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【英語で名言】寛容さが足りないこの時代、思い返したいダイアナ妃の言葉

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語 更新日: 公開日:
安河内哲也撮影

■今週の名言

The greatest problem in the world today is intolerance. Everyone is so intolerant of each other.

(今日の世界における最大の問題は不寛容だ。誰もが互いを我慢できない)

■名言を味わう

「世界最大の問題は不寛容だ。みんな誰もがお互いにまったく我慢ならない」という、現代社会の歪みを指摘した一言です。

20年以上もその昔、ダイアナ元妃が感じていた世界の不寛容さは、コロナ禍で加速する世界経済のブロック化が懸念される2020年現在、さらに大きな問題になっている。そう言えるのではないでしょうか。

とても「やる気が出る」一言ではありませんが、世界が今経験しているパンデミックを通じて、人の優しさやつながりといったものの大切さが再認識されたのも事実です。

よりよい世界を目指すための“反面教師”的な言葉としてとらえ、決してあきらめず、前を向いて進んでいきたいものです。

■名言の単語ピックアップ

intolerance

不寛容、狭量(名詞)

intolerant

寛容でない、我慢できない(形容詞)

難易度が高めの単語ですが、よく目、耳にする単語です。ぜひこの機会にマスターしてください。

名詞intoleranceと形容詞intolerantという今回の単語たちは、語幹から学んだほうが覚えやすいと思うので、まずは元の単語を押さえましょう

元の単語はtolerateになります。「許す、大目に見る」という意味の動詞です。例えば、This time I will tolerate him, but next time I won’t.と言えば、「今回私は彼のことを大目に見るけども、次回は許さないよ」という意味になります。

このtolerateが形容詞になったものがtolerantです。「〜に対して寛大である」という意味になります。後ろには前置詞のofをよく伴います。

You should be tolerant of other people’s opinions.

(<自分とは違う>他人の意見に対して寛容であるべきだ)

そして次に名詞となると、toleranceになります。寛容、寛大、容認といった意味になります。

He doesn’t have much tolerance for sloppiness.

(彼はだらしなさに対してあまり寛容でない)

「絶対に許さない」とさらに強めて言う場合は、He has no (/zero) tolerance for sloppiness.のようにすることもできます。

またtoleranceは、医学用語で「耐性」という意味もあります。I have low alcohol tolerance.と言えば「私はアルコールの耐性が低い」、つまり「酒に弱い」ことを伝えられます。

そして、このtoleranceとtolerantの冒頭にinが付いたものが、今回の名言の単語intoleranceとintolerantになります。in-は接頭辞で後ろの単語の意味を否定します。ですからintolerance で「不寛容」、intolerantが「寛容でない」となるのです。

ちなみに、接頭辞のin-が付いて後ろの単語の意味を否定する単語にはinaccurate(不正確な)、inappropriate(不適切な)、incorrect(正しくない)、informal(形式張らない)、insensitive(無神経な)などもあります。

また、動詞tolerateにはin-が付いた形はありません。ということで今回はtolerate、tolerant、intolerant、tolerance、intoleranceの5つをセットで覚えておいてください。

この5つの単語には、日本人とって区別が難しいlとrが続いて出てきます。電子辞書やオンライン辞書で音声を繰り返し聞きながら、「le」では舌先を上歯の裏に付ける、「ra」では舌先をどこにも付けずに唇を丸めることを意識して音読してみましょう。

では、intolerance、intolerantを用いた例文を挙げてみましょう。

We can’t accept any type of intolerance toward immigrants.

(私たちは、移民に対するいかなる類の不寛容も認めない)

He’s intolerant of employees who arrive late.

(彼は遅れてやってくる社員に対して寛容でない)

余談になりますが、海外の人と仕事をしていると、「日本人とはずいぶん違うな」と感じる瞬間は多々ありますよね。

例えば、ミーティングひとつするにしても、私たちは待ち合わせや開始時刻に余裕を持って着くようにするというのが一般常識でしょう。けれど、「ところ変われば」ではないですが、時間ギリギリに、または平気で遅刻してくるといった人たちも世界にはけっこういたりします。

When in Rome, do as the Romans do.(郷に入れば、郷に従え)ということわざもあります。「ウチらとビジネスのやり方が違う!」とあまりintolerantになりすぎず、できる限りtoleranceの精神で対応したいものです。

■名言を解剖する

The greatest problem in the world today is intolerance. Everyone is so intolerant of each other.

(今日の世界における最大の問題は不寛容だ。誰もが互いを我慢できない)

greatestは、greatの最上級でしたね。最上級ではここでもそうですが、通常直前にtheが付きます。

意味としては、「great=偉大な」「the greatest=もっとも偉大な」と覚えている人が多いのではないでしょうか。もちろんgreatには「偉大な」という意味もあるのですが、「大きい」「重大な」という意味で使われることも少なくありません。

the greatest problemも後者の意味で「最大の問題(課題)」となります。

in the worldは「世界中で」という意味。 今回のように最上級を強めて「世界で一番」というふうによく使われます(例:She’s the greatest leader in the world.<彼女は世界で一番のリーダーだ>)。

in the worldの直後にtodayを持ってくれば、「今日(今)の世界では」となります。

2文目ではintolerant of...の形が登場しています。「(〜を)受け入れないで、認めないで」「(〜に)耐えられないで」といった意味ですが、ここでは後続がeach other(お互い<に、を>)となっています。

「お互いを受け入れないで」「お互いに不寛容で」などと訳してもいいですが、口語調とリズムを意識して「互いを我慢できない」としました。

Intolerantの直前には、この形容詞を強調するためにsoが使われていますね。訳出はしませんでしたが、so intolerantで「すごく我慢できない→まったく我慢できない」というニュアンスです。

■今週の1枚

昨年休暇でロンドンに行ったときに撮った、テムズ川と街の夜景です。

「写真を撮りまくる」のが目的の旅だったので、大学で写真を教えるロンドンっ子の案内による写真撮影ツアーに参加したりして、楽しい時間が過ごすことができました。海外に気軽に遊びにいけるときが、またすぐやってきますように!

さて次週(6月8日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、あの天才画家、レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉をフィーチャーします。心地よく眠る秘訣をずばり教えてくれる一言なので、最近寝付きが悪い方は必見かも!?

どうぞお楽しみに。See you next week!

(構成・山本航)

■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。