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好きなのにサヨナラなんて 名付けて「嫌チョコ」大作戦

マイケル・ブースの世界を食べる
Photo: Toyama Toshiki

私は今、少しやせようとしている。とりあえずは10キロ。うーん、そんなに「少し」でもないな。問題は、私がチョコレートに目がないことなのだ。少なくとも一日一本、下手をすればそれ以上のチョコバーを食べていて、妻にやめるよう言われている。体からの訴えも明快だ。階段を上っては息が切れ、靴下をはくにも苦労する。

何事も中途半端は許せない性格ゆえ、この際、私はチョコレートを完全に断つと決めた。

戦略もある。神経に働きかけるような言語プログラムを編み出したのだ。チョコが欲しくてたまらなくなったら(それは毎日午前11時、午後2時、5時半、9時に訪れる)、ちょっとしたマントラを繰り返し唱えることにした。

「マイケルよ、チョコレートは今までに食べたことがあるだろう。味も知っているじゃないか。これ以上食べたところで何が違うというんだ」

しばらく実践し、そこそこうまくいっていた矢先、懲りもせず新たな手法でチョコ依存症の人間を誘惑する邪悪な黒幕が現れた。その名は「ダークミルク」(同じシリーズに「スーパーミルク」もあるが、実質同じだ)。ミルクチョコの甘みとダークチョコの苦みが絶妙のバランスで配合されていて、そのできばえのすばらしさといったらたまらない。

抵抗してはみるものの、マントラも効かない。そこで、チョコレートに代わる別のものを食べるべきだと思い至った。もっとおいしいとまではいかずとも、完璧に自然な何かを。

「チョコの代わり」をイタリアで見つけた

悲しいかな、そんな代用品は存在しない。イタリアのピエモンテ州を訪れるまでは、そう思っていた。アルプスのふもと、フランスとの国境沿いにある州で、欧州きっての美食エリアの一つだ。高価で希少な白トリュフやカルナローリ米などリゾット用のコメ、バローロやバルバレスコといった頭にガツンとくる重厚な赤ワインが有名だ。少なくともイタリアでは「ノッチョーラ・デル・ピエモンテ」、つまりピエモンテ産ヘーゼルナッツでも知られている。

それはただのナッツではない。ビー玉くらいの大きさで抜群のカリカリ感、甘みが強く、ナッツの風味に余韻がある。そのまま食べてもいいが、焙煎(ばいせん)してチョコとともにペーストにした「ジャンドゥーヤ」もおなじみだ。びんに入ったジャンドゥーヤに思いをはせながら、麗しのトリュフの街、アルバの大通り沿いの露店でヘーゼルナッツの試食を繰り返すうちに、はたと気づいた。これこそ私のチョコ問題に対する解決策ではないか。これまで食べてきたナッツの中で一番おいしい。10袋買うことにした(200グラムで8ユーロとなかなか高いが、健康はそれ以上の価値があるでしょう?)。

私の「嫌チョコ」大作戦が有効なのはみなさんにも朗報だろう。午前中のうちに封を開けていた「スーパーミルク」の代わりに、今はナッツの真空パックに手を伸ばしている。甘くておいしいものに対する欲は、すっかり満たされたようだ。

よかったじゃないか、と思われるかもしれない。糖分過多の加工食品を自然食品に取り換えたのだから。しかし、1カ月にわたる(高額な)ヘーゼルナッツダイエットを経てもなお、体重はほとんど減っていない。

この原稿を書きながらヘーゼルナッツの健康効果について調べているが、軒並み評価が高い。しかし、何の気なしにカロリーを比べようとグーグルで検索したら、ヘーゼルナッツ100グラムで62キロカロリーにものぼるとわかった。同じ量のミルクチョコレートは、525キロカロリーとある。

これではまた振り出しか。いや、待てよ。それなら白トリュフはどうか……。どなたか100グラムあたりのカロリーをご存じありませんか?(訳・菴原みなと)