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「風向きを知るには…」ボブ・ディランの名言、あなたはどう解釈する?

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語 更新日: 公開日:
安河内哲也撮影

■今週の名言

You don’t need a weatherman to know which way the wind blows.
(風向きを知るのに、気象予報士は必要ない)

【動画】ボブ・ディランの名言を安河内先生が解説

■名言を味わう

私と同じように彼の名曲『風に吹かれて(原題:Blowin’ in the Wind)』を真っ先に思い浮かべた方もいるかもしれませんが、『サブタレニアン・ホームシック・ブルース(原題:Subterranean Homesick Blues)』という曲の中の歌詞です。

「the wind blows(風が吹く)」は、時代の流れや世の中の流れに例えた、比喩だと言えます。世論がどちらにあるかを知るために気象予報士(これはおそらく、政治家や知識人とか言ったオピニオンリーダーのことを指しているのではないでしょうか)はいらない……。

権力者や識者の動向や顔色ばかり伺うのではなく、自分の考えやフィーリングに従って判断を下し、思い通りに行動してみる。自主性、主体性の大切さを示唆した名言だと、私はpersonally(個人的に)思っています。

■名言の単語ピックアップ

need

(~を)必要とする、(~の)必要がある

英単語には、品詞が1つではなく、同じ綴りで、例えば動詞、名詞など複数の役割を持つものが多々あるのはみなさんもよくご存知だと思います。

今回ピックアップしたneedも、名言の中では動詞として使ってありますが、名詞として使われる場合も数多くあるので、両方の使い方をしっかりマスターしましょう。

ちなみにneedは、助動詞として使われる場合もあります。You need not have done it.(それをする必要はなかったのに)などと言うときですね。まあ、ほとんど使わないので覚える必要はありませんが……。「同じ単語でも品詞が2つ、3つと複数の場合がある」ことだけを、しっかり頭に入れておいてください。

では大切なneedの用法その1として、動詞の使い方をまず見てみましょう。I / We need that report now.で、「今すぐレポートが必要だ→今すぐレポートを出しなさい」と、強い要求を表すことができます。

またneedの後ろには、不定詞をくっ付けてI need to go to / attend the conference this afternoon.(今日の午後会議に出る必要がある)とすることもできます。つまり、toを使って文をつなげることもできるわけです。

さらに否定の形を用いる場合は、You don’t need to make the same presentation tomorrow. (同じプレゼンを明日やる必要はありません)のように、「しなくていいよ」という要件を伝えることができます。こうした動詞の形の「必要である」「必要とする」「しなくていい」はプライベートでももちろん使いますが、物やサービスの交換で成り立つビジネスの世界では、使用頻度がことさら高いと言っていいのではないかと思います。

注意したいのは、部署や会社を代表する場合などは、例え1対1で話していてもwe need…とweを主語にすることが一般的だという点です。こうした場面でI needを連発すると、「個人的な要求か?」と相手を混乱させる危険性もあるので、気を付けて。日本語でも「我々」「我が社」と言うのと同じ感覚でweと言う習慣をつけてみてください。

次にもう1つの使い方、「必要(なもの)、要求」といった意味を持つ名詞としての needをおさらいしましょう。

例:There’s a pressing need for a new assessment.(新しい評価の切迫した必要性がある)

例文では、pressing need forと名詞needの直後にforという前置詞が配置されています。need for…で、「の必要性」という意味になります。forのイメージとして「~を求めて」というのがありますが、まさにここでのforはそのイメージにどんぴしゃです。need for a rapid decision(早急な決定の必要性)、need for additional financing(追加融資の必要性)、need for monitoring(監視の必要性)、need for product improvement(製品改善の必要性)などなど、ビジネスで必要な事柄は、このneed for...で幅広く表現できますよ。

では、ビジネスの場面を想定した3つの例を挙げていきます。

We need you to come up with a new marketing strategy for next year.

(来年のための新しいマーケティング戦略をあなたにひねり出してもらう必要があります)
*動詞で使うneed。to不定詞を続ける前に目的語youが入っているのは、ディランの名言と同じパターン。come up with...は「(アイディアなど)を思いつく、考え出す」。

Do you need me to work late tonight?

(私、今晩残業する必要ありでしょうか?)
*Do you need me to...?は仕事上で相手が自分に求める事項を確認するためのテッパン表現。

Our company should meet the consumers’ need for reliable products.

(我が社は信頼のおける製品を求める消費者ニーズに応える必要がある)
*名詞need+前置詞forの形。「必要性(ニーズ)に応える」の「応える」に相当する英語の動詞はmeetを使う。

■名言を解剖する

You don’t need a weatherman to know which way the wind blows.

(風向きを知るのに、気象予報士は必要ない)

まずweathermanは、気象予報士のこと。you don’t need a weathermanの部分は簡単ですよね。to knowは目的を示していて、「~を知るために」という意味となります。

このようなto +動詞は、不定詞と呼ばれます。不定詞にはいろんな使い方がありますが、ここでは基本の「~するために」と目的を表すために使われています。

whichもいろんな使い方がありますが、直後に名詞(ここではway)がきた場合は、セットで「どちらの~」という意味になります。ですので、「どちらの方向」となります。

the wind blowsは「風が吹く」ということ。to know which way the wind blowsで「風が吹く方向を知るのに」という意味となります。

形としては、which way以下が1つの名詞の働きをする塊を作っているわけです。後ろにthe wind blowsのような節が付いたこの塊は、大きな名詞のような働きをするんですね。「どちらの方向に風が吹くかということ」がknowの目的語になっています。

■今週の1枚

香港で撮影しました。バスで香港島のはずれのほうまで行ってみたところ、小さなコミュニティーが出現。人影のない小道を進んでいくと見えてきた、風車(のようなもの)がいい味を醸し出していたので思わずパチリ。右奥にぼやけて見えるのは旗です。

さて、次週(12月16日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、あの「若草物語」を書いた女流作家の名言をフィーチャーします。7単語と短くて覚えやすい一文は、師走で忙しい方にこそ知っていただきたいものです。きっと元気が出て、もう一踏ん張りできると思いますよ!

どうぞお楽しみに。See you next week!

(構成・山本航)

■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。