"The 'overscheduled' child: Is being busy really so bad?"
5月10日付 ワシントン・ポスト紙
見出しのoverscheduled childとは、放課後や週末の予定がいっぱいで、unstructured(自由な)時間を持たない子どもたちのことだ。音楽教室やスポーツの練習など自由時間を課外活動で埋めるのは、親にすれば子どもの可能性を最大限に伸ばしてあげたい親心ゆえであり、外で自由に遊ばせるとchild predators(児童虐待者)の被害に遭いかねないからという危機管理上の配慮でもあるようだ。
しかし、子どもの過密スケジュールは、ストレスの原因となり好ましくないというのがマスメディアのcliche(決まり文句)で、子どもに無理をさせていないかとguilt(罪悪感)を抱いたり、beat oneself up(自分を責め)たりする親も少なくない。この記事は、そうしたclicheへの反論だ。
筆者は、自身の9歳の娘の生活を観察してこう述べている。毎日6時までaftercare(放課後プログラム)に参加し、帰宅後は宿題や読書、ペットの面倒に時間を費やしているが、それでもdown- time(作業中断時間)がたっぷりあって、その時間がscreen time(ディスプレイの前にいる時間)とならないよう気をつける必要があると。予定の詰まった生活は、distraction(気晴らし)でゲーム機やスマホに手を伸ばしたくなる誘惑をsever(断つ)メリットがあり、むしろembrace(歓迎する)教育者や研究者も多いというのだ。
downtimeにdaydream(空想にふける)ような過ごし方は、一見idyllic(のどか)で良さそうだが、that ship has pretty much sailed(そんなことが可能であった時代はとっくに過ぎた)らしい。そのうえで記事は、新しいタイプのdigital divide(IT利用をめぐる格差)が出現していると警鐘を鳴らしている。裕福な家庭は、習い事などにお金をかけることで子どものscreen timeを調節できるが、貧しい家庭の子どもは、ほかに選択肢がなくディスプレイ漬けになってしまいがちだという。
とはいえ、余った時間をすっかり親が奪ってしまうのはいかがなものか。なにごともほどほどが肝要だろう。記事には、自分の内面と向き合う「退屈な時間も大切」という専門家の言葉も紹介されている。