1. HOME
  2. オリバー・ストーンが語る映画『スノーデン』 困難極めた製作、政府やハッカーをおそれる監視時代

オリバー・ストーンが語る映画『スノーデン』 困難極めた製作、政府やハッカーをおそれる監視時代

World Outlook いまを読む 更新日: 公開日:

─映画『スノーデン』の製作では、米国家安全保障局(NSA)による監視にかなり気を配ったそうですね。

私たちは非常に用心しなければならなかった。合法的に映画を作っていただけだが、脚本をはじめ、あらゆるものをネット上に上げず、できるだけ暗号化し、断片ごとに撮影した。(NSAのほか)ハッカーが金もうけのため脚本を入手しようとする可能性もあったためだ。エドワード・スノーデンに関してハッキングできれば、確実に大きな話だからね。公開前も映画がハッキングされて出回ったりしないかと心配したので、映画を関係者にあまり見せず、見せる際には断片的とした。

─映画はスノーデンが軍やNSAなどをいかに支えてきたかも描いています。

自分がしていることが米国あるいは世界の人々の安全保障の利益になっていないと気づくまで、彼は全力で支えた。

彼も繰り返し言い、映画にも出てくるが、(テロなどに)関与した疑いのある人物や集団、その知人や家族らに対象を絞った監視には大義がある。それは避けて通れないことだし、とても効果的で、いいと思う。裁判所も同意している。だが、米国がしている大量監視では、あらゆる情報が集められる。そうした情報を周辺にリークすることで、他国の政権転覆や騒乱に用いられたりするわけだ。米国の介入主義はとどまるところを知らない。

2001年の9.11同時多発テロ以降、おびただしい予算を情報機関に費やしてきたが、テロリストをさらに増やす結果となり、私たちはさらに安全でなくなった。情報機関は安全をもたらしていない。だから「安全保障か個人の自由か」という問いの立て方は間違った方程式だ。

─エリック・ホルダー元司法長官は昨年、スノーデンは公共の利益のため行動した」と語りました。

もう公職でなくなってからのことだ。それって悲しいことじゃないか?

米国は膠着(こうちゃく)状態にある。政策を容易に変えられず、テロと戦う立場を続けるがために、強固な軍事国家となっている。

─米通信大手AT&Tがメディア大手タイム・ワーナー買収を発表しました。これが表現の自由の終わりにつながる、と懸念しているそうですね。

タイム・ワーナー傘下のワーナー・ブラザースとは主に1990年代、『JFK』(91年)などで一緒に仕事をしたが、当時の彼らは本当にリベラルだった。映画がヒットする限りにおいてではあるが。だが01年以降、変質した。今のハリウッドはあらゆることが政府寄りだ。さらに、スノーデンが明らかにしたように、AT&Tは政府とべったりだ。米政府の通信傍受について、AT&Tはモンスター級の協力者だ。それがワーナーを買収しようとしている。私たちは企業の影響下で生きることとなる。米国はメガ級の帝国に達してきた。

─トランプ米大統領はこの買収を「巨大権力の集中」と批判しています。

彼がどうしようとしているかはわからない。だが、彼の言うことは正しい。