【私のON】
南アフリカを拠点にモザンビークなど周辺国も対象に、火力発電所で使うタービンや送変電設備の営業をしています。 サハラ砂漠以南の国々の国内総生産(GDP)の3割以上を稼ぐ南ア。慢性的な電力不足が続き、政府は火力発電所や、風力、太陽光など新エネルギーの発電所を次々に計画中ですが、工場ではまだまだ古い石炭ボイラーが現役です。そこで、発電の際に出る廃熱で蒸気をつくりエネルギーとして再利用する「コージェネレーション」(熱電併給)システムを提案しています。
顧客の技術的な質問に英語で答えるため、東京の技術者に質問したり、専門書を読んだり、勉強が欠かせません。毎月の英文報告書を書く時は、ケニア人の同僚に教わりながら英語の表現をブラッシュアップしています。
アフリカ勤務は学生時代からの夢でした。当時、研究のため、電気も水道もないカメルーンの農村に半年間滞在しました。日が暮れるとランプや月明かりが頼りなのですが、電気がくれば、村の生活も変わるだろうと思い、アフリカでの発電にかかわるメーカーに就職したのです。
経済発展の一方で、失業率が20%以上あり、ヨハネスブルクのダウンタウンでは治安が悪い状況が続いています。知人が強盗など犯罪にあった話も耳にします。流しのタクシーは使わない、空港で両替をしない、など気をつけています。移動は原則、車。ただ、ナビが示す最短距離を行くと、治安が悪い場所を通ることがあり、要注意です。現地の友人とメールや電話で危険な場所の情報交換もしています。久しぶりに欧州に出張した時に、高い塀や有刺鉄線がない風景に安心するとともに、自分が緊張して生活していることに気付きました。
【私のOFF】
事務所が郊外にあり、夜は危険なので、よく終電で帰っていた東京時代に比べ、残業が格段に減りました。車の移動ばかりで歩く機会が激減したので、ジムやゴルフでの運動が欠かせません。
自宅周辺では夜、レストラン巡りができず、自炊することも多いですが、出張先では海の幸を堪能しています。南アのケープタウンではアワビや伊勢エビが格安で味わえ、おすしがおいしいです。モザンビークも魚介のパエリアが絶品です。
(構成 GLOBE記者 宮崎勇作)
たなか・まいこ
1980年生まれ。名古屋大大学院で文化人類学を専攻。2005年日立製作所入社後、国際電力営業本部中東アフリカ部を経て、2012年4月より現職。