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「いま逆境……」と感じたら思い出したい、ウォルト・ディズニーの名言

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語 更新日: 公開日:
安河内哲也撮影

■今週の名言

The flower that blooms in adversity is the rarest and most beautiful of all.

(逆境で咲く花は、すべての花の中でもっとも珍しくて美しい)

■名言を味わう

「逆境で咲く花こそもっともレアで美しい」、つまり逆境をはねのけ、何かを形にする、実現させることの尊さを説いた言葉と言えるでしょう。

ウォルト・ディズニーは、父親が農業を始めるにあたって幼少時にミズーリ州の片田舎に引っ越し、貧乏暮らしをしたという話をみなさん、ご存知でしょうか? 

当時住んだ家の屋根裏にうろちょろしているねずみをスケッチブックに描いたものが、ミッキーやミニーのモデルになったのだとか。逆境から才能を開花させ、ビジネスで成功した人なんですね。

そんな生い立ちのディズニーの発言だと思うと、今回の名言にも重みが出てくるような気がします。

■名言の単語ピックアップ

adversity

逆境、災難、不幸(困難)な出来事

「逆境、困難、不幸(困難)な出来事」といった意味を持つ名詞です。少し硬い響きを持つ単語ですが、ビジネスでもよく目、そして耳にします。

まず接頭辞のad-に注目してみましょう。このad-は「〜の方向へ」と方向を表します。そして-verseには、universeとあるように「回る」というイメージがあります。ですから、反対の方向に回るというイメージを持つ単語になります。

もともとこのadversityは「反対な、不利な、不運な」という意味の形容詞であるadverseから派生した動詞です。つまりadverseの名詞形ということです。また、「逆に、反対に、不利に、不運に」という意味の副詞は、adverselyとなります。

今回のように新しい単語を覚える際、異なる品詞でつづりが異なるものは、いっぺんにカバーし、覚えるようにするといいでしょう。最初に説明したように、方向を表すad-と反対のイメージを持つ-verseが合わさった形容詞adverseができて、名詞のadversityと副詞のadverselyが派生で出てきたわけです。

さらなる派生語として覚えておきたいものに、adversaryがあります。こちらも硬い言葉ですが「敵、敵対者、対抗相手」という意味の名詞です(「敵の」と形容詞にもなります)。これも反対側の方向を向いているということで「敵」という意味になる……。こういった共通のイメージが持てると、ぐっと覚えやすくなりませんか?

下の例文も参考にしながら、ぜひ4つまとめて覚えてみてください。

It is urgent for our company to address this adverse situation.

(この困難な状況に対応することは、我が社にとって緊急です)

*ここでのaddressは動詞で「(問題に)対処する、取り組む」という意味。ほかにもface an adverse situation(困難な状況に直面する)、avoid an adverse situation(困難な状況を回避する)、under an adverse situation(困難な状況下で)などとも言う。

Even in adversity, all of our employees made their best efforts to sell our products.

(逆境でも我が社の全社員は、自社製品を売ろうと最善を尽くした)

adversityは以下のように格言にも好まれて使われます。

Adversity is the best school.

(逆境こそ最高の学び舎だ)

Adversity makes a man wise (, not rich).

(逆境は人を<リッチにではなく>賢くする)

Sweet are the uses of adversity.

(逆境のご利益はすばらしいものだ)

*シェークスピアの「お気に召すまま」(As You Like It)からの引用。ここでのuse ofは「〜の価値、効用」といった意味。

Many companies have been adversely affected by the recession.

(多くの企業はこの不景気で悪影響を被った)

*be adversely affectedで「悪影響を受ける」となる。

It is sometimes important to listen to our business adversaries.

(ビジネスライバルの話に耳を傾けるのも、ときとして重要だ)

今回ピックアップしたadversityとそれに関連した単語は難易度が高めではありますが、キーワードとして知っておくとビジネスの場でも重宝すると思います。

英語を操るときは、基本的な単語の使い回しを基本にしつつ、今回のようなパンチの効いたビックワードも少しずつちりばめられるようになっていくといいでしょう。

ですから語彙増強も、基本単語と難易度が高くなるビックワードの両方を、意識して少しずつ学び、同時進行で吸収していってください。

語彙増強はある意味、料理に似ていると言えるかもしれません。大衆料理を食べる日もあれば高級料理を食べる日もある。和食を食べる日もあればエスニック料理を食べる日もある。食わず嫌いにならず、いろんな種類の単語を1日1つずつでもいいので、地道に学んでいくことが大事だと思います。

ビックワードのタイプのボキャビルをするときのアドバイスとしては、まず専門分野の用語を集中的に行うといいでしょう。

例えば、あなたが銀行に勤めているのであれば、金融に関する用語から始める、といった具合です。自分の仕事に関連した単語であれば、興味が持ちやすいですし、覚えやすい。さらに何度も使う場面に遭遇しますから実践もしやすい。いいことずくめなのでオススメです。

■名言を解剖する

The flower that blooms in adversity is the rarest and most beautiful of all.

(逆境で咲く花は、すべての花の中でもっとも珍しくて美しい)

主語はthe flowerで述語動詞はisです。では、thatはなんでしょう? そう、関係代名詞ですね。which としても同じになります。adversityはすでに解説したように「逆境」という意味の名詞。

逆境のなかでbloom(開花する)花は、the rarestとあります。rareの最上級ですね。rareは「珍しい」という意味の形容詞でしたね。

余談になりますが、ステーキの焼き方でおなじみのrareも同じスペルで、実はここから来ているそう。完全に火を通さず赤みが残る焼き方が珍しいということで、こう呼ばれるようになったようです。

the rarestの後ろはand most beautifulとなっています。beautifulの最上級はthe most beautifulですが、ここではthe rarestのtheがmost beautifulにもかかっていると考えればいいでしょう。

では、形容詞を「いちばん〇〇な」「もっとも〇〇な」という最上級の形にする2通りの方法をおさらいしておきましょう。

一般的にrareなどの比較的短い形容詞は、最後にestを付けてrarestとします。いっぽうbeautifulのような比較的長めの形容詞は、直前にmostを持ってきてmost beautifulとします。そして、ナンバー1のものは基本的には1つしかないので、形容詞-estでもmost +形容詞でも、その前にtheが通常付きます。

最後のof allという表現も、この機会にぜひ慣れておきましょう。このofは「〜の」というよりは「〜のなかで」という意味で、最上級の直後に来て「すべての(ものの)なかで」となります。

今は世界がadversityに包まれているような状況です。ディズニーの名言にあるようにbloomしてthe rarestでthe most beautifulなflowerになれるよう、日々を過ごしていきたいものです。

■今週の1枚

ちょうどfull bloom(咲き誇る)だった自宅の庭の花を、マクロレンズを付けて撮ってみました。花には疎く、名前がわからないのですが……。ご存知の方、編集部までぜひご一報いただければうれしいです。

さて次週(4月27日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、アメリカ人俳優、マシュー・マコノヒーの言葉をフィーチャー。ブラピやディカプリオと並んで人気が高かったイケメンが、人生に関してしゃれた一家言を述べています。

どうぞお楽しみに。See you next week!

(構成・山本航)

■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。