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アメリカで最も華麗なガーデナー、その言葉に学ぶ「will」の奥深さ

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語 更新日: 公開日:
安河内哲也撮影

■今週の名言

Wild flowers grow where they will.

(野生の花は、咲きたいところに咲く)

【動画】レイチェル・ランバート・メロンの名言を安河内先生が解説

■名言を味わう

意志の強い人間は、どんな場所や境遇に置かれても自分の志を貫き通して大成する。そんな真理を示唆した言葉ではないでしょうか。

過去に何度しくじろうと、どん底に陥ろうと、心機一転、過酷な新天地に果敢に飛び込んでいく。そして、しっかり根を下ろし結果につなげていく……。こういうたくましい人って、たまにいますよね。どこに行っても重要な役回りを立派に果たす、雑草のような強靭さを持った人間は外見がどうのこうのではなく、生き様がかっこいい。そんな人たちを見習って、精神的にも肉体的にも少しでもタフでありたいものです。

私生活や仕事を通じてきっと数多くの草花を見てきたはずのメロン。温室育ちの目を見張るような美しい花たちではなく、派手さはなくても、格段強い生命力を持った野生の花に魅了され、この一言を残したのかもしれません。

温度や土、気候がちょっと違ったとたん枯れてしまうのではなく、どこにでも咲き誇る、野生の花のようなメンタルとボディを持とう! この名言に私と同じようにインスパイアされた方は、来年は一緒にまず体力作りから始めてみましょう!!

■名言の単語ピックアップ

will

〜するつもりである、〜する(ことになる)だろう(助動詞) 意志;遺言(名詞)

 

willは、中学で習う単語です。「『〜するつもりだ』と、未来のことを述べる助動詞だ」と習ったかと思います。

まさに習った通りではあるのですが、実はこのwill、けっこう奥の深い単語で、幅広い意味を持っています。全部を網羅することは到底できないので、ここでは特に覚えてほしい意味を用例と一緒に説明していきましょう。

まずは、willのざっくりとしたイメージをお伝えすると、話者が「ある事柄に対して意志がある」ことを示すというものです。将来のことについて、意志の意味を強く含みながら言及する助動詞なのです。

わかりやすい例を紹介しましょう。イギリスのロックバンド、クイーンの代表曲の1つであるWe Will Rock Youには歌詞の中で何度もWe will, we will rock you!と出てきますね。これには「オレたちは君たちを揺さぶるつもりだ(いや、揺さぶってやるぜ!)」といった強い意志のニュアンスが込められいるのです。

特にIweなど、一人称の主語を取ったwillの場合は、強い意志を含有しながら、未来のことを話す割合が高くなります。

では、ビジネスシーンでの例を4つ見てみましょう。

We’ll make sure that our customers understand what our policies are.

(顧客が我々の方針について理解するよう万全を期します)

make sure(確実に<忘れずに>〜する)とwillのセットで、「この先必ずするから」「万全を期すよ」と告げることができる。同僚、クライアントなど、仕事の幅広い場面で相手を安心させられる表現。

I’ll see what I can do (for you).

(何ができるか見てみましょう)

will see(成り行きに任せる)は、「何ができるかわからないが、どんな対応ができるかとりあえずチェックしてみます」といったシチュエーションにうってつけ。日本語の「善処します」に近い一言。

I’ll let you know as soon as I hear from them.

(彼らから連絡があり次第すぐ知らせます)

will let +人+know(〜に知らせします)は、あとで伝えると自信を持って告げる表現。as soon as...は「〜してすぐ→〜次第(大至急)」という意味。

Thank you for your input. We’ll take it into consideration.

(ご意見をいただきましてありがとうございます。考慮してみます)

*ここでのinputは情報、アドバイス、意見、アイデアなどの提供を指す名詞。take into considerationは「考慮する」という意味。日本語の「検討いたします」に近いニュアンス。意志のwillを伴って「考慮する」ことは約束しているが、別段目に見える成果を約束しているわけではないので、高度な断りのテクニック(聞いておいて何もしない)にもなる。

we’llwe willI’llI willの省略でしたね。基本的に会話ではこの’llが好まれて使われるので発音に慣れておきましょう。

とにかくI’ll、we’llは、「〜いたします」的に使われるため、ビジネスシーンで頻出します。辞書などで文例にたくさんふれるとともに、音声もチェックして音読練習もしてくださいね。

