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グレタ・トゥンベリの支持者として、「ヴィーガンより前向きな方法」を提案する

マイケル・ブースの世界を食べる
北村玲奈撮影

2019年のノーベル平和賞では最有力候補だった。米タイム誌の「今年の人」にも選ばれた。少なくともKポップグループのメンバー以外ではおそらく、世界で最も有名な17歳だろう。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリだ。

私たちは、気候変動や持続可能エネルギーに対する彼女の考え方を知っている。(排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量である)カーボンニュートラルな輸送手段についてもだ(飛行機を避けてヨットで大西洋を渡ったことが話題を集めた)。そして、ドナルド・トランプ米大統領への立場も然り(ファンではない)。

では、トゥンベリが朝食に何を食べるかはどうだろう。ランチやディナーは? ヴィーガン食を推奨しているので、朝の食卓に牛乳やチーズ、ベーコンがないことは確かだ。もし日本に来ても、昼食にうなぎはありえない。夕食に和牛を食べるなんてもってのほかだろう。

トゥンベリは、畜産は気候変動の一つの主要な要因であり、その気候変動は(人間が原因で地球上の生物を絶滅させる)「第6の絶滅」に帰着すると語る。早急に生活習慣を変えなければ、ハルマゲドンはそこまできていると呼びかける。国連も同調する。その報告書によると、地球上の温室効果ガス排出量に占める畜産由来の割合は、すべての輸送手段を合わせた割合より高いとしている(輸送が13.5%に対して畜産は14~18%)。

動物福祉や食肉処理といった倫理的な議論を抜きにしても、トゥンベリは説得力をもってヴィーガンを勧めている。本コラムでも以前ヴィーガン主義について書いたが、日本の食生活にとっては、なかなか悪いニュースに見えるかもしれない。

■より緩やかなアプローチがある

誰もがヴィーガンになることには反論もある。スコットランドのエディンバラ大学の農業研究者たちの報告が警告している。世界中が肉を食べない食生活に急激に切り替えれば、生物多様性が破滅的に失われ、牛の飼料だった牧草などの自然資源がすさまじく無駄になる。栄養学者もまた、健康な食生活を維持するうえで様々な危険を指摘している。第一にビタミンB12はサプリで補わないといけなくなる。

私は熱心なグレタ・トゥンベリ支持者である。この印象的な若い女性が18年、スウェーデンの国会議事堂前で、たった一人で抗議活動を起こしたことは世界にとって幸運だ。ただ私自身は、確実に善意に基づいた彼女の過激なやり方よりも緩やかなアプローチをしている。大多数の人がそうであるように、私は肉が好きだし、すっぱりやめることはないだろう。少量なら、健康的でバランスのとれた食生活の重要な一部であると信じている。

肉を持続可能な農業システムに統合することも可能だと考える。最近コペンハーゲンで、土の専門家で、米ワシントン大学で地形学を研究するデイビッド・モンゴメリー教授の講演を聴いた。家畜の放牧を含む持続可能な混合農業について、とても説得力をもって話していた。環境にも非常に利があるということだった。

私にとってカギと見えるのは、あらゆる分野で、できる限り持続可能な生活を心がけて暮らすこと。肉食を減らすことはその一つ。食べるならその家畜は放牧されて、穀類や大豆ではなく様々な植物を食べているといった環境に優しい方法で飼育されているべきだ。もちろん、私たちももっと植物を、特に多くの種類を食べるべきだし、ほとんどの人たちがもっと魚(もちろん持続可能な種類のもの)を食べるべきだ。

しかし、いきなりすべての人にヴィーガンを求めるというのは、説得力ある主張でも手の届く理想でもない。人々を極端な考え方で囲い込みかねず、有害無益にもなりえる。そうではなくて、少量ながら、もっと健康的でおいしい肉を食べられる方法を実演する。しかも、同時に温室効果ガスも減らせるということをやってみせるほうが、よほど前向きだと思うが、いかがだろうか?(訳・菴原みなと)