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あなたは子どもに「スマホ中毒なのはそっち」と思われている

ニューヨークタイムズ 世界の話題
25 April 2018, Germany, Reutlingen: A sign warning against
歩きスマホに注意を促すために設置された標識=2018年4月25日、ドイツのロイトリンゲン、picture―alliance/dpa/AP Images

子供は大丈夫。しかし、大人は?

2016年からこのかた、子より親の方が携帯機器に費やす時間を気に掛けるようになってきた。10代の子供は親よりずっと気にしなくなってきたのに――。米国で子供にとって安全なハイテクメディアの支援に取り組んでいるNPO「コモンセンス・メディア」(Common Sense Media、本部・サンフランシスコ)が、携帯問題の実態を最新の報告書で明かした。

「自分の携帯の使い方を気にする親が増えているが、あなたもそうならその知恵を子どもたちと分かち合えるはずだ。それこそがあなたの仕事だ」とコモンセンス・メディア代表のジェームズ・スタイヤーは語った。

報告書は19年5月29日に発表された。500組の親と10代の子供を対象に調査した。その結果、親と子供の双方が、携帯機器について複雑な関係を持っていることが分かった。親子の関係も無論、複雑である。

ほとんどの親は、子供が携帯中毒になっているのではないかと心配している。だが、10代の子供の10人に4人は、親に対しても同様の心配を抱いている。

報告書の要点をいくつか取り上げてみると――。

目が充血した母、父、10代の子はどこにでもいる

調査結果で、スタイヤーと報告書を書いた調査担当シニアディレクターのマイケル・ロブが一番心配したのは、携帯機器がいかに睡眠を妨げているかということだ。親も子もその点を気にせずに使っていることに関連していた。

「これは非常に重要だ。というのは、健全な睡眠は色々な面で前向きな結果をもたらすが、睡眠不足は否定的な結果をもたらす」とロブ。

調査は19年2月と3月、インターネットと電話で行われた。その結果、親たちの26%が、寝る前5分以内にスマホあるいはタブレットといった携帯機器を使っていた。夜中に少なくとも1回は目を覚まして携帯をチェックしていると答えた親の比率も同じだった。ただ、目が覚めて5分以内にチェックすると答えた親は、わずかに少なく23%だった。

この比率は、10代の子供ではもっと高かった。すなわち40%が寝る前5分以内に携帯を使い、36%は夜中に起てチェックし、32%が目覚めてから5分以内に携帯を使う、と答えた。

「とんでもない目覚ましコールだ」とスタイヤー。彼も妻と4人の子供と同様、自分の部屋では携帯をそばに置いて寝ている。

ベッドに携帯を置いて寝るケースは10代の子供の方が2倍以上多く、子の29%、親の12%が置いていた。

調査結果は、10代の子を持つ親たちの全国的な人口動態を反映するように調整され、誤差は約4・4%だった。

心配は他にも

コモンセンス・メディアが気づいたもう一つの事実は、不思議なことに、親たちがどんどん携帯電話にくぎ付けになっているのに対し、10代の子供には逆方向の傾向がみられたことだ。

「興味深いことで、予想していなかった」とロブ。

たとえば19年の調査では、親の52%が、自分が携帯機器に費やす時間は多すぎると答えた。16年からほとんど倍増した数値だった。10代で自分は携帯に費やす時間が多すぎると答えたのはわずか39%。16年の61%から大幅に減っていた。

自分を「携帯中毒」と感じている親の比率は、16年の27%から19年には45%に達したが、10代では逆に50%から39%にまで下がった。

Arturo, 33, a Mexican migrant, who was denied a visa to the United States, looks at his mobile phone next to his sons Juan, 10 and Javen, 6, inside their house in Neutla, Guanajuato state, Mexico, April 9, 2019. Picture taken April 9, 2019. REUTERS/Edgard Garrido
メキシコ・グアナフアト州ネウトラの自宅で携帯電話に熱中する親子(本文と写真は関係ありません)=2019年4月9日、ロイター

なぜ親と10代の子供では、こうも違いが出るのか、はっきりとした理由は分からなかったが、ロブはいくつか持論を展開した。

親たちはスマホ使用の影響を取り上げたさまざまなニュースを自分たちもしっかり意識しつつあるのかもしれない、とロブは言った。他方、子供は携帯が普及していなかった時代の記憶がどんどん薄れる中、携帯の常態化にさらされているのかもしれない。彼はそう話すのだった。

それでも実際に携帯を使う回数は、親も子もほとんど同じくらいだった。親たちのグループでは42%が1時間に2、3回携帯をチェックすると答え、10代の子供のグループでは、それが43%だった。

少ない話し合い

ロブの話だと、奇妙なことに、親も10代の子も自分のこと以上に親は子の、子は親の携帯のし過ぎを心配し、しかもそのことについてあまり話し合っていないという調査結果が出た。

それによると、今日では、10代の子供10人に約4人が、親たちは携帯中毒もしくは携帯のし過ぎだと思っている。一方、親たちは10人のうち6人が、自分の子は携帯中毒ではないかと心配しており、10人中7人が子供の携帯使用時間が多すぎると話している。

それでも親たちも子供たちも、携帯使用について日々お互いに話し合うと答えた割合は、約3分の1から約5分の1に減った。

「子供も親も、話し合うことが少ない。にもかかわらず、親は子に、子は親に対して、携帯に夢中になり過ぎだと感じている」とロブ。「実に奇妙な調査結果だ」と言った。

家族間で携帯の使い方についての話し合いが少ないのはなぜか。理由ははっきりしていないが、ロブとスタイヤーは、携帯機器の支配力にはかなわないというあきらめ、あるいは無関心が話し合いを少なくしているのではないかと言う。

しかし、いくつか希望はある。調査結果によると、親の3分の2は家族間で携帯機器の使用ルールがあると答えた。

「我々がこれまでコモンセンス・メディアで数年間言い続けてきたことだが、『聖域』をもつ必要がある」とスタイヤー。「特に電話はそうだが、デジタルプラットフォームが存在すべきではない場所や時間は確固として存在する。寝室はあきらかにその(置くべきでない場所の)一つだ」と言った。(抄訳)

(Niraj Chokshi)©2019 The New York Times

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