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白人アイデンティティーの政治をつかさどるトランプ大統領

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事件が起きた8月12日、シャーロッツビルでカウンターデモの参加者と対峙する白人至上主義者(手前)
事件が起きた8月12日、シャーロッツビルでカウンターデモの参加者と対峙する白人至上主義者(手前)

Donald Trumps Identity Politics

2017年8月24日付 ニューヨーク・タイムズ紙

 

white supremacist(白人至上主義者)が非寛容な主張を公然と繰り広げることにアメリカ人の多くは驚いているはずだ。バージニア州シャーロッツビルで、白人至上主義者の集会に抗議した女性が殺された事件について、トランプ大統領が「両者に非がある」と述べたことは大きな反発を受けたはずだ。しかし興味深いことに、この発言の直後の世論調査で、トランプ大統領のapproval rating(支持率)はdiminish(減少)しなかった。一体どういうことなのだろうか。

この世論調査会社の分析によると、トランプ大統領の支持者は「アメリカで最も虐げられているのは白人とキリスト教徒だと信じている白人」だ。一方、昨年1月に行われた別の調査によると、白人としてのアイデンティティーが「極めて重要」と答えた白人は20%おり、「とても重要」「比較的重要」と合わせると61%にのぼった。つまり白人至上主義者ではないけれども白人としてのアイデンティティーを強く意識している”white identifiers”(白人アイデンティティー主義者)と呼ばれる人々が増えていて、その相当数がトランプ政権を支持しているという構図だ。

記事によると、この白人アイデンティティー主義者は、非白人人口の増加がアメリカの文化を害し、不法移民はアメリカが直面する最大の問題で、aggrieved(不当に扱われたと思っている)白人はよりよい人生のチャンスが与えられるべきだと考える傾向がある。

見出しでうたわれたidentity politics(アイデンティティー政治)とは、こうした白人アインデンティー主義者のための政治のことだ。移民を受け入れ、公民権を認め、女性の社会進出が進み、黒人大統領が誕生したアメリカの歴史と文化への反動から顕在化し、トランプ政権誕生の背景となった。

これまでの共和党の政治家もこうしたdisaffected(不満を抱いている)白人層を視野には入れていたが、トランプ大統領ほどexplicitly(明白に)、票田にすることはなかった。選挙キャンペーン中の公約をほとんど守れずにいるトランプ大統領だが、白人アイデンティティーの政治を推進するというpartially veiled(ぼんやりとした)公約の方は、人種間のdivisive(分裂を招くような)rhetoric(発言)を繰り返すことで守られている、とこの記事の筆者は指摘している。

 (8月24日付ニューヨーク・タイムズ紙はこちら