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未来へ、希望の花を咲かせよう。

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岩手県大船渡市三陸町。高さ10㍍を超える防潮堤の上に立った秦 基博さん(シンガーソングライター)が目にした海は、その日どこまでも静かだった。「ここで大きな災害があったということが、信じられない気がします」。しかし振り返るとかつての市街地はまだ一面の更地で、重機も置かれたままになっている。

防潮堤から見た市街地方面は一面の更地

あれから8年。東日本大震災発生時に小学1年生だった子どもたちが、この春からは高校生になる。大船渡市立越喜来(おきらい)中学校3年の及川正嗣さんは、当時をこう振り返る。「突然揺れて、波がきて、家がなくなって、大人の人たちが泣いていて。何もわからないけど、何かが起こっているという怖さだけは感じていました」同級生の石川大地さんも、及川さんと同様、自宅を失い避難所や仮設住宅での暮らしを余儀なくされた。「波が自分の家に迫っていくのが学校から見えた時、それ以上何も考えられなくなって、後はずっと泣いていました」

今月末に盛岡市で開催される「復興支援音楽祭」のステージで、越喜来中の生徒たちは秦さんと一緒に歌声を披露する。練習風景を見学に訪れた秦さんは、生徒たちとの交流後、「みんなとても明るくて仲が良くて、いい学校ですね。本番で一緒に歌うのが楽しみです」と笑顔を浮かべた。

笑顔で秦さんの登場を待つ生徒たち

震災は、子どもたちからも多くのものを奪った。しかし3年生の神津凜さんは「悲しいこともたくさんあったけど、いろんな人と出会って、自分の世界は広がったと思います」と語る。掛川理乃子さんは、海外からボランティアに来てくれた人たちと接した経験から、将来は通訳になりたいと考えるようになった。「国外の人にも私たちの経験を伝えていきたいです」。困っている人の役に立ちたいと願う石川さんの夢は消防士、及川さんは将来地元に貢献できる力を身につけるため大学院で学びたいという。

笑顔で生徒たちの質問に答える秦さん(写真左)と日頃の練習の成果を秦さんに披露する生徒たち(写真右)

8年前のあの日、不安に震えていた子どもたちが、夢や目標を見つけて、前を向いて歩み始めている。秦さんは、「みんなが笑顔を取り戻すまでに経験したことや、今の思いを歌に『入れ込もう』としなくても、それは音のなかに自然に出てくるものだと思うんです。だから音楽祭では、その日、その時にしか響かない音を、ただ一緒に楽しめたらと思います」と語った。波がひいたあとの大地に残った、小さな希望の種。それが今、力強く花を咲かせようとしている。

■及川正嗣さん

津波で家が流されたあと、避難所から仮設住宅を経て、新しい自宅に戻れたのは震災の2年後でした。2年でまた自分の家に住めるようになったというのは、地域のなかでは早いほうです。
あの一瞬で奪われたものが元に戻るには、まだ長い時間がかかると思います。防潮堤もまだ全部はできていないと聞いていますし、「ど根性ポプラ」の公園も完成するまでに7年かかりました。
震災のとき小学1年生だった僕たちは、その後の復興をギリギリ覚えている一番下の世代じゃないかと思います。震災後に生まれた子どもも増えていますし、これからは自分たちの経験を下に伝えることもやっていきたいです。伝えたいことはたくさんありますから。

■掛川理乃子さん

復興を掲げた音楽祭に秦さんが協力してくださることがとてもうれしいし、こういう場をつくってくださったみなさんに感謝しています。本番では秦さんの歌を聴きながら同じ舞台で「ひまわりの約束」を歌えるなんて本当に幸せです。
ここは田舎町だし、自分も子どもだったので、復興ボランティアの方々に会うまで外国の人を見たことがほとんどありませんでした。でも知らない私たちのために汗を流してくださる人たちと会って、将来は世界のいろんな国の人と仲良くなりたいし、自分も誰かの役に立ちたいと思うようになりました。震災で失われたものはたくさんありますけど、少なくとも自分にとっては、得たものも絶対にあると思っています。

■神津凛さん

津波では、家やお店がたくさんあった中心地域が一番被害を受けました。被災後は遠くに越していった人や高台のほうに家を新築した人もいますし、以前と同じ場所に住んでいる私の家のまわりはすっかり寂しくなりました。でも多くの皆さんの支援を受けて、復興はゆっくりだけど進んでいます。3月の音楽祭では、歌を通してそのことを伝えたいです。
将来の夢はまだ決まっていません。ただ少しでも選択の幅を広げるために、今はたくさん勉強しておきたい。その貯金の期間だと思っています。これまでは子どもだから大人の人たちに頼ってばかりで何もできなかったけど、高校生、大学生のうちだからこそできることもあると思うので、これから地域の役に立ちたいです。

■石川大地さん

小さい頃から消防士に憧れていましたが、震災後のがれきの撤去を手伝ってくださった消防士さんたちの姿を見て、自分もそうなりたいという気持ちがますます強くなりました。困っている人を助けたり、応援したりするのが好きなんです。だから学校でも応援団長ですし、人前で大きな声を出すことがも多いから、歌もまあまあ自信あるんです(笑)。
越喜来中学校は、来年度いっぱいで閉校となり、周りの4つの中学校が一つになります。津波で家がなくなり、小学校がなくなり、今度は中学校もなくなる。悲しいですけど、この経験を自分にとってプラスにできれば、いつかなくした以上のものを手に入れることだってできると思っています。

(左から)及川正嗣さん、掛川理乃子さん、神津凛さん、石川大地さん


提供:三菱商事