「男性はだめです」
大学生のチャンさん(25、ソウル東大門区)が最近、自宅近くのプールで言われた言葉だ。プールの利用を断られたのだ。ここは、ソウル市立青少年修練館付設のプール。チャンさんは、プールの職員の説明にあきれ返った。午前9時から11時50分までは「女性の水泳時間」なので、利用登録すらできないというのだ。チャンさんは「レーンを区切ったところで泳ぐのもだめなのか」と尋ねた。職員は「男性が利用する脱衣室自体がない」と答えた。午前中は、男性用脱衣室がまるまる女性用になっているという。夏休みを前に、運動しようと思ってプールの利用登録に来たチャンさんは、結局、帰るしかなかった。
同じプールに通うキムさん(59、女性)も、同じ状況を味わった。キムさんは少し前、退職した夫と共に水泳をしようと登録を申請した。ところが、午前中は女性しか利用できないと聞き、二人の都合のいい時間帯がないのであきらめた。キムさん夫婦は、一緒にできる他の運動を探しているところだ。キムさんは「いまどき男女を分けるなんて」と、首をかしげた。
ソウル市立青少年修練館は、ソウル市から運営の助成を受ける機関だ。特にこのプールはアクセスも良く、費用も安く、住民たちの利用の多いスポーツ施設だ。学校の夏休みシーズンの7、8月は利用者が殺到し、先着順で埋まってしまうほどだ。
ところが、本紙がソウル地域の14カ所の市立青少年修練館付設プールの運営方式を確認した結果、すべて午前を「女性専用」時間として運営していた。多くは午前9時から11時50分まで「女性水泳教室」や「主婦水泳教室」という名前を付けて男性の利用を制限していた。男性は早朝か午後のみ利用可能だった。
利用者たちは男性に対する逆差別だと非難している。男性だけでなく、一部の女性もこのような運営方針に批判的だ。「女性は当然午前中ひまだろう」という旧世代的な認識が反映されているからだ。
青少年修練館は運営の便宜上、仕方がないという意見だ。脱衣室とシャワー室の数は男女同じだが、午前の利用は女性が圧倒的に多いからだ。ある青少年修練館の関係者は、「2000年代後半、プールを開設した当時、午前中の男性の利用はほとんどなかった。登録していた男性も、女性があまりに多いとやめる場合が多かった。その時から効率的な管理のため女性専用の時間を作ったのが、今に続いている」と話した。
専門家たちも「禁男時間帯」規定が、最近の性平等の常識に合わないと指摘する。イ・ボクシル前女性家族部次官は「表面的には男性に対する逆差別の問題がある。それだけでなく、いまだに女性を午前中ひまな『主婦』としてのみ規定しているようだ。公共施設なだけに、特定の性別を分離して利用権を剥奪するのはよくない」と話した。
一部の青少年修練館は自主的に改善案を作っている。ある関係者は「性差別とみられる点を最近認識し、男性も午前に水泳できるよう、9月から脱衣室の増設工事を始める予定」と話した。
(2018年7月6日付東亜日報 キム・ジャヒョン記者)
(翻訳・成川彩)