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多額のローンを抱えて卒業する米国の大学生

ニューヨークタイムズ 世界の話題
America's student debt is growing more slowly, but borrowing remains a fact of life for most students. The average burden for indebted college graduates is now nearly $30,000, a new analysis found. (Wenjia Tang/ The New York Times) -- NO SALES; FOR EDITORIAL USE ONLY WITH NYT STORY COLLEGE DEBT BY WENJIA TANG FOR SEPT. 27, 2019. ALL OTHER USE PROHIBITED. --
Wenjia Tang/©2019 The New York Times

米国の大学生たちの借金額は、増え方が鈍くなっているが、大学生の多くにとって借金は相変わらず紛れもなく厳しい現実なのだ。負債を抱えて卒業する大学生の平均借金額は3万ドルに近づいていることが、ある最新調査で判明した。

非営利団体「TheInstitute for College Access & Success(TICAS)」の年次報告書によると、2018年に非営利の私立大学や公立大学で学士号を取得した学生の3人に2人が学生ローンを利用している。この比率は前年とほぼ同じだ。

借り手は平均2万9200ドルを借金しており、前年の卒業生と比べて2%増だ。年次報告書によると、1996年から2012年までの学生の借金増加率は年平均4%だった。

非営利団体「全米消費者法律センター(NCLC)」の学生ローン負債者支援プロジェクトの担当ディレクター、パーシス・ユは、学生が抱えている借金の増加率は鈍っているとはいえ、その水準はあまりに高額すぎると指摘する。「金額はなおも膨れ続けており、それが懸念される」と彼女は述べ、「3万ドルもあったら支えきれない」と言う。

学生の借金平均額はコネティカット州の3万8669ドルからユタ州の1万9728ドルまで幅があるが、一般的に米国の北東部で多く、西部は少ない。

ICASの推定額は、大学側が自主的に報告した連邦および民間の学生ローンに関する情報に基づいたもので、営利目的の大学のローンについては除外した。理由は、そうした大学の卒業生たちの負債に関する報告が少ないためだ(連邦政府は4年ごとに学生の負債水準についてより包括的な報告をしており、それには営利目的の大学も含まれているから、TICASの推定額とは違う可能性がある)。

今回の新しい報告書によると、借金の増え方が鈍化した重要な要因は公立大学への州や地元の資金拠出が増加したためとみられる。公立大学には学部生の4分の3以上が在籍している。

世界的な金融不況(訳注=2000年代後半から10年代初頭まで)で税収が減った際に、学生1人当たりに対する州および地元の資金は2千ドル減少。この間、学生の借金は1人当たり1100ドルほど増えた。これは報告書の指摘である。州の拠出が回復するにつれ、学生の借金状況は好転していった。

州の高等教育執行役員協会(SHEEO)によると、それでも大学への州資金は金融不況後も回復半ばにあり、収入源としての学生の授業料への依存度は「高止まりしたまま」だ。

連邦政府のニーズを基礎にしたペル・グラント(訳注=連邦政府が支出する返還不要の大学生向け奨学金)がわずかながら増額されたことも助けになった。とはいえ、TICASの報告書によると、最大限の奨学金でもカバーできるのは2018年の学費の3分の1未満である。

TICASの執行副所長デビー・コクランは、学生の借金額の増え方が鈍化していることは喜ぶべきではあるが、何百万人もが学生ローンの返済に苦労し続けていると指摘する。

報告書によると、連邦政府からの直接負債者はその4分の1が2018年末時点で滞納または債務不履行に陥っている(返済が9カ月間滞ると債務不履行とみなされる)。

しかし、教育省が9月下旬に発表したところによると、最近の負債者に占める債務不履行の比率は低下が続いている。2016年からローンの返済を開始した負債者の約10%が18年までに債務不履行になったが、前年の場合は11%だった。

以下は、大学教育を受けるための借金のQ&A(質問と回答):

Q: いくら借りられるのか?

A: 依存型の学部生――経済支援を両親に頼っていることを意味する――向けの連邦ローンは各年間、新入生は5500ドル、2年生は6500ドル、3年生と4年生は各7500ドルまで借りられる(学位取得に4年以上かかる場合は、総額3万1千ドルを限度とする)。

ところが、多くの家庭はそれ以上を借りている。学部生の親が利用できる連邦政府のPLUSローンを使うからだ。このPLUSローンは金利が高いが、大学教育で必要な累計額まで利用できる。

各家庭はまた、銀行や政府融資機関からの個人ローンを利用することができる。先述のデビー・コクランによると、そうしたローンは借り手を保護する措置に乏しく、一般的には最後の頼りとみられている。

Q: 4年間で学位を取得するにはいくら借りる必要があるのか?

A: 借入額を決める際、学生は将来、自分が稼げる可能性のある金額を考慮すべきだとマーク・カントロウィツは言う。(大学の学費準備などをアドバイスするサイトの)Savingforcollege.comの発行人兼調査ディレクターであるカントロウィツは、「私の経験則では卒業時での学生ローンの累計額は就職初年の年収よりも低い額であるべきだ」と言い、「それよりかなり少ないことが理想だが」と付け加えた。

ニューヨーク連邦準備銀行はこのほど、大学の専攻分野を基にしたキャリア初期の典型的な推定年収額を発表した。中央値は4万4千ドルで、コンピューター工学の学位保持者はかなりの高額(6万5千ドル)だが、初等教育専攻だと低い額(3万5千ドル)になる。(抄訳)

(Ann Carrns)©2019 The New York Times

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