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不毛の砂漠に超高層ビルも エジプトの首都機能移転は「現代のピラミッド」か

World Now
今年1月に撮影された、新行政首都のモスク=ロイター
今年1月に撮影された、新行政首都のモスク=ロイター

在日エジプト大使館によると、約700平方キロの面積に700万人を擁する都市を建設する計画で、今年末から大統領府や議会、中央省庁の移転を始め、2022年までに完了する予定という。600を超す病院や教育施設や、1000を超す宗教施設、計4万室のホテル、米ニューヨークのセントラルパークの2倍の大きさの公園などをつくる予定という。発電所や空港に加え、中国企業が参画し、アフリカで最も高い超高層ビルを建てる計画だ。

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経済会議の会場で投資家向けに展示された新行政首都の模型=ロイター

アイマン・アリ・カーメル駐日エジプト大使は、インタビューに「現在のカイロはそのまま残るが、新行政首都には官庁、企業、大使館などが移る。空港や基幹道路もできることで『生きたハブ』になる」と話した。

カイロを出て第2リングロードと呼ばれる巨大な幹線を過ぎ、しばらく砂漠地帯を車で走ると、突如、左右に巨大な建物が見えてきた。片側にモスク、反対側に教会がある。

1月にすでに開所式が行われたようで、モスクはアフリカ最大規模だという。

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エジプトの新行政首都に建てられた巨大なモスク=高橋友佳理撮影

鉄骨がむき出しになった住宅がずらりと並び、作業員たちがせっせと建材を運んでいた。
カナダ大学のキャンパスも移転するようで、看板が立っていた。

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エジプトの新行政首都に立っていたカナダ大学の看板=高橋友佳理撮影

まだ道路は建設途中で、カイロに戻ろうと別の道に入ると、途中でアスファルトが途切れてしまった。だが何とか、すでに完成した道路にたどり着き、帰路についた。

案内をしてくれた政府系研究機関の研究員によると、勤め先の一部は新行政首都にオフィスを移したという。通勤を考えて、その研究員もカイロの外に自宅を構えていた。
政府系アハラム紙電子版に4月に載った記事は、政府が新行政首都を「国内初のキャッシュレス都市」にすると報じていた。

新首都内の住宅は高額で、まず公務員と富裕層だけが移り住むようだ。カイロに戻るタクシーで、運転手に新行政首都の話を振ると、「政府は国民の血税を新首都の建設や道路建設につぎ込み、新しい道路を通るたびに通行料をとられる。物価は高騰し、生活は苦しくなるばかり。国民のことを少しも考えていない」と怒りをあらわにした。会社の助手に聞いても、「行政機関が移るだけ」と素っ気ない。

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急ピッチで建設が進む新行政首都=高橋友佳理撮影

カイロの混雑を解消する、という目的は理解できる。ひどい交通渋滞はカイロの空気を汚し、人々のイライラを悪化させているように思えるからだ。

だが、このような砂漠の真ん中に大規模な都市を造るとなれば、目的はそれだけではないだろう。HPのイメージ画像を見ていると、「美しく、近代的なエジプト」を諸外国に印象付けたいのでは、と思えてならなかった。

新行政首都の建設と並行して、カイロでは最近、街中のスラム街が行政により壊されている。新行政首都は、現代のファラオによる「ピラミッド建設」に思えてきた。