写真でみる陸自の上陸作戦演習＠グアム

World Now 更新日：2018.08.10 公開日：2017.08.24

訓練で使用するのはゴム製の模擬銃。実銃を使う場合は防水の袋に入れて泳ぐ。

まもなく「日本版海兵隊」ともいわれる「水陸機動団」が創設される。その核となって、離島防衛や奪還作戦を担うのが陸上自衛隊の西部方面普通科連隊の自衛官たちだ。今年5月には、日米英仏4カ国での初の枠組みである「ジャンヌ・ダルク2017」に参加した。グアムで実施された陸自単独での上陸作戦演習の様子を写真で紹介する。（文と写真・梶原みずほ）

翌日、日本だけで上陸作戦の訓練をすることになった。訓練前、顔にドーランを塗る自衛官たち。色は黒、黄、茶、緑の４色で、化粧落としや洗顔で落とすことができるという。

４カ国で共同の上陸作戦をする予定だったが、直前にフランス海軍の揚陸艇L-CATがサンゴ礁を傷つけたため中止に。グアム州政府は環境に厳しく、原因が究明されるまで訓練の再開は認めないという。地元メディアに、負傷者がいなかったことや、訓練中止を決定したことを説明する米軍関係者。

フランス海軍の揚陸艦「ミストラル」（右）。佐世保を出港した後、艦内で4カ国での訓練をしながら南下し、５月中旬、グアムのアプラ米海軍基地に入港した。フランスは南太平洋の仏領ポリネシアなどの海外領土に常駐部隊を置いており、海外領土の排他的経済水域（EEZ）は全体の80％以上を占め、900万キロ平方メートルに及ぶ。近年、アジア太平洋の海洋の秩序維持への関与を強めている。

先に泳いで到着した隊員とボートとの間で連絡をとりあう隊員（中央）。伝達は、防水の無線機を使うか、手信号。夜間は光を利用する。

訓練で使用するのはゴム製の模擬銃。実銃を使う場合は防水の袋に入れて泳ぐ。

沖合から浜辺に到達し、上陸。手に模擬銃とフィンを抱えている。

偵察用ボートから陸へ。小銃、靴、服など10キロ～15キロの装備を装着したまま、音をたてず、静かに立ち泳ぎで向かう。この訓練では約200メートルの距離を30分ほどかけていた。基本は2人1組で泳ぐ。

全隊員が無事上陸したことを確認する西部方面普通科連隊の隊員。

総重量200キロを超える偵察用ボートを運ぶ。

敵に見つからないよう、砂浜に伏せて警戒をする。

史上初となる4カ国共同訓練中止の要因となったフランス海軍の関係者は、陸上自衛隊の上陸演習の様子を見守っていた。

今回訓練に参加した陸上自衛官は約40人。陸からの連絡を受け、偵察ボートも砂浜に着いた。

梶原みずほ朝日ウイークリー・ディレクター

朝日新聞編集委員、テレビ朝日「報道ステーション」コメンテーターを経て現職。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士（政策・メディア）。慶應義塾大学SFC研究所上席所員、拓殖大学海外事情研究所客員研究員。米国防総省アジア太平洋安全保障研究センター元客員研究員。単著に「アメリカ太平洋軍」（講談社）、共著に「アメリカ太平洋軍の研究」（千倉書房）、「Hindsight, Insight, Foresight: Thinking about Security in the Indo-Pacific」（DKI APCSS）、「U.S. Indo-Pacific Command: Implications for East Asia」（Springer社）。

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