安倍晋三首相が辞任することになり、悪化の一途をたどっていた日韓関係の新たなモメンタムとなり得るのか、関心が高まっている。
青瓦台の姜珉碩(カン・ミンソク)報道官は8月28日、安倍首相の辞任会見後、「韓国政府は新たに選出される日本の首相及び内閣とも日韓の友好・協力関係の増進のために引き続き協力していく」という立場を明らかにした。この日の発表は「青瓦台としてメッセージを発表するのが良い」という文在寅大統領の意向によるとされる。政府や外交関係者の間では、安倍首相の辞任が日韓関係に肯定的な影響をもたらすという期待が見える。文大統領の就任後、歴史問題はもちろん、北朝鮮の非核化などで安倍首相との関係がこじれていたためだ。外交当局では、日本の新たな首相が就任すれば、文大統領の日韓の対話再開の意思を示すメッセージを込めた祝賀書簡を送る方向で準備するとみられる。
「ポスト安倍」候補のうち、韓国との関係改善に最も積極的な人物は石破茂元自民党幹事長だ。石破氏は今年1月、東亜日報のインタビューで「首相になれば、韓国の歴史をもっと勉強したい。日本人が自ら過去の責任を明確に検証しなければならない」と話した。岸田文雄自民党政調会長も韓国と縁があるハト派だ。岸田氏は2015年、日韓の慰安婦合意を結んだ際の外相だった。
国民大学日本学科のイ・ウォンドク教授は「石破元幹事長や岸田政調会長は安倍首相に比べて極右的イメージは薄い。韓国政府の選択の幅が広がるという点で、関係改善のきっかけになり得る」と話した。
一方、菅義偉官房長官は韓国に対して強硬な態度を見せている。韓国の大法院(最高裁判所)の元徴用工判決についても「韓国が対策を持ってくるように」という強硬な姿勢を続けている。東京大学の和田春樹名誉教授は最近、東亜日報のインタビューに「日韓関係改善のためには(安倍氏の政策をそのまま引き継いでいる)菅官房長官が次期首相になってはならない」と語った。
誰が後任になっても、徴用工問題など核心となる懸案について両国間でギャップが大きく、不信感も募っているだけにすぐに画期的な変化を期待することは難しいという指摘もある。ソウル大学国際大学院のパク・チョルヒ教授は「日韓関係が緩和して対話の雰囲気が出てくる可能性はあるが、根本的な変化までは期待しにくい」と話した。世宗研究所のジン・チャンス首席研究員は「新型コロナなど敏感でない問題から日韓で協力し、妥協点を見つけるべきだ」と助言を述べた。
(2020年8月29日付東亜日報 クォン・オヒョク記者、東京=パク・ヒョンジュン特派員)
(翻訳・成川彩)