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ラオス名物の肉辛みそ麺カオソーイ 隠し味は「納豆」

One Meal, One Story 一食一会 更新日: 公開日:

その後に地元の人や観光客を引き寄せるのが、名物の肉辛みそ麺「カオソーイ」だ。一番人気と呼び声高い店は朝から客であふれていた。

麺ともやしをいったん湯がいて器に戻し、肉辛みそを大さじ2、3杯。パクチーとねぎをのせて、豚骨スープをかければできあがり。スープに浮かぶ唐辛子の赤みに身構えたが、口に広がったのはまろやかな豆の甘さとトマトの酸味だった。つるつるした麺ののど越しと、もやしのシャキシャキ感が心地いい。山盛りで出てくるレタスとバジル、インゲン、ミントをのせると、おなかがいっぱいになり体中に元気がみなぎった。1杯2万キープ(約275円)。朝食の定番だ。

この風味、どこかで食べたような……。調理前のみそを口にすると、ツンと鼻をつくにおい。粘りけこそないが、納豆だ。「豆の香りが一番大事です」とおかみのソムチャン・ワンナスック(56)。「トナオ」というこの納豆みそは、中国国境に近い町ムアンシンの特産品。カオソーイもその地域がルーツで、ルアンプラバンに伝わって定着したのだという。ムアンシンのカオソーイを食べたか彼女に尋ねると、笑顔が消えた。「うちの方がおいしい。スープが違う」

1年寝かせた上品な豆の香り

そこまでムキになるなら、元祖の方がおいしいのではないか? そんな期待を胸に穴ぼこだらけの舗装路を約400キロ、北に向かった。

山岳地帯にあるムアンシンはカラフルな民族衣装姿の少数民族が目立つ町だ。納豆みそのトナオは近くの村に住むタイルー族が代々つくっているのだという。地元で人気の食堂で早速、カオソーイを頼んだ。

上品な豆の香りに続き、パンチのある辛み。脂身は少なくあっさり。うーん、これもいい。おかみのセンカム・シンミサイ(40)は「トナオは1年間寝かせたのを使い、炭火で香りを引き出す」と話す。「ここはカオソーイ発祥の地だからね。他の町で一番おいしいという店も行ったけど、大したことなかったわ」

おかみたちの意地とこだわりに耳を傾け、各地で食べること計7杯。結論。それぞれに深みと個性があって、とても1カ所に軍配は上げられません!