ちなみに、絶対に決まっている今後の取り決めや予定について述べる場合は、be going toが好まれる傾向にあります。ただ絶対be going toというわけではなく、willが使われることも。ですので、そこまで神経質になる必要はありませんが、頭の片隅に入れておいてください。

助動詞にはもう1つ、話し手の「〜だろう、でしょう」という推測を意味する使い方もあります。こちらは、意志の強い未来がIweの一人称を主語とするのに対し、youheshetheyといった二人称や三人称を主語に取ることが多くなります。

I hope she’ll be fine. (彼女が大丈夫だといいのだけれど)

I think he’ll be all right.(彼は大丈夫だろうと思います)

また、Will you...?という形の疑問文は、若干ですが命令ふうのニュアンスを含むこともあります。

Will you show me how to use this slide?

(このスライドの使い方を教えてもらえる?)

Won’t you join us for Jane’s birthday party at the cafeteria?

(食堂でのジェーンのバースデーパーティーに来ませんか?)

Will you...?Won’t you...?と相手に依頼したり尋ねる(誘う)場合は、Could you...?などに比べるとちょっと強めの言い方になります。半強制、半命令的なニュアンスを帯びることがあるので気をつけましょう。

映画やテレビドラマでもWill you...?をきつめに言っているシーンに遭遇することがあります。ただこれも、細かく考えすぎると使えなくなってしまいますよね? 

ですから、ビジネスやフォーマルな場ではCould you...?を、気のおけない友人やカジュアルな場ではWill you...?Won’t you...?を使うなどと、シチュエーション別に使う疑問文のパターンを決めておくのも1つの手でしょう。

さらにwillは、名詞としても使うことができます。まずは、よく知られたことわざです。

Where there is a will there is a way.

(意志あるところに道は通ず)

*「為せば成る」ともいう。

このように名詞では「意志」という意味がそもそもあるのです。against one’s will(不本意ながら、心ならずも)、God’s will(神のご意志、神意)なども名詞willとセットで使われるので覚えておいて。

またwillには、「遺言」という意味もあります。遺言を残す人の意志がそこに反映されているからでしょう。 

■名言を解剖する

Wild flowers grow where they will.

(野生の花は、咲きたいところに咲く)

名言ではwild flowerと2語ですがwildflowerと1語で表記されることもあります。「野生の花」「野草」などを意味する言葉です。growは「成長する」でしたね(この連載の第13回でピックアップした単語です)。ここではflowerの成長に言及しているので、growを「咲く」と意訳しました。

ここでのwhereは副詞の「どこに」ではなくて、「〜する(した)ところに」という意味で、接続詞の役割を果たしています。wild flowersgrowするところは、直後のthey willとなります。

theyはそう、wild flowersのこと。さらに、willの後ろにはgrowが省略されています。助動詞の後ろに来る動詞は、既に前に出てきている場合、繰り返さずに省略できるのです。

今回の名言の意味的なポイントは何と言っても最後のwillでしょう。「育ちたいと思ったところになら、どこにでも育つことができる」という強い意志を表出させるのに、助動詞willが効いているのです。

■今週の1枚

千葉県にある外房線の波花駅のプラットホームで撮影しました。この駅は無人駅なんです。

草花が勢いよく生い茂っている部分、もともとは花壇で手入れもされ、もっと理路整然としていたのかも。ただwild flowersweeds(雑草)も入り乱れたような野性味あふれる姿も、趣がありました。

草花を接写していたら、ちょうど黄色い花の向こうに黄色い縁取りの電車が停まったので、一緒に撮ってみました。点字ブロックの黄色もあるので、「yellowでコーディネートされている!」と興奮気味にシャッターを押していました(笑)。I hope you like it.

2019年の名言学習は、これで終わりです。年末年始でお休みがじっくり取れる人は、ぜひバックナンバーも見返してみて。そして、いくつ名言を暗唱できるか試してみてください!

さて、2020年初回を飾る次週(1月6日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、New Year’s resolution(新年の抱負)にもぴったりなimaginationにまつわる一言を取り上げます。

どうぞお楽しみに。Have a wonderful winter holiday and see you next week!

(構成・山本航)

■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。