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ソレイマニ殺害で、トランプの戦略の支離滅裂さが新たな次元に

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トルコ・イスタンブールの米国領事館前で、ソレイマニ司令官を描いたプラカードを持って抗議する人びと=ロイター

“Trump has raised strategic incoherence to new levels with Soleimani’s killing”

2020年1月3日付 ワシントン・ポスト紙

トランプ大統領は中東で一体何がしたいのか。イランが2019年6月にアメリカのドローンを撃ち落とすと、報復にstrike force(攻撃部隊)を送り込んだが、結局それを後退させた。同10月にはforever wars(永遠の戦争)を終わらせるとして、シリア北部からの米軍の撤退を発表。結果的にクルド人を見捨てた。そして今度は、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官の殺害を指示し、イランが復讐を誓っているのだ。

記事は、暗殺によって中東で軍事衝突がraised the prospects for(起きる可能性を高めた)のに、トランプは戦争を防いだと主張すると批判。これまでもトランプの行動を非戦略的だと非難してきた、記事の筆者の保守派コラムニストはこう揶揄する。「トランプはstrategic incoherence(戦略における支離滅裂さ)をraised to new levels(新たな次元に引き上げた)」。仮に戦略があったとしても、contradictory impulses(矛盾する欲求)に埋もれ、今更それを知る方法はないとも言う。

トランプはアメリカ人へのさらなる攻撃を防ぐことを殺害理由に挙げたが、イラン国内ではavenge(報復する)という声が高まり、何千人ものイラン人がアメリカをdenounce(糾弾)するためtook to the streets(街頭で抗議デモをした)。アメリカ人を守っているのか、put at risk(危険にさらしている)のか、国会議員も一般国民も問うべきだとコラムニストは言う。現在、国際的なconflagration(戦争勃発)のprecipice(崖っぷち)にいるというのに、トランプは信頼できず、歴代大統領と比較できないほど無知で衝動的だと批判。しかも周りにはイエスマンしかいないと嘆く。

他方、バイデン前副大統領の声明は場数を踏んだ、sober(地に足がついた)commander in chief(最高司令官)はどのような話し方をするのかを思い出させてくれるとコラムニストは言う。読者の参考のため、記事には彼の声明の長い引用があるが、確かにトランプとは対照的だ。そしてコラムニストは次期大統領には世界で失墜したアメリカの信用を回復させなければならないというextraordinary(特別な)任務が待っているとも指摘している。