■今週の名言
There is always light behind the clouds.
(雲の後ろには常に光が差している)
■名言を味わう
雲は、どんよりとして悪い状態、そして光(太陽)は、晴れ渡ってうまくいった状態を指した比喩でしょう。悪いことがあってもいいことがあとからやってくるよ、ということですね。
太陽自体は、いつでも雲の向こうにある。これを人生に置き換えてみると、「何もかもがうまくいかない」「どん底だ」と思っていても、向こう側にはちゃんと光が待っている。希望を捨てず懸命に雲を乗り切ろうとすれば成功を手にすることができる、ということでしょう。
年の瀬を迎えた今、暗い雲が立ち込めた状況に例えいたとしても、その裏には太陽の光があって輝くような未来が待っている。そう信じて突き進んで行きたいものです。
オルコットが作家として名声を得るようになったのは、「若草物語」を発表した30代半ばを過ぎてからだったそう。もしかしたら、書いても書いても評価が得られない、自身の下積み時代を振り返っての言葉だったのかもしれません。
■名言の単語ピックアップ
behind
〜の後ろに、〜の背後に
behind the wall(壁の後ろに)、behind the tall man (背の高い男性の後ろに)のようにbehind the+物や人で「〜の後ろ、の裏側に」という意味で使う前置詞と覚えていることと思います。
ここでは、上記のわかりやすいbehindの使い方以外を、ビジネスの場面を想定した例文を見ながら学んでいきましょう。
実はこのbehind、もっと抽象的な場面で使うことも多々あります。日本語でも「我々が掲げる戦略の背後には、〇〇の理由がある」と言いますが、英語でもまったく同じ使い方をするのです。
例えば、こんな感じです。
What’s the main reason behind the cancelation of their project?
(彼らのプロジェクトが取りやめになった背後にある主な理由は何だ?)
*reason behindで(〜の理由)。What’s the reason behind...?は、表立ってはわからない裏の事情を引き出すときに最適な表現。
ビジネスの世界では、背景説明することが日常茶飯事ですから、この抽象的なbehindも、うまく使いこなせるようになってくださいね。
抽象的なbehindの例文をもう1つ見てみます。今度は、こちらもセットになることが多いlie(置かれている、横たわる)という動詞と一緒に使われている一文です。
A lot of different factors lay behind her decision to promote him.
(彼女が彼の昇進を決定したのには、数多く要因があった)
*lie behind で「〜の後方(背後)にある」という意味。layはlieの過去形(ちなみに過去分詞はlain)。
もう1つの大切なbehindの意味としては、「遅れている」があります。
余談になりますが、behindは前置詞以外での意味と用例もいくつかあります(「あとに、後ろへ」という意味もあり)。
時間があれば、一度辞書をチェックして前置詞、副詞、さらには名詞まであるbehindの項を、上から下までざっと読んでみてください。
全部覚えようとする必要はありません。軽く一読することで、単語の核となるイメージが何となくつかめたら、めっけもん! それくらいの軽い気持ちで挑戦してみましょう。
話を「遅れて」の意味のbehindに戻しましょう。ここで真っ先に思い浮かぶのは、behind schedule(予定よりも遅れている)です。
仕事で最も避けたい事態の1つではありますが、現実問題として不可避な事態ですから、使い方をマスターしておきましょう。
This project is two months behind schedule.
(このプロジェクトはスケジュールより2カ月遅れています)
*This project is behind by two months.と言うことも可能。
Our country is still a little behind in AI and robotics technology.
(わが国はAIやロボット・テクノロジーに関してはちょっと遅れている)
*国家といった、大きなスケールの話でも「遅れて」のbehindを使うことがある。
また、この「遅れている」と対になるのがahead of(〜の前に、より早く)です。ahead of time、ahead of scheduleなどと言いますので、behindとセットで覚えておきましょう。
最後にスポーツ観戦中のbehindの使い方に注目してみましょう。試合中に「今、日本が2点ビハインド(=負けている)」と言ったりしますが、これは和製英語ではなく、英語の「〜に負けて」という意味のbehindからきたものです。
では、英語ではどんなフレーズになると思いますか?
Japan is two (goals / runs) behind France.
(日本はフランスに2点差で負けている)
*サッカーならgoal、野球ならrunを使う。
さらにはバレーボールやテニスなどセットがあるスポーツならtwo sets behindを使うなど、競技によってスコアの呼び方が変わるのがややこしいながら、おもしろくもありますね。
では、反対に「2点差で勝っている」はどう言うのでしょう?
Japan is two (goals / runs) ahead of France.
来年の東京オリンピックとパラリンピックでは、試合観戦中のSNS利用は、この2つの表現を英語で使いまくって世界発信しちゃいましょう!
■名言を解剖する
There is always light behind the clouds.
(雲の後ろには常に光が差している)
7つの単語からなる名言は、構造も至ってシンプル。there is(〜がある)、always(常に)、light behind the clouds(雲の後ろの光)ということですね。
名言の和訳では、最後を「〜光がある」というと味気ないし、意味も若干わかりづらいので「〜光が指している」と意訳しました。
あとはもう説明するまでもない簡単な構造ですので、今回は代わりに、名言には出てこないものの一緒にぜひ覚えてほしい表現を紹介します。
ずばり、silver liningです。これは、「(地上から見た灰色の雲の後ろ側で)銀色に輝く裏地」を指す言葉です。
ここから転じて「不幸な境遇に差す光明、明るいきざし」「逆境での希望の光」という意味もあるんです。よく以下のように言ったりしますよ。
Don’t be downcast. Every cloud has a silver lining.(そんなに落ち込まないで。悪いことの反面には必ず良いことがあるから)
Every cloud has a silver lining.は、有名なことわざなので聞いたことがある方もいるかもしれませんね。名言写真をもう1度見ていただきたいのですが、灰色の雲がところどころ、明るく輝いていますよね。これがsilver liningです。
英語学習をしていても、ずっとcloudsだらけでくじけそうになったときには、ぜひこのsilver liningの存在を思い出してくださいね!
■今週の1枚
羽田空港に向かう便で、千葉の房総半島を横切る際、木更津あたりだと思うのですが、眼下に見えてきた工場のある景色をとらえた1枚です。ちょうど美しい光と色の具合に「チャンス!」とばかり、そそくさとシャッターを押しました。ちょっと、新海誠監督のアニメ作品をほうふつとさせるような美しい風景でした。
さて次週(12月23日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、「モーリー先生との火曜日」で知られる作家でジャーナリストでもあるミッチ・アルボムの言葉をフィーチャーします。wave(波)を擬人化した彼の一言から、大きな気付きを私は与えてもらいました。
どうぞお楽しみに。See you next week!
(構成・山本航)
■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。