年、グローバルな人材獲得競争は激しさを増していた。狙いは専門性の高い知識と技能を持つ「高度人材」だ。

日本は2012年、永住権の申請に必要な居住年数が短くなるなどの優遇措置を設けた「高度人材ポイント制」を導入。IT先進国の韓国も移住のハードルを下げようと、国籍法を改正し、11年から重国籍を認めた。英国も学歴や技能を点数化し、専門家やIT技術者の移住を奨励する一方、単純労働者を追い出す方針を打ち出した。

シリコンバレーのベンチャー企業の多くは移民出身者がつくった。ライニーは「考え方や経験、視点の多様性があると物事の進め方も最善になり、イノベーションを生むことになる」と訴える。

ただ、「日本がグローバルな人材を呼び込みたいなら、外国人に『公平に扱われる』という安心感を与えることが重要だ」と指摘する。コロナ禍で日本政府は在留資格のある外国人でも再入国を原則禁止にした。「そんな対応はG7の中で日本だけ。外国人ビジネスコミュニティーで不満の声があがり、1万1000人の署名が集まった。危機の際に違う形で扱われるのでは優秀な人材は集まらない」

第二のシリコンバレーを目指し、シドニーで計画されている「テック・セントラル」の完成予想図。世界で高度人材の獲得競争が激しくなっている=豪ニューサウスウェールズ州提供

一方、モルガン・スタンレーMUFG証券調査部シニアアドバイザーのロバート・フェルドマン(67)は「自分への投資」という観点から提言する。日本に約30年住み、今年、永住資格を得た経験から「外国人が日本語を覚えるインセンティブを持てるよう、永住や定住の門戸を広げるべきだ」という。

1980年代、日本は経済大国の階段を駆け上がり、外国人エコノミストが重宝された。「日本語への投資が報われる時代だった」ため、フェルドマンも熱心に日本語を勉強した。だが、いまは中国など急成長した国が増えた。「日本はまだ魅力的な国だが、世界的な人材獲得競争も激しくなった。『投資に見合う国』と、もっと認知してもらう努力が必要だ」と訴える。

モルガン・スタンレーMUFG証券調査部シニアアドバイザーのロバート・フェルドマン

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