1. HOME
  2. People
  3. スラムから出発、フィリピンで英語学校経営 @セブ(フィリピン)

スラムから出発、フィリピンで英語学校経営 @セブ(フィリピン)

私の海外サバイバル 更新日: 公開日:
研修に取り組む講師たち photo:Matsumoto Fumio

私のON

フィリピン中部のリゾート地、セブ島にある都市。物価が安いこともあり、日本人向けの英会話教室が増えている。

フィリピンのセブやバギオで、主に日本人向けの英語学校を営んでいます。寮・三食付きで、授業はすべて一対一。生徒が短期間で英語力を上げられるよう努めています。

最初から起業しようと思ってフィリピンに来たわけではありません。俳優を目指し、留学した米国で、有り金を盗まれました。安く学べる英語学校を探し、32歳でたどり着いたのです。

マニラのスラムに住んで学校に通い始めました。排ガスで扇風機が真っ黒になり、殺人事件が頻繁に起きるような場所。子どもを大学まで出そうと必死に働く人たちの力になれたらと、彼らに日本語を教え始めました。自己流ではダメだと痛感し、専門の学校で教授法を体得。教えるのが面白くなり、英語も工夫して教えられないか試したくなりました。インターネットで日本人に無料で教え始めるとすぐに評判になり、フィリピンまで留学にやってくるように。語学学校をつくりました。

生徒と同じ寮に住んでいます。60人以上いるスタッフ・講師に、どうやる気を出してもらうか。給料だけが目的だと、仕事の質も彼らの幸福感も下がります。地道に講師の研修を重ねることで、教授法も上達し、生徒の英語力アップにもつながる。生徒の感謝の言葉を聞いて涙ぐむ講師を見かけると、こちらも涙が出ます。

私のOFF

観光地化されていない白砂のビーチがこの国の宝です。透き通った海に、色鮮やかな魚。新しい分校の場所探しなどにかこつけて、あちこちのビーチに足を延ばしています。

どんな環境にも合わせられる「雑草スタイル」が取りえ。労働者の笑顔を見ていると幸せな気分になります。たばこやあめ玉を1本、1個単位で売るような店で地元の人が休んでいる風景は、小津安二郎の映画の世界にいるようで最高です。

(構成 GLOBE記者 江渕崇)

まつもと・ふみお

1974年生まれ。鳥取県出身。大学卒業後、予備校に就職するが、激務で体調を崩す。27歳で退職し、俳優修業のため芸能プロダクションに所属し、英語を学び始めた。