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シリコンバレーでは相乗りが当たり前 子ども専用のライドシェアも

働くママのシリコンバレー通信 更新日: 公開日:
イラスト:tanomakiko

タクシーの相乗りがいよいよ日本でも導入されることになりました。日本での反応は、便利になる、と支持される一方で、知らない人と同じ車に乗るのは怖い、家がバレる、犯罪につながる、自分は絶対に利用しない、などネガティブな声も聞かれるようです。

日本交通の「相乗りタクシー」対応車。実証実験をPRするステッカーが貼ってある=東京都千代田区

UberやLyft などのライドシェアサービスが、本社のお膝元サンフランシスコで「カープール」と呼ばれる相乗りサービスを提供し始めたのは、5年前の2014年。今ではすっかり浸透し、多くの人が違和感なく利用しています。ですが、日本のニュースを読んで、最初は私の周囲でも「知らない人と乗って大丈夫なんだろうか。気持ち悪い」といった拒絶反応を示した人が多くいたことを思い出しました。

私も最初に利用したときは、やっぱりドキドキしました。周囲が使い始めて、いろいろな人に感想を聞いてから、カープール体験に臨んだ記憶があります。

慣れとは恐ろしいもので、今では深夜でも何の違和感もなく使っています。電車の方がむしろホームレスがいたりマリファナの匂いがしたりして、雰囲気が悪いという事情もありますが。

相乗りの相手とは、大規模のカンファレンスや野外ライブなどの目的地が同じ場合は必然的に話が盛り上がります。そうでなくても、ずっと何かの話題について話をしている場合もあれば、最初の「Hi! 」だけで一切会話なし、ということもあります。

カープールも含めてライドシェアが上手く機能しているのは、お互いを評価し合う仕組みになっているのも大きいかもしれません。ライドする方はドライバーを評価し、ドライバーはお客を評価するので、トラブルや事件を未然に防ぐストッパーになっている気がします。

一度、電話で説明してもドライバーが私のいる位置が見つけられず(アプリの地図でピックアップの場所がわかるはずなのに)、重い荷物を抱えてドライバーのいる場所までなんとかたどり着いた時のこと。かなりガミガミ文句を言ったら、ドライバーから評価4(普通は最高の5がつく)のレーティングをつけられました(涙)。評価があまりに低くなると、ブラックリストに入りサービスを利用することができなくなります。

子ども専用のライドシェアも登場しました。シリコンバレーでは、いち早くいろいろなサービスが誕生し、試験的に始まっていきます。共働きなどで忙しい親の代わりに、習い事や学校からの送迎をしてくれる子供専用のライドシェアの存在は数年前から知っていましたが、さすがに自分の子供を知らないドライバーと二人きりにさせて、習い事などに連れて行かせるのは強い抵抗がありました。

会社のロゴが入ったTシャツを着ているので誰がドライバーが一目でわかります。暗証番号と写真でドライバーと子供はお互い確認 し合います。(子供専用ライドシェア「Zum」ウェブサイトのスクリーンショット)

しかしですね、これも周囲がバンバン使い始めて、学校でも放課後に子供を迎えに来たドライバーの姿を見かけるようになりました。利用している保護者から「結構いいよー」とか「週3回使ってる」というフィードバックが多く得られるようになると、「もう4年生だし、大丈夫そうかも」と思い始め、我々もデビューいたしました。

主人の出張が多いためワンオペ状態が長く、周囲のママ友に恵まれていなかったら仕事は続けていられません。ですが、それぞれの家庭で習い事やスケジュールが違うので、いつも頼るわけにはいきません。一方で、アメリカでは法律で、小学校1年生でも一人で電車に乗って水泳に通わせるというような日本では当たり前のことができないので、必然的に誰かがその場所まで送り届ける必要が出てきます。

子ども用ライドシェアは、UberやLyftと同様に、ドライバーが自分の空き時間を利用し運転して収入を得るという、シェアリングエコノミーのビジネスモデルという点は同じ。ですが、子供専用のライドシェアのHopSkipDrive(ホップ・スキップ・ドライブ)やZum(ズーム)の場合、ドライバーになるには、指紋採取による犯罪履歴確認、信用調査、無事故証明が必要で、デイケアや幼稚園など子供に接した職務についていた経験が3〜5年以上と、ハードルを高く設定し、親の不安材料を軽減する仕組みになっています。

ただその場所で降ろすだけでなく、習い事だったら教室までしっかりと届けてくれて、入室や退出のサインがいる場合はその手続きするのもドライバーの仕事です。(グリーンバーグ美穂撮影)

そして、こちらのサービスも、もちろんカープールサービスを提供していて、子供同士が相乗りして習い事に行くことも可能です。カープールでない場合は、一回の送迎がだいたい20ドル程度と普通のシェアライドよりも割高で、何度も利用するとそれなりに経費もかさみます。シリコンバレーは物価が高いので、高校生のシッターでも時給15ドルが相場。そうなると、行くべき場所まで届けてくれて20ドルならまあ仕方がない、と納得しています。

親はアプリのマップで子供を乗せた車がどこを今走っているかが離れていてもリアルタイムで確認できます。(ウェブサイトのスクリーンショット)

人間は一度便利なサービスやモノに慣れてしまうと、なかなか元に戻るのは難しい。電車やバスで行ける場所でも、環境のことを考えると胸が痛みますが、ついカープール に乗ってしまうことがあります。

日本はタクシーの料金が高めなので、アメリカみたいに高齢者でも料金的に気軽に乗れる相乗りのサービスがあったらいいのに、と常々思っていました。海外でも一部ではライドシェアはもはや当たり前のサービス。今回の日本の相乗り解禁は、外国人観光客にとっても大歓迎のはずです!