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「気候変動で水がれ」確かめにビクトリアフォールズへ 滝は枯渇していなかった

At the Scene 現場を旅する
水煙をあげる滝を眺める観光客。時期によって水量が少なくなるザンビア方面でも水しぶきが強く、レインコートを身につけている人が多かった=2020年2月18日、ジンバブエのビクトリアフォールズ、石原孝撮影

私がこの滝を見るのは2018年6月、昨年9月に続いて3度目。初回は雨に降られたかのような水しぶきでびしょぬれに。2度目は水しぶきがかかることはほとんどなく、水が崖から全く落ちていない場所もあった。

そして今回。1993年からガイドを務めるウェンガイ・ナウ(50)とジンバブエ側の国立公園入場口(1)から入った。入り口左側にある眺望ポイントに向かうと、水煙が舞う中、轟音が聞こえてきた。何度見ても滝の迫力は圧巻だ。レインコートを身につけていない観光客の洋服はぬれ、上半身裸になる男性もいた。

欧米メディアが「滝がない」と報じていたザンビア側の眺望ポイントでも、水の勢いはほとんど衰えず、数十メートル離れていても水しぶきが飛んできた。ナウは「季節ごとの雨量や崖の高さで滝の水量は変わる。気候変動の影響はそこまで関係ないと思う」と言った。

水煙をあげる滝を眺める観光客。時期によって水量が少なくなるザンビア側も水しぶきが強く、レインコートを身につけている人が多かった=2月18日、ジンバブエのビクトリアフォールズ、石原孝撮影

確かに、滝の勢いが激しい所は落差72メートルなのに対し、ザンビア方面の滝は落差108メートルにもなる。辺りを流れる川の水は水力発電所に使用される分もあり、案内板には滝の水量は11月が最も少なく、5月が最大で、その差は10倍以上と記されていた。地元のメディア関係者は「一部の欧米メディアは水量がない場所ばかり強調して報じていた。滝は枯渇なんかしていない」と不満を述べた。私が現地で見る限り、その批判はうなずけた。

ちなみに、迫力ある滝が見られなくても、両国の国境沿いでは、バンジージャンプ(2)ができるし、蒸気機関車で国境を渡れる。ジンバブエ側には、ビッグツリー(3)と呼ばれる樹齢約1500年のバオバブの木もそびえる。

ビクトリアフォールズがあるジンバブエとザンビアの国境沿いにある橋からは、バンジージャンプができる。しばらく待っていたが、挑戦者は現れなかった=2月18日、石原孝撮影

そこからさらに車で2時間半離れたワンゲ国立公園も訪れた。約5万頭のゾウが生息し、昨年の干ばつではゾウの餓死が相次いだ。朝からサファリ用の車で2時間回ったが、ゾウには一頭も出会えなかった。

ゾウは減ってしまったのだろうか? 国立公園・野生動物保護庁の報道官ティナシェ・ファラウォに尋ねると、「ゾウはこの数年で増加し、農作物を荒らしている。昨年の干ばつでは国内で約200頭が死んだが、大海での一滴のようなもの」と意に介していなかった。

ジンバブエのビクトリアフォールズから車で2時間半ほど離れた場所にあるワンゲ国立公園では、サファリが楽しめる=2月19日、石原孝撮影

ビクトリアフォールズ国立公園内には、1855年にこの地を訪れ、滝の存在を欧州に伝えた英国の宣教師・探検家デビッド・リビングストンの像(4)が立っている。「ビクトリアフォールズ」の名前は当時のイギリス女王から付けられ、滝から近いザンビアの街の名前もリビングストンになっている。

ジンバブエのビクトリアフォールズの眺望ポイントには、リビングストンの像が立っていた=2月18日、石原孝撮影

■超インフレの国、100兆ドル紙幣のお値段

ジンバブエは2000年代に2億%以上のハイパーインフレに襲われ、中央銀行が発行した高額紙幣の価値が紙くず同然になった。街中では、当時の紙幣が土産としてひそかに売られている。最高額の100兆ジンバブエドル札の値段を聞くと、「200米ドル(約2万2千円)だ」と言われ、驚愕した。

ハイパーインフレーションが襲った2000年代後半に発行されたジンバブエドルの高額紙幣。現在は使用が停止され、お土産としてひそかに売られている=2020年2月24日、ジンバブエ、石原孝撮影

ジンバブエのビクトリアフォールズ市街地で地元料理を食べようと訪れたのがMama Africa(5)。魚のフライやピーナツのシチュー、ライスなどが食べられる。

店のスタッフ、ロナウド・ニョニ(25)が薦めてくれた「サザ ウンディウライエ」を注文。出てきたのはビーフシチューと、トウモロコシの粉をお湯で練って作るジンバブエ国民の主食「サザ」。手づかみでシチューなどにつけて食べるのが現地流だ。

ご当地料理が食べられるMama Africaで注文したビーフシチュー。トウモロコシの粉でできた真っ白なサザをつけて食べる=2020年2月17日、ジンバブエのビクトリアフォールズ、石原孝撮影

マッシュポテトをもう少しなめらかにしたような食感で、うまい。ただ、満腹になるのも早く、メニュー表の料理名の意味は「サザが私を殺す」。確かに、全部食べたらおなかがはち切れるかもしれない。

ビクトリアフォールズ国立公園の入場口近くには、The Lookout Cafe(6)もある。一時は火災で店舗が焼失したものの、昨年12月ごろに営業を再開。ザンベジ川渓谷の絶景が堪能できるのが最大の魅力だ。

ジンバブエのビクトリアフォールズ入り口近くにあるThe Lookout Cafeの眺望。景色の良い席に座りたければ、予約した方が良いかもしれない=2月18日、石原孝撮影