スタイルナンダ 6千億ウォン台で売却
韓国のビューティーファッションブランド「スタイルナンダ(STYLENANDA)」が、世界的な化粧品会社「ロレアル(L'OREAL)」の傘下に入った。中国の化粧品市場で人気の韓国ビューティーブランドが、グローバル企業の注目を集め、第2、第3のスタイルナンダが出てくるという期待感が高まっている。
ロレアルグループは5月3日、韓国のメイクアップ&ファッション会社「ナンダ(ブランド名はスタイルナンダ)」の全株式を取得すると発表した。ランコム、キールズ、ビオテルムなどのグローバルブランドを持つロレアルが、韓国のビューティーブランドを買収するのは今回が初めて。買収価格は公表していない。業界では、ナンダの全株式の価格を約5700億ウォン(約570億円)から6千億ウォン(約600億円)台と推測している。
中国市場へ足がかり
スタイルナンダは、キム・ソヒ(So Hee Kim)代表が20代前半だった2005年、ソウルの東大門市場で女性用衣類を買い付けて販売するオンラインショッピングモールとして始まった。韓流ブームに乗って売り上げが急上昇し、2012年にはソウルの江南(カンナム)区カロスキルに初の単独ブランド店をオープン、デパートや免税店にも出店した。中国、日本、香港、マカオ、タイ、シンガポール、マレーシアなど海外へも進出した。
ロレアルグループが注目したのは、スタイルナンダが2009年に始めたビューティーブランド「スリーコンセプトアイズ(3CE)」。昨年の売り上げ1675億ウォン(約167億円)のうち約70%が化粧品だった。韓流ドラマ「太陽の末裔」でソン・ヘギョが着たブラウスなどで、スタイルナンダの中国市場での認知度が上がってきたところへ、メイクアップ化粧品に対する中国の消費者の関心が高まり、3CEが大陸の消費者をとりこにした。世界1位の化粧品製造者開発生産(ODM)企業コスメックスと生産契約を結び、比較的安価で質のいい化粧品を売り出したのも、中国の消費者に人気の要因だ。
ロッテデパートの2014年の調査によると、スタイルナンダは韓国のデパートを訪れる中国人観光客が好きな韓国ブランド1位だった。昨年、中国のショッピングデー、 光棍節(独身者の日)と12・12(12月12日)イベント当時、Tモール(アリババが運営する中国のオープンマーケット)グローバル館でも、韓国のメイクアップ化粧品ブランドの中で販売1位だった。
ロレアルは韓国と中国のミレニアル世代(1980年代初めから2000年代初め生まれ)に人気のスタイルナンダのブランドパワーと、多様な流通経路に注目したと、買収の背景を明らかにした。ロレアル・コリアのヤン・ルブルドン社長は「今回の買収を通して、(アジアなど)近接するメイクアップ市場での立場をさらに強化する」と話した。
スタイルナンダはロレアルグループの既存のブランドと合併はせず、別の法人として運営される。キム代表はスタイルナンダのクリエイティブ総括(CCO)の役割を担う。
第2、第3のスタイルナンダ出てくるか
グローバル市場調査業者ユーロモニターによると、中国の化粧品市場は2021年まで年平均5.05%増加し、3499億元(約60兆ウォン、約6兆円)まで拡大すると見られる。KOTRA(韓国貿易投資振興公社)によると、2016年、中国が化粧品を輸入した国では韓国が1位だった。成長の潜在力がある中国市場に進出しようとするグローバルビューティー企業が、韓国の化粧品(Kビューティー)に注目する理由だ。
海外の企業がKビューティーのブランドを買収したのは、今回が初めてではない。昨年9月、ダヴ、ワセリンなどの生活・医薬品ブランドを保有する多国籍企業ユニリーバが、中国市場を狙って日焼け止めスティックなどで知られるブランド「AHC」の製造社カーバーコリアを買収した。買収価格は韓国内の化粧品業界のM&A(合併・買収)では史上最高の約3兆ウォン(約3千億円)だった。
Kビューティーの風に乗って中国でよく売れているマスクパックの業者も注目を集めている。ジェイジュンコスメティック、パパレシピ、エイ.バイボーム、エフエンコなど韓国の中小のマスクパックブランドは、2015年から昨年まで、Tモールのグローバルマスクパック部門で販売量10位までにそれぞれランクインした。化粧品業界は遠からず、第2、第3のカーバーコリアやスタイルナンダが出てくると期待している。
実際、全世界の若い消費者に人気の韓国の化粧品に注目しているところは多い。アリババが運営している中国最大のショッピングモール「タオバオ(陶宝)」と、東南アジア最大のオンラインショッピングモール「ラザダ」は、最近、韓国の化粧品業界を対象に出店説明会を開いた。世界的な流通の巨獣アマゾンは3月末、米国とカナダの市場に進出しようとする韓国の中小化粧品会社のためのセミナーを開くなど、韓国の化粧品企業の誘致に積極的だ。ハイ投資証券のチョ・ギョンジン研究員は、「今後も、Kビューティーの肯定的なイメージを生かし、中国などアジアの市場に進出しようとするグローバル企業からのラブコールは増えてくる」と、見通しを語った。
( 2018年5月4日付東亜日報 ソン・ガイン記者)
(翻訳・成川彩)